出戻り公爵令嬢の閨指導

綾瀬 りょう

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街歩きと婚約破棄

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 自分からお出かけに誘ったのは、すっごく心臓がドキドキしてしまっていた。ただ、閨指導……体の繋がりだけじゃなくて楽しい思い出も作りたくて誘ってしまったんだ。これは淑女として自分の気持ちをちゃんと制御できていないから、駄目だと思ったんだけど抑えきれない気持ち。私も新しい嫁ぎ先も探さなければならない。楽しいデートをしてみたいっていう乙女心。二十歳を過ぎている未亡人がそれを望んじゃいけない気もしたけど。
 そのままの姿で街に降りてしまったら混乱しかないから、変装していくことになった。
 いつもと違うドレスに、私はワクワクしていた。

「キャロル様の美しさは、このような服では隠しきれないのに」

 いつもより少し雑に髪の毛を梳かしているリナーはとても不満そうだった。私は鏡の前に座りながら、ワザと目元などが不細工に見えるように施された化粧に驚いていた。

「だってそのままの私じゃ危ないんでしょ?オズワルド様にも注意されたのよ。“一緒に出掛けるのは良いが、そのためにはできる限り高貴な身分だと悟られないようにしてほしい”って。王族が街に降りて行くのは警護が必要でしょう?」

 簡単なことじゃないって分かってるからこそ、街歩きを許可してもらったからには迷惑を最小限にするしかない。

「わたしが、キャロル様の隣にいられれば……そうですわね。わたしも行けばいいんですわ」
「リナー、貴方の凄さを知ってますが、それは秘密兵器ですよ。バレてはなりません。約束忘れた?」

 大国に連れて行ったのがリナーだけで、お父様たちが許してくれた理由の一つが彼女が暗器使いというのが大きかった。化粧の腕前も変装に使うこともできるから、私には彼女がいないといけない。彼女の人生を私に縛り付けていると分かっているけど、私を主と定めたリナー。大好きだから彼女に見合う女性にもなりたいって思っているのを、口に出せないんだけど。

「町娘スタイルしてみたかったのよね」
 チラッとリナーの顔を覗くと、髪を梳く手が止まる。
「そりゃぁキャロル様は何でも似合いますよ。でもでも、いつものキラキラを抑えないといけないんです。分かりますか、私のキャロル様に対する愛が伝わるようにしたいのに」

 コンコン
 部屋の扉がノックされ、遠慮がちな声が聞こえてくる。
「キャロル様、オズワルド様がいらっしゃいました」
 メイドの声にリナーが眉を寄せている。彼女の顔を見上げるとどこか泣きそうだった。
「リナー貴方が私の事を大切にしてくれているのは知っているけど、オズワルド様を待たせる訳にはいかないから、他のメイドに手伝ってもらってもいいかしら?」

「申し訳ありません。わたしが遅かったから」
 私が許可を出したので入って来たメイドが、そわそわしている。
「どうしたの?何か言いたいことがあれば、言ってちょうだい?」
 私が促すと、リナーの方を見ながらそのメイドは口を開いた。

「オズワルド様が予定時刻より早くいらっしゃったと思います」
「……それならお待たせしても大丈夫ですね!!」
 元気を取り戻したリナーに対して他のメイドが何か言いたげに私に視線を向けてきたので、どうしようか私も困ってしまった。


 手伝いに来てくれたメイド達のお陰で準備は直ぐに終わり、馬車で街の近くまで行くことになった。いつもの王族用の絢爛豪華な物ではなく、何の紋様も入っていない馬車。しかし作りはしっかりしたもので、馬の毛並みもとても良かった。
 馬車に乗り込むと、目の前にオズワルドが座り、外に騎士が控える形となった。

 二人きりの馬車でオズワルドが私のことを穴が開くんじゃないかってくらいジッと見つめてくる。
「オズワルド様何か言いたいことがあるなら、言ってください」
「こんなに可愛いのなら、部屋に閉じ込めてしまいたい」
「ちょ、何を言い出すんですか」

