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第五章 破滅を招くもの
383 魔力の性質
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いろいろ話した結果、全員まずは基礎からやるべきということになった。
俺たち西方の人間は人に魔力があることに慣れていて、小さな村でも一人や二人は魔力持ちがいる環境で育っている。
子どもが魔力持ちだと気づくと、先達から魔力の利用方法を聞いて、自分に出来ることを探り始めるのだ。
ところが東方の人間は人が魔力を持つということを異常だと考えている。
そのため、子どもが魔力持ちと気づいても気づいてないふりをしたり、隠そうする。
子どもはそんな親や大人の様子から魔力を悪いものと考えて使わないように我慢するという悪循環となっているようだった。
しかも俺たちの国では貴族に魔力があるのは当たり前なので、魔力持ちは偉い人と考えているところがあり、むしろ魔力持ちは尊敬される傾向があった。
そして貴族は小さい頃から魔力を魔法として使用する方法を習う。
貴族の魔法というのは教会直伝の効率化されたものなので、いちいち魔力操作などを考えたことはないそうだ。
俺はその事実に逆に驚いたが、まぁそれはそれとして、研究所を脱出した者たちは、まずは魔力というものの性質を知って、自分の持つ力を理解する必要があった。
「風が吹くと草がなびくよな」
「うん」
「風は目に見えないけど、それがあることは誰でも知っているだろ?」
「はい」
子どもたちと大人二人は、食後の休憩時間に俺の話を興味深そうに聞いている。
結局のところ、救出組全員が魔力について理解しておこうという話になったのだ。
「魔力も似たようなものだ。目には見えないけれど世界に干渉する力として存在する。うーんっと……」
小さい子がわからないという顔をしているので、俺は説明の仕方を考える。
「みんなのなかに風や熱や力とか、そういうものの元があるんだ……ええっと、これは実際に感じたほうがいいな。突然だが、このなかで足が痛い人!」
呼びかけると「はーい!」と、小さい子たちが手を挙げる。
少ししておずおずと恥ずかしそうに大人組の女性、ネスさんが手を挙げ、予知者のウルスも不承不承といった感じに手を挙げた。
足痛い奴多いな!
まぁそれも仕方がない。
彼らの履いている靴は底の薄いものだったので、最初の二日でほとんどが穴が開いたり、破れたりしてしまっている。
それに木の皮を巻いてごまかしている状態だ。
「ミュリア、カウロ、悪いけど軽く回復してやってくれ」
「はい」「わかった」
とととと近寄って来る聖女と、照れながら立ち上がるカウロ少年を全員の輪の中心に立たせる。
「まずは、カウロ、ウルスおじさんを回復だ」
「うん。痛くなくなれー」
カウロ少年がウルスの足に軽く触れて癒やしを使う。
その様子を全員に注目するように言った。
「今の魔力の動きが見えた人!」
「はい!」
元気よく手が挙がる。
南海生まれのッエッチだ。
一人だけなのはまぁ仕方ないか。一人でも見えるだけマシだろう。
「どんな感じに見えた?」
「説明しにくいんですけど、カウロの手が淡く光って、ウルスさんの足にその光が吸い込まれたように見えました」
「え~、見えなかった」「もう一回!」
ッエッチの言葉に、ほかの子どもたちから声が上がる。
「はいはい、今の時点で見える必要はないから、大丈夫。あそこにいる勇者のお兄さんもちょっと前まで見えなかったんだぞ」
「えっ、師匠~」
自分には関係ないとばかりに面白がって様子を見ていた勇者を指し示す。
小さい子どももいるんだぞ、情けない声を出すな。
子どもたちは「そうなんだ~」と納得してるだろ。
「魔力というのは一人一人違う。そのため、魔法を他人に影響させる場合にはなんらかの拒絶的な反応がある。しかし癒やしの魔法は唯一他人のなかに拒まれずに入り込むことが出来る魔力だ。これはかなり特殊な魔力で、そのせいで癒やしの魔法は特定の人間しか使うことが出来ない」
