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第八章 真なる聖剣
901 新しい試み
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さて、草王アグレッサー改めアグは、聖女の話では、次の地下行きまでこっちで預かるという話になったようだ。
「メルリルさんがお好きなようなので、預かっていただいたほうがよろしいでしょうか?」
俺はピクリと顔が引き攣るのを感じたが、相手はジジイだと口のなかで唱えて心を落ち着ける。
うちの長屋のジジイ達を思い出して、ちょっとイラッとしてしまったのは、思わぬ副作用だったが。
「でも、アグちゃんのご主人さまはミュリアのおじいさまなのでしょう? ということはミュリアの家族も同然ですよね。それなら、ミュリアのところがいいのでは?」
メルリルはアグを見ながら言った。
アグは足のような二本の根っこを組んで、片方の葉っぱを蕾の部分に当てるという、熟考ポーズをすると、白くピカピカ光りながらうなずく。
そしてひょろひょろと飛び上がると、聖女の肩にぽすんと収まった。
「まぁ、ありがとうございます。光栄ですわ」
聖女は嬉しそうだ。
草の使い魔アグは、仄白く光りながら俺に向かって軽く手を上げる。
これはもしかして、俺に気を使ったのか?
草に気を使われてしまうとは、なんとも言えない気持ちだ。
とは言え、聖女も嬉しそうだし、メルリルの言うこともその通りなので、問題はないだろう。
「……なんだか変なモノが日に日に増えているような気がする」
勇者が眉間にシワを寄せながら言った。
「ご、ごめんなさい」
そしてなぜかルフが謝る。
「違うだろ。お前は人としてもっと自信を持て! どう考えても人外連中のことだろうが!」
「あっ、ひゃい!」
勇者に指摘されて、飛び上がって返事をするルフ。
うーん、なんだかかわいそうだな。
「ルフ、あー、狭いけど、従者部屋に戻る、か?」
「し、師匠、俺は別にルフを虐めてたりしないぞ?」
「お前がそう思っていても、ルフは平民出なんだぞ? 勇者のお前と一緒にいるだけで、緊張するのは当たり前だ」
「あ、あの、大丈夫です。僕、その……」
勇者の抗弁に道理を説いていると、いたたまれなくなったのか、ルフが遠慮した。
むむっ、却って居心地悪くしてしまったか。
「じゃあ、わたくしのお部屋にお泊りしませんか?」
そこに救いの手を差し伸べたのは、聖女だった。
さすがである。
「えっ! でも……」
今度は真っ赤になるルフ。
わかりやすい。
「アグちゃんも、大勢のほうが楽しいでしょう。ね、テスタ」
聖女は、自室から客間のほうに部屋を移動する際に、わざわざ新しく部屋を用意してもらうのは手間だからと、モンクの部屋に一緒に泊まることとした。
客間は、二つ寝台のある寝室が三つ程あるので、泊まる場所に不自由はしないのだ。
あんまり広いので、人が多いほうが寂しくないとのことだった。
「うん。ルフなら礼儀正しいし、大歓迎よ。人数多いほうが、札遊びとか楽しいしね」
お、女子組はカードゲームをやっているようだ。
いいな。
モンクの言う通り、カードゲームは人数が多いほうが楽しい。
金銭を賭けるとさらに楽しいが、さすがにそれは子ども相手にマズいか。
「今回は甘えさせてもらうといい。テスタは、平民出身だし、その分気楽だろ」
「え? あ、はい」
モンクが平民だと聞いて、ルフはあからさまにホッとしたようだ。
その話の流れに、勇者が口を尖らせて、不満そうな顔になっている。
だが、さすがにそこに口を挟むような野暮はしないようだ。
