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第八章 真なる聖剣
791 船の探索
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悪党面を聖女に再び回復してもらったんだが、残念ながらもう正気に戻ることはなかった。
ヒイヒイ泣きながら訳のわからんことを叫び続けるだけだ。
聖女にも回復出来ないぐらいの精神的な苦痛を与えるとは、さすがは勇者と言っていいのか?
ともかく仕方がないので、悪党面にはそのまま眠ってもらうことになった。
せめていい夢見ろよ? まぁ無理そうだが。
持ち物を探ると、鍵の束とデカいが手入れの悪いナイフ、それと酒の入った水袋を携帯してた。
無いよりはマシなので、ナイフは俺が持つことにする。
鍵の束もいただいてベルトに吊るした。
悪党二人は箱に突っ込んで上に重しになる荷物を置いておく。
問題は、まだ眠っているルフと、誘拐されて連れて来られている一般人だ。
「俺はここから出て探索して来るが、誰かがここに残って戦えない者を護る必要がある。クルスとテスタとミュリア、頼めるか?」
聖騎士と聖女は何か言いたげだったが、唯一まともな武器であるドラゴンの鱗のナイフを持っている聖騎士と、いざというときに結界を張れる聖女は護りに残っていて欲しい。
聖女が残れば当然モンクも残る。
これが一番問題がない人選と言える。
外で探索するのは俺とメルリルと勇者とフォルテだ。
あー、若葉も勇者から離れないから一緒だが、こっちの言うことなど聞かないだろうから数には入れない。
また寝てるっぽいしな。
「最初に言っておくが、船自体を乗っ取るのはなしだ」
「なんでだ!」
さっそく勇者が文句を言って来た。
絶対お前乗っ取るつもりだと思ってたよ。
「いいか、俺達に船の操作は無理だ。だからどこかの港までは、異変を察知されずになんとか行ってもらわなきゃならない。二人いなくなったことを悟られてしまうと、それも怪しいが、乗っ取るのは最後の手段だ。覚えておいてくれ」
俺の言葉にメルリルがうなずき、勇者も不承不承という感じでうなずいた。
ほんと、頼むぞ?
俺達は水棲人じゃないんだから、海に落ちたら助からないからな?
「私、水は少しなら扱えるけど、そこまで得意じゃないから……ただ風なら扱えるので、いざとなったら風で船を陸に運ぶことは出来るかも?」
メルリルがそう提案してくれた。
頼もしい。
だが、あやふやなことはあまりやらないほうがいいから、本当に一か八かのときだな。
俺達や荷物が詰め込まれていた部屋を出ると、目前に狭い階段があった。
部屋にやって来る奴の足音が妙に響いていたのはこの階段のせいか。
音の響きのいい階段をゆっくりと上ると、これまた狭い廊下に出た。
階段の部分は廊下の床から降りるようになっていて、蓋が閉められる仕組みだ。
一応蓋をしておいた。
廊下の両側には扉があり、それぞれの扉にはのぞき窓がついている。
俺は手信号で指示を出し、手分けして部屋を確認することにした。
俺が進行方向に向かって右側、勇者が左側、そしてメルリルが風を使って空間的に繋がっている場所の様子を探るという段取りだ。
一番手前の部屋は狭い寝台が上下に並び、あとは大人が二人立つともうそれだけで一杯になってしまう部屋だった。
しかも散らかっている。
船員の部屋か?