俺の説明にカウロが照れたようにもじもじする。
「それじゃあ、ミュリア、全体回復をお願い出来るか?」
「はい。……この手の届く人々の受けたる障りを流し去りたまえ」
聖女は胸に下げた御印に手を触れて聖句を唱えた。
俺の目には空中に現れた雨のような光の粒が周囲の人間に降り注ぐのが見える。
「あ、なんかスーっとした」
「ひんやりとしてあったかい」
「ぽかぽかする!」
「本当に足が痛くなくなった!」
全員が驚いたように上を見たり、足を触ってみたりしていた。
「魔力が作用する感覚はなんとなくわかったな。魔力は目に見えないけれど確かに存在して自分以外のものに作用する力だ。そこがまずはわかればいい。ミュリアありがとう。もういいぞ」
「はい!」
聖女はニコニコしながらもともと座っていたところに戻って行く。
なんだかうれしそうだ。
「それじゃあ自分の魔力特性がわからない人は今日寝るまでの間に今のミュリアの癒やしの魔力の感覚を思い出しながら眠ること。自分の魔力特性がわかっている組はそれぞれ指導してくれる相手に教わるように。以上、基礎の勉強終わり」
元気のいい子どもたちはそれぞれ師匠と決めた相手のところへと走って行く。
まだ自分のやるべきことがわからない子は俺のそばに来てズボンやマントの裾を引っ張り出した。
「ねーねーおっちゃん、魔法見せて!」
「おじさんも魔法使えるの?」
「おじさんは魔法を習ってないので使えません。魔力は使えるぞ」
仕方ないのでその子どもたちの相手をすることとなった。
しかし子どもたちは魔法は使えないが魔力が使えるという理屈がわからないようだ。
「どういうこと?」
「おっちゃん詳しく!」
「例えば、そっちでニヤニヤしているウルスのおっさんは自然に予知が使えるようになったと言ってただろ。天性の魔力持ちっていうのはそういう風に必ず魔力特性というものがあって、何か得意なことがあります。一般的には放出か魔力による強化が多いな」
「んー?」
子どもたちが首をかしげる。
ネスさんやヌマシダ少年はなんとなくわかっているようだ。
「例えば俺は放出は使えないが、放出が使える人間は、魔力を自分の体の外に放って、何かの現象を起こすことが出来る。さっき言った風みたいに草を揺らしたりな」
「えーつまんない」
「いやいや、放出の強い奴っていうのは、手を触れずに他人を投げ飛ばしたり出来るんだぞ。ただし魔物相手だと工夫をしないと怒らせるだけだったりするから注意が必要だ。不用意に使わないように」
「へー」
「放出系の魔力持ちは小さいころに現象が現れやすいと聞いている。寝ているときに周りの物が動いたりした人はいるかな?」
俺の言葉に一人の少女がビクッとした。
ええっと、確かイチカか。
北冠の生まれだったな。
「あ、あたし、違うの。わざとじゃないの。だけど、お母さんがすごく怒って……」
おおう、泣き出したぞ。
「おいおい、なんで泣いてるんだ。大丈夫だぞ。家が恋しいのか? そうだよな。まだ子どもだもんなお前ら」
「違うの、私朝起きたら部屋がめちゃくちゃになってることが何度もあって、お母さんがね、凄く怒って、こんな悪ふざけするのは私の子じゃないって。私、知らないって言ったのに……」
「そうか。小さい頃はコントロール出来ないもんな。大丈夫。今はむやみに魔力を放ったりしてないだろ。それは君が我慢しているからなんだぞ」
「我慢?」
「ああ。放出系の魔力持ちはだいたい何かやらかして、それに自分がショックを受けて我慢し続けてある日突然暴走するということがあるんだ。俺たちの国ではそういうことが起きないように、放出系の魔力持ちの子どものために親はお守りを作ってやってな。使う必要があるときにはそれを壊すことで使うように習慣付けるんだ。紐で編んだ腕輪とかが多いな」
俺の説明にイチカは勢い込んで尋ねた。