 直球なお世辞にどう反応するのが一番いいのか悩んでしまう。令嬢としての笑顔を向ければいいだけの話なんだけど、それで終わらせてしまっていいのかな。

「何って可愛いのを伝えないのは、勿体ないだろう?君を口説くと心に決めたんだよ。でないと、君は捕まらないだろう」
「それは、閨での女子を口説く訓練という事でよろしいですわよね!!!」
 笑うオズワルドは、どこか余裕に溢れているきがする。
 私が教育しないといけないのに、手のひらの上で転がされている気がしてしまう。私が教えたいと思う矛盾した気持ちがある。嫁いでいたからこそ、優位に立ちたいなって考えてみたりする私が活けないのかしら。
「どんな服を着ても可愛いキャロル。このまま城に戻りたい」
 とオズワルドは私の隣に腰を降ろし始める。
 広めの馬車のはずなのに、膝がくっつきそうな位置にわざと座るオズワルド。
「オズワルド様、ここまで甘いセリフも完璧に仰れるなら閨指導しなくても大丈夫のような気がしてきましたわ、私」

 わざと窓の外に視線を向ける。今日のオズワルドは男爵家の護衛という設定だそのため、オズワルドの護衛と私の護衛どちらもすぐそばに一人ずつ配置される予定になっている。本来は町娘とその友達にしたかったのだが、私とオズワルドから滲み出るキラキラしたオーラが隠しきれないとリナーに泣かれてしまった。身に染みている所作の美しさが裏目に出るとは思わなかった。
 横目でオズワルドを見る。正面に座っていて距離が会ったときは我慢ができたけど、近くだと鼓動が聞こえてしまいそうで、どういう反応をすればいいのか分からなくなってしまう。王太子の姿も素敵なのだが、いつもよりもシンプルな装いなのに色気は十倍増しになっている気がする。

「そんなこと言うなよ。俺が甘い言葉をかけられるのは、キャロルだけなんだ」
 そう言いながら私の頬に手を伸ばすオズワルド。熱のこもった瞳が執務室でのものに重なる。何度も何度も唇を重ねたあの時を想像するとお腹のあたりがぎゅうッとなってしまう。
「キャロル、頬が赤いぞ」
「これは馬車の中が熱いからです」

 悟られちゃ駄目だ。何回でも触れられたいって考えてしまうし、今すぐにでも彼の胸に飛び込んで触れ合いたい。
 ガタっと馬車が止まる音がする。
 ノックの後に遠慮がちな声がする。

「あの、目的地に到着いたしました」
 オズワルドを一番身近で護っている騎士の声だった。
「っち。タイミングの悪い」
「オズワルド様???」
「なんでもない、キャロル。分かった。直ぐ行く」

 オズワルドが舌打ちをした……と思って思わず口元を見つめてしまった。
 ペロッと舌を出すオズワルド。
「なんだ、欲しいのか」
「ちがっ・・・・・・」

 返事を待たずに顔が近づいてくる。
 期待してしまっている。キスされた感触を忘れられていないから、その快楽に溺れたくなる。
 騎士も呼んでいたということは、声を出したら何をしているのかバレてしまう。
 唇が触れるだけの短めのキス。直ぐに離れてしまったので、目を開くとオズワルドはジッと私の顔を見ていた。

「馬車の中で手を出さなかっただけ、偉いからご褒美もらうぞ」
 とそのまま角度を変えて何度も唇が重なる。重なるたびにその感触がずっと続けばいいと思ってしまう。何度も重ねていくうちに舌が入りたそうに唇を舐めてくる。私はその唇に触れたくて開いてしまった。
「はう、あ……」

