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初恋の少女は今も可愛い。むしろ昔より可愛い(オズワルド視線)
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数年ぶりに会って、俺のことなんて忘れているかと思った可憐な少女は、今や女性に成長していた。困った時に幼さの残る表情になるのは変わっていなかった。それがすごく嬉しくて、マシューの代わりに閨指導をしにきたときは、自分がどうするのが一番正しいのか混乱してしまった。
触れれば今まで聞いたことのない甘い声をあげる。それを聞いたことがあるのが、俺だけじゃないっていうのが少し不満だ。キャロルが「未亡人」として戻ってきたのはそういう意味だ。初めてはもう捧げている。それは仕方のないことだ。公爵令嬢として、今回は王族の血を継いでいる理由もあり国同士の友好も含まれていたはずだ。
だから未亡人になっても大国に残ると思ったのだが、戻ってきてくれた。
誰がなんと言おうが、俺はもうキャロルを手放すつもりはない。例え精霊王に嫌われていようとも、どうにかしてみるつもりだ。
目の前に山積みになっている書類があるのも、国王たる父上が俺を試しているのも知っている。婚期を伸ばすという我儘をしてきた。タイムリミットまで後少し。キャロルは国に戻ってきたけど、まだどうなるかは分からない。落とすつもりでいるが、落とした後の皆の反応を考えると、少し悩むこともあるが……。
「はぁ~」
城にいなければならないなら、この手伝いですらキャロルにして欲しいと思う。先ほどまでキャロルと触れ合っていた唇に触れる。この部屋には俺とマシューしかいない。同じ顔なんだけど、お前じゃないんだと、マシューの顔を眺める。
「今後の公務ですが、少し国を開ける必要があるものが、あるかもしれませんね……」
俺の補佐をしているマシュー。隣国の姫と恋仲だったが、恋は終わってしまったと教えてもらった。でも、どうしてマシューは詳しく、俺から、ことの顛末を聞いてこないのだ??
「質問してきてこないのか?!?」
心に思っていたことが思わず口から出てしまい、マシューは手にしていた書類から視線を俺に向ける。
「姉との生々しい話は聞きたくありません。それより僕は家を継ぐ必要が出てきたんですから。オズワルド様が早く婚姻を結んでくれないと令嬢は王子との婚約を目指してしまいます」
ため息をつきながら、マシューは俺がキャロルを膝の上に乗せていた方のソファーにバサっと座る。基本的には気の弱い人間なのだが、話が長くなると感じると遠慮なく座り始める。本人曰く、体力がないとのことだ。
俺もソファに移動する。もちろん最初にキャロルが座っていた方に。どうしよう。さっきまで自分が襲っていた側に似た顔があると思うと、なんだかドキドキしてきてしまう。
「俺のテンションが上がるように、女装してくれないか?」
「オズワルド様、要らぬ誤解をさらに足して何をしたいんですか?」
名案は秒で却下されてしまった。マシューは本人に自覚がないシスコンだ。だから恋をするなんて思ってなかった。振られた理由は詳しく話してくれなかったが、家をつぐには相応の家柄が必要だ。
「幼馴染だろう。他国に一緒に留学した中じゃないか。夜な夜な己の性癖を語ってきて、今更何を恥ずかしがる?」
「留学するから必要があったのは、オズワルド様だけでしょう!!友も一緒にいないと嫌だぁってわがまま言って僕を連れて行ったの、忘れましたか?」
キャロルの怒りかたとは違う、マシューの怒りかた。机をバーンと叩くようなマネは彼女はしない。公爵令嬢としての気丈が凛とした美しさを醸し出している。
あぁ、どうしてキスしてトロトロになっていたキャロルの判断能力が無くなりそうな瞬間を狙って直接触りたかったのに!!