「それがあればお母さんに怒られない?」
「うーん、そうだな。イチカの国はちょっと難しいかな。これは答えにくいかもしれないから答えなくてもいいけど、もしかしてお母さんが君を収容所に入れるって言ったのか?」
「ううん。おかあさんは部屋を散らかしちゃ駄目って怒っただけ。学校で検査があってね、車に乗せられてそのまま行ったの。お家に帰りたいって言ったのに、誰も聞いてくれなくて。……あのね、でも、私って魔人なんだよね? 悪い子になったんだよね? だからお家に帰れないんでしょ?」
イチカのお母さんの立ち位置がわからないな。
本当に気づいてなかったのか、気づいていてそれを認めようとしなかったのか。
どちらにせよ、もうイチカが戻れる場所ではないのは間違いない。
だけどイチカはまだ子どもだ。確か八歳だったか? まだ家に帰れると思っていたいのだろう。
こういうのはどう説明すればいいんだろうな。
「いや、別に魔人は悪い子じゃないぞ。髪や目の色が違うようなもんだ。イチカの国の人はそういう違っていることが嫌いなんだな、きっと」
「悪いことじゃないの?」
「悪いことじゃないさ。イチカは鳥に羽根があって空を飛べるのが悪いことだと思うか?」
「キュルッ?」
俺の言葉に頭の上からフォルテが返事をした。
イチカはフォルテをじっと見ると、少し首をかしげる。
「ええっとね、うらやましい、かな?」
「そうだ。君の力は本来羨ましがられることはあっても、悪いものじゃない。もっと堂々としていればいい。こいつだって堂々としているだろ?」
「クルルルルル!」
フォルテはイチカの肩に飛び乗ると偉そうに胸を張ってさえずってみせた。
イチカはそんなフォルテを撫で回し始める。
「ありがとうフォルテちゃん」
「ギュィッ」
自慢の羽根を逆立てられながら、フォルテは不満気に鳴いたが、相手は子どもとわかっているからか好きなようにさせていた。
フォルテもずいぶん我慢を覚えたなとちょっと感心したのだった。
俺たち西方の人間は人に魔力があることに慣れていて、小さな村でも一人や二人は魔力持ちがいる環境で育っている。
子どもが魔力持ちだと気づくと、先達から魔力の利用方法を聞いて、自分に出来ることを探り始めるのだ。
ところが東方の人間は人が魔力を持つということを異常だと考えている。
そのため、子どもが魔力持ちと気づいても気づいてないふりをしたり、隠そうする。
子どもはそんな親や大人の様子から魔力を悪いものと考えて使わないように我慢するという悪循環となっているようだった。
しかも俺たちの国では貴族に魔力があるのは当たり前なので、魔力持ちは偉い人と考えているところがあり、むしろ魔力持ちは尊敬される傾向があった。
そして貴族は小さい頃から魔力を魔法として使用する方法を習う。
貴族の魔法というのは教会直伝の効率化されたものなので、いちいち魔力操作などを考えたことはないそうだ。
俺はその事実に逆に驚いたが、まぁそれはそれとして、研究所を脱出した者たちは、まずは魔力というものの性質を知って、自分の持つ力を理解する必要があった。
「風が吹くと草がなびくよな」
「うん」
「風は目に見えないけど、それがあることは誰でも知っているだろ?」
「はい」
子どもたちと大人二人は、食後の休憩時間に俺の話を興味深そうに聞いている。
結局のところ、救出組全員が魔力について理解しておこうという話になったのだ。
「魔力も似たようなものだ。目には見えないけれど世界に干渉する力として存在する。うーんっと……」
小さい子がわからないという顔をしているので、俺は説明の仕方を考える。
「みんなのなかに風や熱や力とか、そういうものの元があるんだ……ええっと、これは実際に感じたほうがいいな。突然だが、このなかで足が痛い人!」
呼びかけると「はーい!」と、小さい子たちが手を挙げる。
少ししておずおずと恥ずかしそうに大人組の女性、ネスさんが手を挙げ、予知者のウルスも不承不承といった感じに手を挙げた。
足痛い奴多いな!