 気が付くとオズワルドの右手が私の胸をドレスの上から揉んでいる。街へのお出かけ着なのでいつもよりも薄手なのでオズワルドの体温を感じてしまいそうだった。
「ん、あう、おずわるど、さまぁ」
 返事をしてから直ぐに出て行かなかったら何をしているのか勘ぐられてしまう。馬車の中でやることもある話は聞いたことがある。どうしよう、絶対に直ぐでないと不審がられてしまう。
 でもでも、オズワルドの唇が、吐息が私を求めているのを感じてしまうから離れられない。
 私も彼のことを求めているから、無意識に彼の背中に手を回そうとして……。
 ゴンゴンゴン
 馬車の扉が激しく叩かれる音で、私は背中に回そうとしていた手を止める。
「オズワルド様!!いいんですか!!街を散策する時間が取れなくなってしまいますよ」
 ちゅぷっと音を立てて唇が離れる。オズワルドの口にはどちらの唾液か分からないものが、私の口にも付いている。

「ん、お前は相変わらずせっかちだな」
 唇を離すが胸を揉む手は止まらず、私の敏感な所を探ろうとしている。
「ん、ちょっ」
 ぺちっと手をどけようとするけど、力の強いオズワルドの手をどけられず、激しさが増す。抑えようとしても声が自然とこぼれてしまいそうになる。

「どうしましたか!!具合でも悪いのでしょうか」
 馬車の外で心配そうな騎士の声が聞こえてくる。オズワルドがもう一度私の唇を多い、優しく舌で歯茎をペロッと舐めた。

 オズワルドは、胸を揉む手を辞め、乱れていた服を整えるふりをして胸から腰に掛けてのラインを触りニヤッと笑う。
「大丈夫だ。乗り慣れない馬車でちょっと疲れただけみたいだから、今降りる」
 私があっけにとられていると馬車の扉が開かれ先に降りたオズワルドが、エスコートのために手を出している。

「お嬢様、街に着きました」
 そのお辞儀の角度がすっごく綺麗で、でも腰まで触られて私の体が敏感に反応しちゃったけど自分から求めるのが恥ずかしくて、私は無理やり淑女の笑顔を取り繕う。
「ちゃんとエスコートしてくださるのよね?」
「もちろん」
 やっぱりオズワルドの顔が好きだなって改めてしまう。それよりもこの高ぶったのは、どこで解消すればいいのよ!!!



 馬車が止まったのは街に入る入口近くで、隣をオズワルド後は少し離れたところ騎士たちが護衛として歩いている。オズワルド曰く街の中にも平民を装って数名潜伏しているから安心して欲しいと言われた。
 自分から夜のコミュニケーションだけでなく、昼間のコミュニケーションも大切だと話しておいて何もプランを考えていない。

「今日の予定はどちらに向かうんですか?」
 普段と立場が違うのだけれど、どの位置で歩けばいいのか悩んでしまう。騎士に扮しているから、腕を組んでもいいものなのかな。と、オズワルドは気にせずいつもの立ち位置にいる。流石に腕を組むのは憚れるので、一歩後ろを歩いていた。

「今日は巷で有名な所に案内しようと思っている」
「有名な所?」
 リナーが何か話していたような気もする。
 なんだっけ?
 お茶会で会ったゾーイが何かお店を始め、それが流行っていると聞いたことがあるような気がした。
 すれ違う人々は私たちのことに、気が付いていないのかもしれない。服装だけでなく髪色と目の色も魔法で変えている。認識障害を施しているから、私には普段のオズワルドが騎士の姿をしているだけなのだが、私とオズワルドに集まる視線は普段のモノと変らない気がする。

「あの、オズワルド様」
 私はオズワルドの元に急いで近づく。お忍びで来ているのがバレてしまったら急いで帰らないと街の中が混乱の渦になってしまう。
 私の心配とは裏腹に、オズワルド様は落ち着いて周囲を見回している。

「来る前に渡したブレスレットあるだろう?アレにも認識疎外の効果を付与しているんだ。キャロルに見えている訳ないんだが」
 そう言いながら一つの店の前で足を止めるオズワルド。正体がバレていないのであればいいんだけど。
「あら、キャロル様」
 扉を開けて直ぐの所に、あまり着飾っていないゾーイがいた。淡い黄色のドレスで、私の町娘スタイルというか、どこかの令嬢のお忍びのように見えるような身軽な衣装とは違う“貴族令嬢のお忍び用のドレス”だった。

