9 / 13
9話 見えないものを見ようとしてその③
しおりを挟む
おい…嘘だろ?全部これ俺の血か?
やばい、これはマジでシャレになんねぇよ…
死にたくない、痛い、痛い。
ロードの意識は遠ざかって行く。ロードは必死に傷口を能力で治療しようとする。
だが、能力を使えるのは、能力者の意識があるのが条件、このまま、ロードの意識がなくなれば、もうロードは助からない。
しかも撃った銃は、ショットガン、波動がなければ即死だ。
この上ない屈辱だ。目の前で人が死にかけているのに、何も出来ない、助けたくても、後一歩が踏み出せない。
いつしか目からは涙がこぼれた。悔しいんだ、情けないんだ、もっと自分はしっかりしてる、もっと自分は人のためになれる。
そんなことは無かった。自分はただ人が作った道を歩く、ただの旅行者に過ぎない。何事にも挑戦しようと思った?いいや違う、誰かが代わりにしてくれているのを、高みの見物をしてたんだ。子供の頃からそうだった、なんでも父親がしてくれた。自分は小さい頃に母を失った、それくらいしてもらって、当たり前だと思っていた。挑戦しようと思ったんじゃない、何もしてこなかったんだ。
過信していたんだ、自分の事を。
ジャックはここに来る途中にロードが言った言葉を思い出した。
「ジャック、突然だが、問題だ。」
ロードは唐突に話しかけてきた。
「強いものになるにはどうすればいいと思う?ヒントは自分に3つ、何かをするんだ。」
全く、検討もつかない。
「分からないよロード、僕には難しいよ。」
ジャックは最初から答える気などなかった。
「1つ、自分を信じるんだ。自分に身を任せ、気持ちを軽くするんだ。そうすれば、どんな危機的状況でも冷静をたもてる。」
「2つ、自分に誠意を払え。どれだけ、体をズタボロにしても、治していくのは、自分だ。誠意を表せ。」
「3つ、これが多分、1番難しい。3つ目は
自分を乗り越えることだ!」
ロードの瞳にはそれが見えた。ロードは本当の強者なのだ。どんなことにも屈しない、魂を持っている。
自分を乗り越える?なんだ、簡単じゃあないか、何もしてこなかった俺にはな。
「根性だ!掛かってこい、クソ野郎!」
俺は拳に精一杯の力を込めてルビウスに放った。
ルビウスも、パンチの体勢に入る。
一騎打ちだ、何もしてこなかった俺とのな。
メキッ!と、俺の拳から音がした。そうだ、今思い返してみれば、俺の人生そう上手くいったことなんて、なかったのだ。
攣った、アカン、こんなひょろひょろのパンチ当たるはずがない
「もらった!」
ルビウスの拳が俺の顔面に直撃する。
なんて情けないんだろう。
俺は漫画で見るような吹っ飛び方で10メートルほど飛んで倒れ込んだ。
「ありがとうな、ジャック、時間を稼いでくれたのか。」
聞き覚えがありすぎる声だった、いや、ずっと、聴きたかった声だ。
「なんで、立ち上がれんだお前!」
ルビウスは震えながら言った。
「悪いな、俺はどっちもこなすんだ。」
ルビウスは後ろに1歩、また1歩とさがって行くと、ポケットから布袋が落ちた。
「どうしようかな?パンチがいい?それとも…キック?」
ルビウスは殴られたくないと言わんばかりに口を開かない。
「さっさと答えろ、拳がウズウズしてたまんないぜ。」
ルビウスは恐怖のあまり、後ろを向いて走り出す。
「トサカに来たぜ!どっちもだな!」
ロードが怒鳴ると、ルビウスは
「パンチでお願いしまぁーす!」
まるで断末魔のようだった。
ロードのラッシュが炸裂する。
その後のルビウスの顔は酷く歪んで、見るのも辛い程だった。
俺が目を覚ました時には、とっくに決着が着いているようだった。
「お前、なんのためにこんなことを…」
ロードが倒れているルビウスに問い詰めるとルビウスは、
「俺は命令されただけだ。命令に背くと消される、お前らは必ず<あの方>が始末する!」
そう言うと、隠し持っていたナイフを布袋に投げ込む。
布袋は破け、星の聖水がこぼれて行く。
そして、ルビウス・ティアーノは命を落とした。
-ルビウス・ティアーノ (27)1865年 8月7日 先代大統領の墓にて死亡-
「君は、人間は好きかね?」
薄暗い部屋で赤毛の男が尋ねる。
「まあ、嫌いではないですね。」
扉の入口で、部下が答える。
「私はね、人間が死ぬほど嫌いだ。」
赤毛の男は恐ろしい声で言葉を吐いた。
「人間のどこがですか?」
部下は聞いた。
「全てだよ、アスタール君。特に君みたいな、表では、上の物に対して、へーこらした態度を取って、裏では死ぬほど愚痴を垂らすようなやつが嫌いかな。」
赤毛の男はさらに目を鋭くし、アスタールを睨みつける。
その時にはもう、アスタールは死んでいた。赤い絨毯が更に赤く染っていく。
ドアノブが誰かの手により捻られた。
入ってきたのは、赤毛の男の部下、エ
シュールだった。
彼の能力はサーチ・ウィンド、風を読むとこが出来る。
「どうやら、ルビウスが死んだと、流れてきました。」
エシュールは赤毛の男に報告すると、目線を少し、下に向けた。
赤毛の男はそれを聞くと目の前の椅子に腰をかけた。
「貴族は全員始末する。王家以外需要がない。」
デスクに体を向けると赤毛の男はペンにインクをつけ、書類にサインを書いていく。
彼、赤毛の男はこの国、バザール王国の大統領である。
「我々は王に誓ったのだ、エンリオ王子を探し出し、保護することをな…」