まぁそれも仕方がない。
彼らの履いている靴は底の薄いものだったので、最初の二日でほとんどが穴が開いたり、破れたりしてしまっている。
それに木の皮を巻いてごまかしている状態だ。
「ミュリア、カウロ、悪いけど軽く回復してやってくれ」
「はい」「わかった」
とととと近寄って来る聖女と、照れながら立ち上がるカウロ少年を全員の輪の中心に立たせる。
「まずは、カウロ、ウルスおじさんを回復だ」
「うん。痛くなくなれー」
カウロ少年がウルスの足に軽く触れて癒やしを使う。
その様子を全員に注目するように言った。
「今の魔力の動きが見えた人!」
「はい!」
元気よく手が挙がる。
南海生まれのッエッチだ。
一人だけなのはまぁ仕方ないか。一人でも見えるだけマシだろう。
「どんな感じに見えた?」
「説明しにくいんですけど、カウロの手が淡く光って、ウルスさんの足にその光が吸い込まれたように見えました」
「え~、見えなかった」「もう一回!」
ッエッチの言葉に、ほかの子どもたちから声が上がる。
「はいはい、今の時点で見える必要はないから、大丈夫。あそこにいる勇者のお兄さんもちょっと前まで見えなかったんだぞ」
「えっ、師匠~」
自分には関係ないとばかりに面白がって様子を見ていた勇者を指し示す。
小さい子どももいるんだぞ、情けない声を出すな。
子どもたちは「そうなんだ~」と納得してるだろ。
「魔力というのは一人一人違う。そのため、魔法を他人に影響させる場合にはなんらかの拒絶的な反応がある。しかし癒やしの魔法は唯一他人のなかに拒まれずに入り込むことが出来る魔力だ。これはかなり特殊な魔力で、そのせいで癒やしの魔法は特定の人間しか使うことが出来ない」
俺の説明にカウロが照れたようにもじもじする。
「それじゃあ、ミュリア、全体回復をお願い出来るか?」
「はい。……この手の届く人々の受けたる障りを流し去りたまえ」
聖女は胸に下げた御印に手を触れて聖句を唱えた。
俺の目には空中に現れた雨のような光の粒が周囲の人間に降り注ぐのが見える。
「あ、なんかスーっとした」
「ひんやりとしてあったかい」
「ぽかぽかする!」
「本当に足が痛くなくなった!」
全員が驚いたように上を見たり、足を触ってみたりしていた。
「魔力が作用する感覚はなんとなくわかったな。魔力は目に見えないけれど確かに存在して自分以外のものに作用する力だ。そこがまずはわかればいい。ミュリアありがとう。もういいぞ」
「はい!」
聖女はニコニコしながらもともと座っていたところに戻って行く。
なんだかうれしそうだ。
「それじゃあ自分の魔力特性がわからない人は今日寝るまでの間に今のミュリアの癒やしの魔力の感覚を思い出しながら眠ること。自分の魔力特性がわかっている組はそれぞれ指導してくれる相手に教わるように。以上、基礎の勉強終わり」
元気のいい子どもたちはそれぞれ師匠と決めた相手のところへと走って行く。
まだ自分のやるべきことがわからない子は俺のそばに来てズボンやマントの裾を引っ張り出した。
「ねーねーおっちゃん、魔法見せて!」
「おじさんも魔法使えるの?」
「おじさんは魔法を習ってないので使えません。魔力は使えるぞ」
仕方ないのでその子どもたちの相手をすることとなった。
しかし子どもたちは魔法は使えないが魔力が使えるという理屈がわからないようだ。
「どういうこと?」
「おっちゃん詳しく!」
「例えば、そっちでニヤニヤしているウルスのおっさんは自然に予知が使えるようになったと言ってただろ。天性の魔力持ちっていうのはそういう風に必ず魔力特性というものがあって、何か得意なことがあります。一般的には放出か魔力による強化が多いな」
「んー?」
子どもたちが首をかしげる。
ネスさんやヌマシダ少年はなんとなくわかっているようだ。
