上 下
29 / 35

ep.29:クトラの談話(キリヤとカムヰ)

しおりを挟む
キリヤ:「あー!!かったるい。ヨーレイて、プレイしている時はすぐに滅亡するくせに、PCが操作するとガゼン張り切り出すね」

カムヰ:「分かるわー」

キリヤ:「アホみたいにアルミュールを売り回るから、ハダルードとレッツラッカの色違いばっかと戦ってる」

カムヰ:「うんうん。ちなみに、皆アパルタパルの名前違いやね」

キリヤ:「うっとうしいわ。安いザコ丸出しなくせに、変に腕の立つ騎士が乗っていたりして、無駄に強かったりする」

カムヰ:「で、キリヤさん。キャラクタールートで詰んでるの?」

キリヤ:「キッツイわー。傭兵の稼ぎはほとんどアルミュールの整備や修理で飛んでしまうしねぇ。カムヰさんの方は?」

カムヰ:「大陸の西端から国持ちルートでサクサク進んでるよ。山脈挟んでジュールエルの隣まで来てる」

キリヤ:「ジュールエルはヤメテェェェ!貴重なATMが無くなってしまうがな」

カムヰ「あらあら。そういやキリヤさんのキャラ、ジュールエルの子やったね」

キリヤ:「うん。だから、攻め込まないでね。お願い」

カムヰ:「ラジャー。どのみち山脈は越えられないから。そうそう、キリヤさん、そろそろ国盗れそう?」

キリヤ:「それがね。とっくに廃れた国を放置していたら、知らん間に無茶苦茶技術を発展させて世代越えしたアルミュールを作っていやがるんよ。前回攻め込んだら、私のキャラが辿り着くまでに戦争が終わってたwww」

カムヰ:「このゲームの恐ろしいところは、同じ国でも、プレイヤー操作とPC操作とでは全然性能が違う。小国だとそれが顕著で、どうしても大国スタートしないと詰む」

キリヤ:「ましてや、傭兵とか個人でのキャラクタースタートだと、あっという間に詰んでしまう。今がその一歩手前だけど」

カムヰ:「せめて関わった国だけでも、もうちょっと賢く動いてくれないかなぁ。でないと、なかなか領土なんか取れないね」

キリヤ:「うん。ホントに味方バカ過ぎ」

カムヰ:「それと、このゲーム、目玉のアルミュールで攻め込むの、ほぼ不可能なんじゃね?一日に動ける距離が滅茶苦茶短いし」

キリヤ:「アホな設定が多すぎるよね。ホント。簡単にオーバーヒートするし。カムヰさんの方なんか、砂漠があるからムリゲーなんじゃないですか?」

カムヰ:「うn。だから、ほぼ三○志みたいに歩兵、騎馬兵、弓矢だけで軍編成。それと敵は奸計の火計で丸焼き」

キリヤ:「何のゲーム?(^^)」

カムヰ:「他のプレイヤーのレビューを見ても、西方からスタートした人たちは皆、イケイケで南進したら、いきなりヨーレイにアルミュールを大量に投入されて滅亡ルート一直線になると聞いた。だから、しばらくは国を豊かにして技術上げに専念する」

キリヤ:「私もスタートは良かったんだよ。アルミュールも性能良いし。騎士に魔術を覚えさせて長時間戦えるようにしたし」

カムヰ:「前から思っていたんだけど、それチートだよね?」

キリヤ:「チートと言うよりも確率がメチャクチャ低いだけ。やって出来ない事も無い。剣と魔術の両刀使いだけど、剣の技量はやや低め。チートと呼ぶにはほど遠い。もしかしたらバグかもしれない」