「俺の幸せを願ってるんだったら、協力してほしい」
「協力は惜しみませんが、姉上をこれ以上巻き込まないでください」
「…キャロルが自分の意思で俺に嫁ぎたいと言ってきたら?」
触ったときに本気で嫌がっている感じはしなかった。どちらかと言えば、照れと迷いを感じている。
時間はない。未亡人とはいえまだ若いキャロルの次の嫁ぎ先なんて、探せばいくらでも出てくる。
マシューの眉間に皺が寄る。
「仮に姉上が望めば手を貸しますが、大国の王のことをいまだに“旦那様”って呼んでるんですよ?そんな姉上の気持ちを簡単に手に入れられるんですかね?」
疑り深いマシュー。俺がキャロルを落とすより、マシューに誰か恋人を見つけてきたほうが味方ができていいような気がしてきたな。
「オズワルド様、何かよからぬことを考えていますね。顔に書いてあります」
「バレたか」
マシューに隠し事はできない。本人には自覚がないが、双子の姉であるキャロルが聖魔法の使い手であるように、マシューは人の心に敏感だ。嘘を見破る力を持っていたりいなかったり。俺に対しては百発百中。ハニートラップなども助けてくれたのはマシューだったりするから、頭が上がらないときもないわけじゃない、そう。尊敬してないわけじゃない。
マシューははっと、何かを思い出したように、部屋の隅に走ると、一つの箱を抱えてきた。
白いその箱には大国のマークが描かれており、ピンクのレースが不釣り合いだった。
「姉上あてに、元嫁ぎ先から荷物が来たのですがこれは渡しても大丈夫ですか?」
「基本的に大丈夫だが、城の中に入れるなら検閲しないと」
俺たちは顔を見合わせる。俺の一方的な行動でキャロルが城に居続けることになってしまっている。公爵家でも荷物の検閲はしていると思うが、大国からの荷物を勝手にみることは許せれない気がした。
「分かった。俺がそれを預かる。今日の夜会ったときに目の前で開けてもらえないか聞いて、ダメなら透視魔法をする」
「そうですね。姉上宛の荷物、大国からだったら大丈夫だとは思うんですけど、ちょっと心配で」
ナイスだマシューよ。俺が今日の夜もキャロルの部屋に行く口実を見つけてきてくれたんだ。本人には絶対に言ってやらないけどな!!
箱を抱えて歩くのは、少しワクワクしてしまう。キャロルに会うと思うだけで、子どもの頃のような無邪気な心が顔を出す。箱は俺が持って行こうとした姿を騎士たちに見られて止められたが、自分で持っていきたいとキャロルに会いたいんだって言うと納得してもらえた。
箱は思ったよりも軽い、多分衣類のような気がする。わざわざ大国から送ってくるのが不思議だった。
部屋の前に立つ騎士からメイドに荷物を持ってきたことだけ伝えると、快く部屋に通してもらえた。
「キャロル、こんばんは」
昼間あんなことを執務室でした……キャロルがどんな顔で俺に向き合ってくれるのか楽しみだった。
「オズワルドさまぁ。」
顔を真っ赤にして、床を見ている。持っていた箱を落としそうにな流のを必死にこらえる。かっこ悪いところを見せたくない。何より荷物を落としたとても思われたら俺の株が下がってしまう。
「座ってもいいかな?」
「は、いぃぃ」
キャロルの動きは挙動不審だ。こんなに可愛い行動を、処女じゃないのにするとなると、俺のアレがもしや、愛していた旦那様を思い出させてしまったのか?旦那様のアレもそうなると大きかったのか?
平然を装いながら、箱を机の上に置き、ソファに腰をおろすとキャロルは向いの席に座らずに箱を凝視して首を傾げる。
「大国から……?何かあったのかしら?」
「キャロル、城に届いたものを本来調べる必要があるんだが、大国からと言うことでまだしていないんだ。差し障りがなければ開封を同席しても?」
「それでしたら、先に私が箱の中身を透視します」
箱に手を当て光り輝いたと思ったら、キャロルの耳まで赤くなる。
「ど、どうした!?危険物でも入っていたのか?」
「違います」
「なら、俺の目の前で開けられるだろう?」
「それは、その」
キャロルの視線は右に左に動く。
じっと睨みつけていると、大きなため息をついた。