「例えば俺は放出は使えないが、放出が使える人間は、魔力を自分の体の外に放って、何かの現象を起こすことが出来る。さっき言った風みたいに草を揺らしたりな」
「えーつまんない」
「いやいや、放出の強い奴っていうのは、手を触れずに他人を投げ飛ばしたり出来るんだぞ。ただし魔物相手だと工夫をしないと怒らせるだけだったりするから注意が必要だ。不用意に使わないように」
「へー」
「放出系の魔力持ちは小さいころに現象が現れやすいと聞いている。寝ているときに周りの物が動いたりした人はいるかな?」
俺の言葉に一人の少女がビクッとした。
ええっと、確かイチカか。
北冠の生まれだったな。
「あ、あたし、違うの。わざとじゃないの。だけど、お母さんがすごく怒って……」
おおう、泣き出したぞ。
「おいおい、なんで泣いてるんだ。大丈夫だぞ。家が恋しいのか? そうだよな。まだ子どもだもんなお前ら」
「違うの、私朝起きたら部屋がめちゃくちゃになってることが何度もあって、お母さんがね、凄く怒って、こんな悪ふざけするのは私の子じゃないって。私、知らないって言ったのに……」
「そうか。小さい頃はコントロール出来ないもんな。大丈夫。今はむやみに魔力を放ったりしてないだろ。それは君が我慢しているからなんだぞ」
「我慢?」
「ああ。放出系の魔力持ちはだいたい何かやらかして、それに自分がショックを受けて我慢し続けてある日突然暴走するということがあるんだ。俺たちの国ではそういうことが起きないように、放出系の魔力持ちの子どものために親はお守りを作ってやってな。使う必要があるときにはそれを壊すことで使うように習慣付けるんだ。紐で編んだ腕輪とかが多いな」
俺の説明にイチカは勢い込んで尋ねた。
「それがあればお母さんに怒られない?」
「うーん、そうだな。イチカの国はちょっと難しいかな。これは答えにくいかもしれないから答えなくてもいいけど、もしかしてお母さんが君を収容所に入れるって言ったのか?」
「ううん。おかあさんは部屋を散らかしちゃ駄目って怒っただけ。学校で検査があってね、車に乗せられてそのまま行ったの。お家に帰りたいって言ったのに、誰も聞いてくれなくて。……あのね、でも、私って魔人なんだよね? 悪い子になったんだよね? だからお家に帰れないんでしょ?」
イチカのお母さんの立ち位置がわからないな。
本当に気づいてなかったのか、気づいていてそれを認めようとしなかったのか。
どちらにせよ、もうイチカが戻れる場所ではないのは間違いない。
だけどイチカはまだ子どもだ。確か八歳だったか? まだ家に帰れると思っていたいのだろう。
こういうのはどう説明すればいいんだろうな。
「いや、別に魔人は悪い子じゃないぞ。髪や目の色が違うようなもんだ。イチカの国の人はそういう違っていることが嫌いなんだな、きっと」
「悪いことじゃないの?」
「悪いことじゃないさ。イチカは鳥に羽根があって空を飛べるのが悪いことだと思うか?」
「キュルッ?」
俺の言葉に頭の上からフォルテが返事をした。
イチカはフォルテをじっと見ると、少し首をかしげる。
「ええっとね、うらやましい、かな?」
「そうだ。君の力は本来羨ましがられることはあっても、悪いものじゃない。もっと堂々としていればいい。こいつだって堂々としているだろ?」
「クルルルルル!」
フォルテはイチカの肩に飛び乗ると偉そうに胸を張ってさえずってみせた。
イチカはそんなフォルテを撫で回し始める。
「ありがとうフォルテちゃん」
「ギュィッ」
自慢の羽根を逆立てられながら、フォルテは不満気に鳴いたが、相手は子どもとわかっているからか好きなようにさせていた。
フォルテもずいぶん我慢を覚えたなとちょっと感心したのだった。
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