次も似たようなものだが、手前の部屋よりは片付いている。
その次は、少し様子が違う部屋だった。
寝台はなく、机と棚がある。
机の上には大きな箱、床には木樽が置いてあり、棚には武器類がベルトのようなもので固定されていた。
そして、その固定された武器のなかに、俺の星降りがあるのを発見する。
あった。
俺は振り返って、勇者とメルリルに向かって手で合図をする。
すると、勇者も俺の反対側の部屋を示していた。
確認すると、勇者の見つけたほうは、フックに宝石のついた装身具のようなものがいくつか引っ掛けてあり、そのなかに、聖女の神璽を発見する。
メルリルを見ると、近くに人はいないということを伝えて来た。
「どうやら、今はこの並びの部屋に乗組員はいないようだな」
俺は声に出してそう言う。
勇者はうなずき、答えた。
「寝るだけの部屋って感じだ」
「で、この二つが誘拐した人間から奪ったものを置いておく部屋で、右側が武器で左側が装飾品ってところかな」
「ああ」
武器や装飾品置き場からすぐのところに、廊下の真上に四角い穴があり、そこからはしごが下がっていた。
廊下自体はまだ先に続いているが、ここからさらに上に行けるのだろう。
何度か天井から足音がして、その度に口をつぐむ。
「とりあえず俺達の武器や装備品を取り返そう」
全員でうなずき合う。
扉の錠に合う鍵を探すのに手間取ったが、なんとか必要なものは取り返し、元通り鍵をかけると、一旦下に戻り装備を整えることにした。
そして再び同じ組み合わせで階上の廊下に出る。
得物が腰にあると、全然安心感が違うな。
はしごのところまで行くと、上から明瞭な声が聞こえたので、慌てて離れて身を隠す。
「おい、オヤジはどこ行きやがった!」
「あー、船長のこったからどっかで飲んでるんじゃねえか? 荷物の様子を見に行くとか言ってたから、今頃はたらふく飲んで寝ちまってるかも」
「ったくしょうがねえな」
「でもまぁ今回は荷物を運んでるから、船を見掛けても襲わねえんだろ? アジトまで一直線じゃねえか。船長いらねえよ」
ゲラゲラと笑い合う声が響く。
「ちげえねえ」
「オヤジは戦うこと以外は役に立たねえからなぁ」
どうやらあの悪党面が船長だったようだ。
しかし自分ところのトップに対してさんざんな評価だな。
とは言え、その船員達の話では、あんな奴だが、船の上の戦いはなかなか強いらしい。
最初に潰せてよかった。
ヒイヒイ泣きながら訳のわからんことを叫び続けるだけだ。
聖女にも回復出来ないぐらいの精神的な苦痛を与えるとは、さすがは勇者と言っていいのか?
ともかく仕方がないので、悪党面にはそのまま眠ってもらうことになった。
せめていい夢見ろよ? まぁ無理そうだが。
持ち物を探ると、鍵の束とデカいが手入れの悪いナイフ、それと酒の入った水袋を携帯してた。
無いよりはマシなので、ナイフは俺が持つことにする。
鍵の束もいただいてベルトに吊るした。
悪党二人は箱に突っ込んで上に重しになる荷物を置いておく。
問題は、まだ眠っているルフと、誘拐されて連れて来られている一般人だ。
「俺はここから出て探索して来るが、誰かがここに残って戦えない者を護る必要がある。クルスとテスタとミュリア、頼めるか?」
聖騎士と聖女は何か言いたげだったが、唯一まともな武器であるドラゴンの鱗のナイフを持っている聖騎士と、いざというときに結界を張れる聖女は護りに残っていて欲しい。
聖女が残れば当然モンクも残る。
これが一番問題がない人選と言える。
外で探索するのは俺とメルリルと勇者とフォルテだ。
あー、若葉も勇者から離れないから一緒だが、こっちの言うことなど聞かないだろうから数には入れない。
また寝てるっぽいしな。
「最初に言っておくが、船自体を乗っ取るのはなしだ」
「なんでだ!」
さっそく勇者が文句を言って来た。
絶対お前乗っ取るつもりだと思ってたよ。
「いいか、俺達に船の操作は無理だ。だからどこかの港までは、異変を察知されずになんとか行ってもらわなきゃならない。二人いなくなったことを悟られてしまうと、それも怪しいが、乗っ取るのは最後の手段だ。覚えておいてくれ」
俺の言葉にメルリルがうなずき、勇者も不承不承という感じでうなずいた。
ほんと、頼むぞ?
