上 下
5 / 93

第4話

しおりを挟む
健は、鶏もも肉のから揚げを揚げた。熱々で、湯気が立っている。黄金色で、下味で付けた醬油や、かすかにニンニク、生姜しょうがの香りがした。そして、香ばしい匂いがプンプンしていた。から揚げを盛った皿を楓梨が、おぼんに乗せてテーブル席に運んだ。「お待たせしました。」と楓梨が言った。

店の客は「ねえちゃん、ありがとう。」と礼を言った。客は一口食べると「美味しいな!いい香りのする、から揚げで、カリッとして、そのうえ、すごくジューシーだな!コンビニのも美味しいけど、ここのが1番だ!」と客同士で話していた。

阿蘭は、大根のツマの上に、盛り合わせの刺身のマグロとサーモンを乗せた。そばには大葉1枚を乗せ、ワサビをあしらった。それを千鶴が別の客に持っていった。いつも通り、暗く「お待たせしました・・・。」と客に向かって言った。

客までトーンが下がって、礼の言葉が暗かった。

客は、すぐに、箸を持って刺身を食べた。「このマグロ、新鮮で、サーモンもつやがあって甘味があるな!」と言いながら、満足そうに食べていた。

客が段々と増えて、店内は騒がしい雰囲気になっていった。
しおりを挟む

処理中です...