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6日目後半

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鉄巨人は、撃破された。
ゲームクリアだ。

しかし俺の身には何も起こらない。
気になってナミに問いかける。

「これってどうすれば帰れるんだ?」
「パパに聞いた話では、最終目標さえクリアできれば、
もう意識するだけで帰れるはずなんだけど……」

既に帰れる状況になっているらしい。
物を言わなくなった巨人の横で、
一息ついた俺たちは、とりあえずソリューの街に帰ることにした。

都会では見れない綺麗な青空がずっと続き、
同じくめったに見ないだろう青々とした木々の森を抜けると、
広大な草原が広がり、向こう側に街の入り口が見える。

「なーんか終わってみると寂しいね」

そんなことを呟いたのは、セリカだった。

「何言ってるんだよ、俺たちが戻るまでが冒険だろ」

俺はセリカの方をぽんと叩き、励ます。
そこでサユが核心の質問をぶつけてきた。

「あなたたち、いったいどこから来たんです?
ここの人じゃないみたいだし、よく知らない単語も話してるし……」

えーと、と困った様子の妹に、俺は助け船を出してやる。

「俺たちは遠く、ずっと遠くから来たんだ、
それでもう、俺たちは帰らなきゃいけない」
「なんか前もそんなことを言っていたですね……
じゃあお別れですか、まあ寂しくなんか……ありますけど」

寂しがるサユに、ナミは励ます。

「きっとまた会えるよ、だってここは私のパパの世界でもあるんだもん」
「あなたのお父さんは神か何かなのですか……」

そう言われたサユは、理解していないようだったが、
それでも何か安心したようだった。

街に着き、酒場で巨人のコアの一部を親父に見せてやると、
かなり驚いたが、俺たちの力を認めてくれたらしく、
10万Gを受け取り、祝いの席でも設けるか?という誘いをされたが、丁寧に断った。

これ以上この世界にいると、別の意味で帰れなくなりそうだったからだ。

「じゃあ、セナ、ナミ、セリカ……
また会う日まで、ですね」

サユはそう告げると、少し泣いていた。
それをセリカとナミは温かく励ましていた。
俺も別れを告げる時が来たようだ。

「じゃあ、またな!」

俺たちは、街の広場で
現実世界に帰るという思いをそれぞれ強く願った。

すると、俺たちは光に包まれ、
すっかり見慣れた石の道路や、レンガ作りの立ち並ぶ民家、
そして異世界のサユの姿が、白く消えていった。


目覚めると、俺は自分の部屋にいた。
隣にはセリカがPC机に伏せている。

時計の針を見ると、異世界に行った時から6時間しか経っていないようだった。
あれは夢だったのか……?

そう思っていると、スマホの着信音が鳴り響いた。
ナミからの着信のようだ。

「セナ君?良かったあ~!そっちも無事に帰れたんだね!」

セリカの服は、おしゃれな部屋着に戻っていて、
赤の女盗賊ルックではなかった。

しかし、ナミの言葉があれが本当にあったことだと証明していて、
俺はナミにこう告げた。

「ああ、帰れた、セリカも無事みたいだ、
ナミ、お前の親父さん凄いゲームを作ったもんだな」
「え?うん、すごいでしょ~!ちょっとバグはあったけどね……」

はは……と苦笑いする電話越しのナミに、突っ込みたくなったが
俺は実際あの異世界(ゲーム)が楽しかったのだ。

「ん……お兄ちゃん?あれ、ソリューの街は……?」

目覚めた妹に、戻った旨を伝えて、ナミとの電話を代わってやる。
セリカはナミに起こる風だったが、
俺の目には、怒りながらも笑顔のセリカが映っていた。

「ナミさん?明日学校で覚えておいてね?」
「はは……お手柔らかに、ね?セリカちゃん」

外はすっかり暗くなっていた。
冬の寒さも厳しくなってきた頃で、あの異世界とは対照的だ。

「ってかこんな時間!お風呂入ってないし、
お兄ちゃんも明日の準備しないと!」

会話が終わった妹は、俺にスマホを返すと、自分の部屋に戻っていった。
あんな体験をしたけど、案外みんなとは関係が変わらないものだな。

俺は机にあるパソコンから例のゲームディスクを取り出すと、
大切にケースにしまうのだった。
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