「多分イタズラで送ってきただけだと思いますので、何も言わないでくださいね」
そう言って、出てきたのは二つのドレス。一つは純白のドレス。まるで結婚式で着るようなもの。上には「幸せになって」というメッセージ付き。もう一つはスケスケの、ナイトドレスだった。
「……」
「……」
お互いに見つめ合う。先に意識を取り戻したのは俺だった。
「キャロル、ソレを着てくれないか」
「な、何を言い出すんですか!!」
「ナイトドレスを着てやる手法も聞いたことがあってな。耐性をつけておかないとハニートラップで引っかかるかもしれない」
「そんなわけないでしょう」
「キャロルは俺の、閨指導者だ」
関係を持つために、それを盾にするのはいけないと思ったけど、ごめん。キャロル。
俺は自分の中に飼っている獣を躾することができないみたいだ。
触れれば今まで聞いたことのない甘い声をあげる。それを聞いたことがあるのが、俺だけじゃないっていうのが少し不満だ。キャロルが「未亡人」として戻ってきたのはそういう意味だ。初めてはもう捧げている。それは仕方のないことだ。公爵令嬢として、今回は王族の血を継いでいる理由もあり国同士の友好も含まれていたはずだ。
だから未亡人になっても大国に残ると思ったのだが、戻ってきてくれた。
誰がなんと言おうが、俺はもうキャロルを手放すつもりはない。例え精霊王に嫌われていようとも、どうにかしてみるつもりだ。
目の前に山積みになっている書類があるのも、国王たる父上が俺を試しているのも知っている。婚期を伸ばすという我儘をしてきた。タイムリミットまで後少し。キャロルは国に戻ってきたけど、まだどうなるかは分からない。落とすつもりでいるが、落とした後の皆の反応を考えると、少し悩むこともあるが……。
「はぁ~」
城にいなければならないなら、この手伝いですらキャロルにして欲しいと思う。先ほどまでキャロルと触れ合っていた唇に触れる。この部屋には俺とマシューしかいない。同じ顔なんだけど、お前じゃないんだと、マシューの顔を眺める。
「今後の公務ですが、少し国を開ける必要があるものが、あるかもしれませんね……」
俺の補佐をしているマシュー。隣国の姫と恋仲だったが、恋は終わってしまったと教えてもらった。でも、どうしてマシューは詳しく、俺から、ことの顛末を聞いてこないのだ??
「質問してきてこないのか?!?」
心に思っていたことが思わず口から出てしまい、マシューは手にしていた書類から視線を俺に向ける。
「姉との生々しい話は聞きたくありません。それより僕は家を継ぐ必要が出てきたんですから。オズワルド様が早く婚姻を結んでくれないと令嬢は王子との婚約を目指してしまいます」
ため息をつきながら、マシューは俺がキャロルを膝の上に乗せていた方のソファーにバサっと座る。基本的には気の弱い人間なのだが、話が長くなると感じると遠慮なく座り始める。本人曰く、体力がないとのことだ。
俺もソファに移動する。もちろん最初にキャロルが座っていた方に。どうしよう。さっきまで自分が襲っていた側に似た顔があると思うと、なんだかドキドキしてきてしまう。
「俺のテンションが上がるように、女装してくれないか?」
「オズワルド様、要らぬ誤解をさらに足して何をしたいんですか?」
名案は秒で却下されてしまった。マシューは本人に自覚がないシスコンだ。だから恋をするなんて思ってなかった。振られた理由は詳しく話してくれなかったが、家をつぐには相応の家柄が必要だ。
「幼馴染だろう。他国に一緒に留学した中じゃないか。夜な夜な己の性癖を語ってきて、今更何を恥ずかしがる?」
「留学するから必要があったのは、オズワルド様だけでしょう!!友も一緒にいないと嫌だぁってわがまま言って僕を連れて行ったの、忘れましたか?」
キャロルの怒りかたとは違う、マシューの怒りかた。机をバーンと叩くようなマネは彼女はしない。公爵令嬢としての気丈が凛とした美しさを醸し出している。
あぁ、どうしてキスしてトロトロになっていたキャロルの判断能力が無くなりそうな瞬間を狙って直接触りたかったのに!!