「アルフは、まぁ、ルフとは少しずつ距離を詰めていけばいいだろ。お前は人を寄せ付けない空気をまとっているから、ルフだって緊張するんだ。もうちょっとオンオフの切り替えが出来るようになれ」
「う……」
勇者はなぜかしょんぼりとうなだれた。
「同じことを、あの元魔王のジジイに言われた」
「うん? 聖剣の話をしていたんじゃないのか?」
「ああ。そうなんだが、その、魔力の使い方が大雑把過ぎると、オンオフが下手クソだってこき下ろされた。あのクソジジイ!」
「あはは」
「師匠、笑い事じゃないぞ! 俺は師匠に教わって、かなり魔力操作は自信があったのに!」
実際、魔力は本人の気質と深く関わっている部分がある。
そもそもが勇者はバカ魔力で、保有魔力量が多すぎるのだ。
それを繊細に使えというほうが無茶だとは思うのだが、なんと言っても勇者だからな、泣き言は許されない。
他人からの期待が高すぎるのだ。
「いや、実際、以前よりはずっと魔力操作は巧みになっていると思うぞ。みんなはどう見る?」
「私から見ると、勇者は少し魔力に頼りすぎのところがありますね。身体能力のポテンシャルは高いのに、魔法で押し切ろうとする。相手の動きを見て、隙を突く戦い方をもう少し訓練したほうがいいでしょう。……あ、すみません。魔力とは関係ないですね」
聖騎士が勇者の戦い方について指導を入れて来た。
ふむ。
「いや、クルスの言うことは実は魔法にも通じている。結局のところ、使うのは本人なので、その考え方や戦い方の癖が魔力操作にも出るんだ。もしかすると、剣技を鍛えることで、今よりも戦闘向きに魔力を操れるかもしれないな」
俺は冒険者なので、直接戦闘よりも下調べによって罠や道具を使って狩りを行う。
そういう意味では、戦闘についてはあまり詳しくない。
師匠はそっちの方面に優れていた人だったが、俺にはあまり才能がないと散々言われたしな。
「どうだ? 単純に魔力操作するのではなく、クルスと模擬戦をやりながら魔力循環をやってみては?」
「ええっ? 師匠無茶だろ?」
まぁ言うなれば、両手両足にそれぞれ別の作業をさせろというようなものだからな。
確かに無茶ではある。
「だが、アドミニス殿にバカにされたくないのだろう?」
「うぐう……」
「ダスター殿、私は魔力の動きはわかりませんので、戦い方だけを指導します。その間、ダスター殿が魔力の状態を見て、勇者に指摘していただけませんか?」
「そうだな。最近、鍛錬もマンネリ化していたのかもしれない。もちろん繰り返しの鍛錬も大事だが、より先を目指すのもまた大事だ」
俺と聖騎士は共にうなずいて訓練内容を詰めることにした。
勇者は覚悟を決めたのか、気合を入れ直すように、自分の手に魔力を集めては散らすという基本を繰り返している。
まぁ何がきっかけにしろ、発奮するのはいいことだ。
「メルリルさんがお好きなようなので、預かっていただいたほうがよろしいでしょうか?」
俺はピクリと顔が引き攣るのを感じたが、相手はジジイだと口のなかで唱えて心を落ち着ける。
うちの長屋のジジイ達を思い出して、ちょっとイラッとしてしまったのは、思わぬ副作用だったが。
「でも、アグちゃんのご主人さまはミュリアのおじいさまなのでしょう? ということはミュリアの家族も同然ですよね。それなら、ミュリアのところがいいのでは?」
メルリルはアグを見ながら言った。
アグは足のような二本の根っこを組んで、片方の葉っぱを蕾の部分に当てるという、熟考ポーズをすると、白くピカピカ光りながらうなずく。
そしてひょろひょろと飛び上がると、聖女の肩にぽすんと収まった。
「まぁ、ありがとうございます。光栄ですわ」
聖女は嬉しそうだ。
草の使い魔アグは、仄白く光りながら俺に向かって軽く手を上げる。
これはもしかして、俺に気を使ったのか?