「ゾーイ様……?」
 私が返事をすると、オズワルドが私を庇うように一歩前に出る。
 近くに居合わせたのは店員だけで、チラッとゾーイに視線を向けてから深々と頭を下げる。年のころは六十代くらいだろうか。気配を消すのが上手そうなおじいちゃん執事だった。

「大変申し訳ございません。ご予約のお席はご用意できております。ゾーイ様。今しがた話したばかりでしょう」
 そう言うとゾーイのブレスレットを指さした。私がオズワルドに貰ったものに近い形で、赤いサファイヤのようなブレスレット。
「悪いお客様が混じっていないように見分けるために渡したものですが、お嬢様にはまだ早かったみたいですね」
 その言葉にゾーイがブレスレットを庇うように自分の身に引き寄せた。
「えっと、そのごめんなさい。で済まされないわよね。とりあえず予約席に言ってちょうだい。お父様からこの店を任せられたんだから、ブレスレットを使いこなすって約束するから……」
 おそらく店を任されている高齢の男性はオズワルドに視線を向ける。判断を任せてくれるようだ。

「そうだな、条件を一つ飲んでくれれば許してやるから、一緒にこい」
 自然とエスコートするオズワルドに、私は街中で普通に名前を呼んでいたのを思いだした。
「あの、申し訳ありません、私名前を」
「大丈夫だ。魔法で名前も相手に聞こえないようにしていたんだが“見抜く”ほうの腕輪をつけている者に名前を呼ばれると術式が解ける仕組みになっていてね。新しい物を取りに行かせている間に、ワッツ公爵令嬢とも話をつけたくてね。家柄としては釣り合っているからこそ強く言ってこなかったが、この際ハッキリさせようと思って。本人たちに気持ちが無かったら誰も押さないだろう?」

「どうしてそんなに自信満々なのですか?」
 入って直ぐの入り口から左奥に進むと階段があり、それを一つ上がる。階段直ぐの部屋を開けるとそこは城にあっても問題ないくらい品質の高いものが並んでいる。
 一番前を護衛騎士が歩いていて、扉を開けると入室を促される。

「大変申し訳ございませんでした」
 部屋に入って直ぐにゾーイが謝罪する。四人掛けのソファが中央にあり、入室と直ぐにメイドが茶と菓子のセットを二人分机の上にしてくれた。いつもと同じようにオズワルドが上座に座り、私はその迎えに座る。
 いつもと同じ威厳に満ち溢れたオズワルド。私はそっと二人の様子を観察する。部屋の外に二人の護衛が立っている。私はオズワルドに貰ったブレスレットに視線を落とす。

「いや君が知らなかったのは仕方ない……でだお忍びで来たのでそれに対して身の安全の保障がなくなってしまった。その代わりを差し出せるのか」

「大変申し訳ありません」
 入口に立つゾーイが頭を下げる。その肩が震えている気がして私はどう声をかけてあげるか悩んでいたのだが、どこか嬉しそうなオズワルドの声が聞こえて来た。

「でだ、君が婚約者候補になっていると聞いているんだが、それを君のほうからも否定してくれないか」
「もちろんです!!いえ、そんな、え、オズワルド様??」
 ゾーイが勢いよくオズワルドの方に近づいていく。はたと気が付いたのか立ち止まる。
「申し訳ございません」
 オズワルドは口元を手で覆った。
「いや、俺の仕入れている情報があっていればの話なんだが、ワッツ公爵令嬢には実は愛しい相手がいると」
 私はその言葉に飲んでいた紅茶を噴きこぼしそうになる。
 ゾーイではなくオズワルドに視線を向ける。瞳が獲物を狙う獣のように見えた。夜ベッドの上で見せるモノとは違う、強者の瞳。
「流石、隠していたんですけど。ええ。私には愛しい人がいます。オズワルド様に言われたのでハッキリと断言します」
「そうか、なら俺の方から手を回すからすぐその者と婚儀をあげてくれ。婚約者候補がいると俺のお姫様は心を曝け出してくれなくてね」
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