カムヰ:「あと、南端と北端は入れ替わり立ち替わりが激しいらしいです。こちら西端地区はほぼ掌握しました」

キリヤ:「オメ888」

カムヰ:「アリー」

キリヤ:「東端地区は絶賛ガルガンチュアに飲み込まれ中。最悪の立地環境ですわ。おかげで他のプレイヤーほとんど見ないし、過疎化していると錯覚しがち」

カムヰ:「キリヤさん、さらに個人のキャラプレイ。どんな縛りプレイ?」

キリヤ:「やめて!その呼び方。変な勘違いをされてしまうじゃない!」

カムヰ:「スマン。それでもキリヤさん、茨の道を突き進み過ぎ」

キリヤ:「そうでも無いよ。こっちのプレイヤーさんたち、ジュールエル帝国攻略に忙しいらしく、それ以外の国とはあまり戦わない。てかジュールエルが頻繁に攻め込んでくる。自国のアルミュールを開発するよりも、ヨーレイのアルミュールを買っては持ちこたえている状態」

カムヰ:「それでヨーレイ、収入ウハウハでアルミュールを大量に配備しているんじゃない?他のプレイヤーに呼びかけてみれば?少しの間、連合組んで、戦争仕掛けられないようにして国力を貯め込むようにすればと」

キリヤ:「何にしても中央のジュールエル帝国が強すぎる。国力が桁違いな上に、しょっちゅう攻め込んでくるし、ガルガンチュアも浸食してくるし、他のプレイヤーさんたち、プレイヤーキルしなきゃ、もう取れる領土が無くなりつつある」

カムヰ:「ムリゲーじゃん」

キリヤ:「うん。私もそう思ってキャラルートにした。最悪、使える国を捨てて他の方面に流れれば良い」

カムヰ:「使えるてwww。『仕える』ですよね?」

キリヤ:「いや、使えるで正解よ。ほとんど計略の"そそのかす”で他国に攻め込ませているから。でも、ほとんど成功しない。何かと理由を付けては攻め”渋って”いる。やっとこさ侵攻させても、直接操作できないからバカをやって勝手に負けている。この間なんか、少ない兵力を、わざわざ3つに分散させて負けやがった」

カムヰ:「アホ過ぎる・・・。何とかならないのかな、NPCキャラの行動」

キリヤ:「ホント、ムカつく。おまけにアルミュールが動かなくなって捕虜になるし」

カムヰ:「こっちも家臣のNPCがアホ過ぎて。マイキャラの領主様が直々に出陣しないと、まともに勝てない。ちなみにマイキャラの領主様も騎馬兵だったけど、今では甲胄乗り。アホ過ぎるわ」

キリヤ:「領主様やられたら即ゲームオーバーなのにね。これ、ずいぶん前から運営に抗議が入っている」

カムヰ:「とっとと改善して欲しいやね、まったく」

キリヤ:「うnうn」


 +   +   +   +

 ジルコーネは"黒曜のイクリプス”の修理を行うクトラたちの背を見て常々思う・・・。

(相変わらず、コイツらの言っているコトはサッパリ分からん)

 言葉は通じているのだが、会話の内容が全く頭に入ってこない。

 ただ理解しているのは。

 彼ら”クトラの民”が、彼らの世界とは異なるこちらの世界を舞台に"ゲーム”を行っている事。

 『国を盗る』事を目的としている事も理解している。

 それでも。

 彼らの力は必要不可欠なのだ。

 彼らの意に添う事はできないが、一つだけ目的を同じとしている。

 ”鉄塊のフリューネイエス”の破壊。

 何故かは解らないが、それだけは使命に思えてならない。

 ジルコーネはイクリプスの顔を見上げた。

 これだけは、間違い無く私の意思で決めた事だ、と。

 信じたいんじゃない!これは事実なのだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼女の幸福

豆狸
恋愛
私の首は体に繋がっています。今は、まだ。

巨人の話

KeiSenyo
ファンタジー
 その巨人は、氷に包まれていた。もはや周りの氷塊と同化して、彼のことを氷の巨人と表してもよかった。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

巨人を巡る冒険

KeiSenyo
ファンタジー
私たち兄弟は、二人して巨人を探した。装備はいたって簡素なもので、決して彼らを殺しに行くという出立ちではない。 「巨人の話」及び「巨人の話2」とはパラレルのお話になります。哲学的な雰囲気が強いかもしれません。

処理中です...