「俺の幸せを願ってるんだったら、協力してほしい」
「協力は惜しみませんが、姉上をこれ以上巻き込まないでください」
「…キャロルが自分の意思で俺に嫁ぎたいと言ってきたら?」
触ったときに本気で嫌がっている感じはしなかった。どちらかと言えば、照れと迷いを感じている。
時間はない。未亡人とはいえまだ若いキャロルの次の嫁ぎ先なんて、探せばいくらでも出てくる。
マシューの眉間に皺が寄る。
「仮に姉上が望めば手を貸しますが、大国の王のことをいまだに“旦那様”って呼んでるんですよ?そんな姉上の気持ちを簡単に手に入れられるんですかね?」
疑り深いマシュー。俺がキャロルを落とすより、マシューに誰か恋人を見つけてきたほうが味方ができていいような気がしてきたな。
「オズワルド様、何かよからぬことを考えていますね。顔に書いてあります」
「バレたか」
マシューに隠し事はできない。本人には自覚がないが、双子の姉であるキャロルが聖魔法の使い手であるように、マシューは人の心に敏感だ。嘘を見破る力を持っていたりいなかったり。俺に対しては百発百中。ハニートラップなども助けてくれたのはマシューだったりするから、頭が上がらないときもないわけじゃない、そう。尊敬してないわけじゃない。
マシューははっと、何かを思い出したように、部屋の隅に走ると、一つの箱を抱えてきた。
白いその箱には大国のマークが描かれており、ピンクのレースが不釣り合いだった。
「姉上あてに、元嫁ぎ先から荷物が来たのですがこれは渡しても大丈夫ですか?」
「基本的に大丈夫だが、城の中に入れるなら検閲しないと」
俺たちは顔を見合わせる。俺の一方的な行動でキャロルが城に居続けることになってしまっている。公爵家でも荷物の検閲はしていると思うが、大国からの荷物を勝手にみることは許せれない気がした。
「分かった。俺がそれを預かる。今日の夜会ったときに目の前で開けてもらえないか聞いて、ダメなら透視魔法をする」
「そうですね。姉上宛の荷物、大国からだったら大丈夫だとは思うんですけど、ちょっと心配で」
ナイスだマシューよ。俺が今日の夜もキャロルの部屋に行く口実を見つけてきてくれたんだ。本人には絶対に言ってやらないけどな!!
箱を抱えて歩くのは、少しワクワクしてしまう。キャロルに会うと思うだけで、子どもの頃のような無邪気な心が顔を出す。箱は俺が持って行こうとした姿を騎士たちに見られて止められたが、自分で持っていきたいとキャロルに会いたいんだって言うと納得してもらえた。
箱は思ったよりも軽い、多分衣類のような気がする。わざわざ大国から送ってくるのが不思議だった。
部屋の前に立つ騎士からメイドに荷物を持ってきたことだけ伝えると、快く部屋に通してもらえた。
「キャロル、こんばんは」
昼間あんなことを執務室でした……キャロルがどんな顔で俺に向き合ってくれるのか楽しみだった。
「オズワルドさまぁ。」
顔を真っ赤にして、床を見ている。持っていた箱を落としそうにな流のを必死にこらえる。かっこ悪いところを見せたくない。何より荷物を落としたとても思われたら俺の株が下がってしまう。
「座ってもいいかな?」
「は、いぃぃ」
キャロルの動きは挙動不審だ。こんなに可愛い行動を、処女じゃないのにするとなると、俺のアレがもしや、愛していた旦那様を思い出させてしまったのか?旦那様のアレもそうなると大きかったのか?
平然を装いながら、箱を机の上に置き、ソファに腰をおろすとキャロルは向いの席に座らずに箱を凝視して首を傾げる。
「大国から……?何かあったのかしら?」
「キャロル、城に届いたものを本来調べる必要があるんだが、大国からと言うことでまだしていないんだ。差し障りがなければ開封を同席しても?」
「それでしたら、先に私が箱の中身を透視します」
箱に手を当て光り輝いたと思ったら、キャロルの耳まで赤くなる。
「ど、どうした!?危険物でも入っていたのか?」
「違います」
「なら、俺の目の前で開けられるだろう?」
「それは、その」
キャロルの視線は右に左に動く。
じっと睨みつけていると、大きなため息をついた。
「多分イタズラで送ってきただけだと思いますので、何も言わないでくださいね」
そう言って、出てきたのは二つのドレス。一つは純白のドレス。まるで結婚式で着るようなもの。上には「幸せになって」というメッセージ付き。もう一つはスケスケの、ナイトドレスだった。
「……」
「……」
お互いに見つめ合う。先に意識を取り戻したのは俺だった。
「キャロル、ソレを着てくれないか」
「な、何を言い出すんですか!!」
「ナイトドレスを着てやる手法も聞いたことがあってな。耐性をつけておかないとハニートラップで引っかかるかもしれない」
「そんなわけないでしょう」
「キャロルは俺の、閨指導者だ」
関係を持つために、それを盾にするのはいけないと思ったけど、ごめん。キャロル。
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