俺達は水棲人じゃないんだから、海に落ちたら助からないからな?
「私、水は少しなら扱えるけど、そこまで得意じゃないから……ただ風なら扱えるので、いざとなったら風で船を陸に運ぶことは出来るかも?」
メルリルがそう提案してくれた。
頼もしい。
だが、あやふやなことはあまりやらないほうがいいから、本当に一か八かのときだな。
俺達や荷物が詰め込まれていた部屋を出ると、目前に狭い階段があった。
部屋にやって来る奴の足音が妙に響いていたのはこの階段のせいか。
音の響きのいい階段をゆっくりと上ると、これまた狭い廊下に出た。
階段の部分は廊下の床から降りるようになっていて、蓋が閉められる仕組みだ。
一応蓋をしておいた。
廊下の両側には扉があり、それぞれの扉にはのぞき窓がついている。
俺は手信号で指示を出し、手分けして部屋を確認することにした。
俺が進行方向に向かって右側、勇者が左側、そしてメルリルが風を使って空間的に繋がっている場所の様子を探るという段取りだ。
一番手前の部屋は狭い寝台が上下に並び、あとは大人が二人立つともうそれだけで一杯になってしまう部屋だった。
しかも散らかっている。
船員の部屋か?
次も似たようなものだが、手前の部屋よりは片付いている。
その次は、少し様子が違う部屋だった。
寝台はなく、机と棚がある。
机の上には大きな箱、床には木樽が置いてあり、棚には武器類がベルトのようなもので固定されていた。
そして、その固定された武器のなかに、俺の星降りがあるのを発見する。
あった。
俺は振り返って、勇者とメルリルに向かって手で合図をする。
すると、勇者も俺の反対側の部屋を示していた。
確認すると、勇者の見つけたほうは、フックに宝石のついた装身具のようなものがいくつか引っ掛けてあり、そのなかに、聖女の神璽を発見する。
メルリルを見ると、近くに人はいないということを伝えて来た。
「どうやら、今はこの並びの部屋に乗組員はいないようだな」
俺は声に出してそう言う。
勇者はうなずき、答えた。
「寝るだけの部屋って感じだ」
「で、この二つが誘拐した人間から奪ったものを置いておく部屋で、右側が武器で左側が装飾品ってところかな」
「ああ」
武器や装飾品置き場からすぐのところに、廊下の真上に四角い穴があり、そこからはしごが下がっていた。
廊下自体はまだ先に続いているが、ここからさらに上に行けるのだろう。
何度か天井から足音がして、その度に口をつぐむ。
「とりあえず俺達の武器や装備品を取り返そう」
全員でうなずき合う。
扉の錠に合う鍵を探すのに手間取ったが、なんとか必要なものは取り返し、元通り鍵をかけると、一旦下に戻り装備を整えることにした。
そして再び同じ組み合わせで階上の廊下に出る。
得物が腰にあると、全然安心感が違うな。
はしごのところまで行くと、上から明瞭な声が聞こえたので、慌てて離れて身を隠す。
「おい、オヤジはどこ行きやがった!」
「あー、船長のこったからどっかで飲んでるんじゃねえか? 荷物の様子を見に行くとか言ってたから、今頃はたらふく飲んで寝ちまってるかも」
「ったくしょうがねえな」
「でもまぁ今回は荷物を運んでるから、船を見掛けても襲わねえんだろ? アジトまで一直線じゃねえか。船長いらねえよ」
ゲラゲラと笑い合う声が響く。
「ちげえねえ」
「オヤジは戦うこと以外は役に立たねえからなぁ」
どうやらあの悪党面が船長だったようだ。
しかし自分ところのトップに対してさんざんな評価だな。
とは言え、その船員達の話では、あんな奴だが、船の上の戦いはなかなか強いらしい。
最初に潰せてよかった。
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