草に気を使われてしまうとは、なんとも言えない気持ちだ。
とは言え、聖女も嬉しそうだし、メルリルの言うこともその通りなので、問題はないだろう。
「……なんだか変なモノが日に日に増えているような気がする」
勇者が眉間にシワを寄せながら言った。
「ご、ごめんなさい」
そしてなぜかルフが謝る。
「違うだろ。お前は人としてもっと自信を持て! どう考えても人外連中のことだろうが!」
「あっ、ひゃい!」
勇者に指摘されて、飛び上がって返事をするルフ。
うーん、なんだかかわいそうだな。
「ルフ、あー、狭いけど、従者部屋に戻る、か?」
「し、師匠、俺は別にルフを虐めてたりしないぞ?」
「お前がそう思っていても、ルフは平民出なんだぞ? 勇者のお前と一緒にいるだけで、緊張するのは当たり前だ」
「あ、あの、大丈夫です。僕、その……」
勇者の抗弁に道理を説いていると、いたたまれなくなったのか、ルフが遠慮した。
むむっ、却って居心地悪くしてしまったか。
「じゃあ、わたくしのお部屋にお泊りしませんか?」
そこに救いの手を差し伸べたのは、聖女だった。
さすがである。
「えっ! でも……」
今度は真っ赤になるルフ。
わかりやすい。
「アグちゃんも、大勢のほうが楽しいでしょう。ね、テスタ」
聖女は、自室から客間のほうに部屋を移動する際に、わざわざ新しく部屋を用意してもらうのは手間だからと、モンクの部屋に一緒に泊まることとした。
客間は、二つ寝台のある寝室が三つ程あるので、泊まる場所に不自由はしないのだ。
あんまり広いので、人が多いほうが寂しくないとのことだった。
「うん。ルフなら礼儀正しいし、大歓迎よ。人数多いほうが、札遊びとか楽しいしね」
お、女子組はカードゲームをやっているようだ。
いいな。
モンクの言う通り、カードゲームは人数が多いほうが楽しい。
金銭を賭けるとさらに楽しいが、さすがにそれは子ども相手にマズいか。
「今回は甘えさせてもらうといい。テスタは、平民出身だし、その分気楽だろ」
「え? あ、はい」
モンクが平民だと聞いて、ルフはあからさまにホッとしたようだ。
その話の流れに、勇者が口を尖らせて、不満そうな顔になっている。
だが、さすがにそこに口を挟むような野暮はしないようだ。
「アルフは、まぁ、ルフとは少しずつ距離を詰めていけばいいだろ。お前は人を寄せ付けない空気をまとっているから、ルフだって緊張するんだ。もうちょっとオンオフの切り替えが出来るようになれ」
「う……」
勇者はなぜかしょんぼりとうなだれた。
「同じことを、あの元魔王のジジイに言われた」
「うん? 聖剣の話をしていたんじゃないのか?」
「ああ。そうなんだが、その、魔力の使い方が大雑把過ぎると、オンオフが下手クソだってこき下ろされた。あのクソジジイ!」
「あはは」
「師匠、笑い事じゃないぞ! 俺は師匠に教わって、かなり魔力操作は自信があったのに!」
実際、魔力は本人の気質と深く関わっている部分がある。
そもそもが勇者はバカ魔力で、保有魔力量が多すぎるのだ。
それを繊細に使えというほうが無茶だとは思うのだが、なんと言っても勇者だからな、泣き言は許されない。
他人からの期待が高すぎるのだ。
「いや、実際、以前よりはずっと魔力操作は巧みになっていると思うぞ。みんなはどう見る?」
「私から見ると、勇者は少し魔力に頼りすぎのところがありますね。身体能力のポテンシャルは高いのに、魔法で押し切ろうとする。相手の動きを見て、隙を突く戦い方をもう少し訓練したほうがいいでしょう。……あ、すみません。魔力とは関係ないですね」
聖騎士が勇者の戦い方について指導を入れて来た。
ふむ。
「いや、クルスの言うことは実は魔法にも通じている。結局のところ、使うのは本人なので、その考え方や戦い方の癖が魔力操作にも出るんだ。もしかすると、剣技を鍛えることで、今よりも戦闘向きに魔力を操れるかもしれないな」
俺は冒険者なので、直接戦闘よりも下調べによって罠や道具を使って狩りを行う。
そういう意味では、戦闘についてはあまり詳しくない。
師匠はそっちの方面に優れていた人だったが、俺にはあまり才能がないと散々言われたしな。
「どうだ? 単純に魔力操作するのではなく、クルスと模擬戦をやりながら魔力循環をやってみては?」
「ええっ? 師匠無茶だろ?」
まぁ言うなれば、両手両足にそれぞれ別の作業をさせろというようなものだからな。
確かに無茶ではある。
「だが、アドミニス殿にバカにされたくないのだろう?」
「うぐう……」
「ダスター殿、私は魔力の動きはわかりませんので、戦い方だけを指導します。その間、ダスター殿が魔力の状態を見て、勇者に指摘していただけませんか?」
「そうだな。最近、鍛錬もマンネリ化していたのかもしれない。もちろん繰り返しの鍛錬も大事だが、より先を目指すのもまた大事だ」
俺と聖騎士は共にうなずいて訓練内容を詰めることにした。
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