やばい、これはマジでシャレになんねぇよ…
死にたくない、痛い、痛い。
ロードの意識は遠ざかって行く。ロードは必死に傷口を能力で治療しようとする。
だが、能力を使えるのは、能力者の意識があるのが条件、このまま、ロードの意識がなくなれば、もうロードは助からない。
しかも撃った銃は、ショットガン、波動がなければ即死だ。
この上ない屈辱だ。目の前で人が死にかけているのに、何も出来ない、助けたくても、後一歩が踏み出せない。
いつしか目からは涙がこぼれた。悔しいんだ、情けないんだ、もっと自分はしっかりしてる、もっと自分は人のためになれる。
そんなことは無かった。自分はただ人が作った道を歩く、ただの旅行者に過ぎない。何事にも挑戦しようと思った?いいや違う、誰かが代わりにしてくれているのを、高みの見物をしてたんだ。子供の頃からそうだった、なんでも父親がしてくれた。自分は小さい頃に母を失った、それくらいしてもらって、当たり前だと思っていた。挑戦しようと思ったんじゃない、何もしてこなかったんだ。
過信していたんだ、自分の事を。
ジャックはここに来る途中にロードが言った言葉を思い出した。
「ジャック、突然だが、問題だ。」
ロードは唐突に話しかけてきた。
「強いものになるにはどうすればいいと思う?ヒントは自分に3つ、何かをするんだ。」
全く、検討もつかない。
「分からないよロード、僕には難しいよ。」
ジャックは最初から答える気などなかった。
「1つ、自分を信じるんだ。自分に身を任せ、気持ちを軽くするんだ。そうすれば、どんな危機的状況でも冷静をたもてる。」
「2つ、自分に誠意を払え。どれだけ、体をズタボロにしても、治していくのは、自分だ。誠意を表せ。」
「3つ、これが多分、1番難しい。3つ目は
自分を乗り越えることだ!」
ロードの瞳にはそれが見えた。ロードは本当の強者なのだ。どんなことにも屈しない、魂を持っている。
自分を乗り越える?なんだ、簡単じゃあないか、何もしてこなかった俺にはな。
「根性だ!掛かってこい、クソ野郎!」
俺は拳に精一杯の力を込めてルビウスに放った。
ルビウスも、パンチの体勢に入る。
一騎打ちだ、何もしてこなかった俺とのな。
メキッ!と、俺の拳から音がした。そうだ、今思い返してみれば、俺の人生そう上手くいったことなんて、なかったのだ。
攣った、アカン、こんなひょろひょろのパンチ当たるはずがない
「もらった!」
ルビウスの拳が俺の顔面に直撃する。
なんて情けないんだろう。
俺は漫画で見るような吹っ飛び方で10メートルほど飛んで倒れ込んだ。
「ありがとうな、ジャック、時間を稼いでくれたのか。」
聞き覚えがありすぎる声だった、いや、ずっと、聴きたかった声だ。
「なんで、立ち上がれんだお前!」
ルビウスは震えながら言った。
「悪いな、俺はどっちもこなすんだ。」
ルビウスは後ろに1歩、また1歩とさがって行くと、ポケットから布袋が落ちた。
「どうしようかな?パンチがいい?それとも…キック?」
ルビウスは殴られたくないと言わんばかりに口を開かない。
「さっさと答えろ、拳がウズウズしてたまんないぜ。」
ルビウスは恐怖のあまり、後ろを向いて走り出す。
「トサカに来たぜ!どっちもだな!」
ロードが怒鳴ると、ルビウスは
「パンチでお願いしまぁーす!」
まるで断末魔のようだった。
ロードのラッシュが炸裂する。
その後のルビウスの顔は酷く歪んで、見るのも辛い程だった。
俺が目を覚ました時には、とっくに決着が着いているようだった。
「お前、なんのためにこんなことを…」
ロードが倒れているルビウスに問い詰めるとルビウスは、
「俺は命令されただけだ。命令に背くと消される、お前らは必ず<あの方>が始末する!」
そう言うと、隠し持っていたナイフを布袋に投げ込む。
布袋は破け、星の聖水がこぼれて行く。
そして、ルビウス・ティアーノは命を落とした。
-ルビウス・ティアーノ (27)1865年 8月7日 先代大統領の墓にて死亡-
「君は、人間は好きかね?」
薄暗い部屋で赤毛の男が尋ねる。
「まあ、嫌いではないですね。」
扉の入口で、部下が答える。
「私はね、人間が死ぬほど嫌いだ。」
赤毛の男は恐ろしい声で言葉を吐いた。
「人間のどこがですか?」
部下は聞いた。
「全てだよ、アスタール君。特に君みたいな、表では、上の物に対して、へーこらした態度を取って、裏では死ぬほど愚痴を垂らすようなやつが嫌いかな。」
赤毛の男はさらに目を鋭くし、アスタールを睨みつける。
その時にはもう、アスタールは死んでいた。赤い絨毯が更に赤く染っていく。
ドアノブが誰かの手により捻られた。
入ってきたのは、赤毛の男の部下、エ
シュールだった。
彼の能力はサーチ・ウィンド、風を読むとこが出来る。
「どうやら、ルビウスが死んだと、流れてきました。」
エシュールは赤毛の男に報告すると、目線を少し、下に向けた。
赤毛の男はそれを聞くと目の前の椅子に腰をかけた。
「貴族は全員始末する。王家以外需要がない。」
デスクに体を向けると赤毛の男はペンにインクをつけ、書類にサインを書いていく。
彼、赤毛の男はこの国、バザール王国の大統領である。
「我々は王に誓ったのだ、エンリオ王子を探し出し、保護することをな…」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる