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[30]終焉~エンドゲーム~
-328-:だからこそ、今回の王位継承戦に、私は勝たなくてはならないのです!
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ジョーカーの言うココミが王位継承戦へと臨んだ理由とは?果たして。
クレハはゴクリと唾を飲み込んだ。
「ココミ、教え―」「待って!タカサゴ!」
ココミに真意を求めるヒューゴの声に、クレハの声が覆い被さった。
「それよりも先に教えて、タカサゴ。どうしてブカブカの執事服なんてまとっているの?それも裸足なんかで」
彼が現れてから、ずっと気になってしょうがなかったのだが、近接戦特化仕様騎ベルタの姿でいられる時間が3分間だけなので、じっと黙って辛抱していた。
「矢に射抜かれた胸の傷、アーマーテイカーさんの治療魔法で治してもらっていたんだよね?」
クレハが訊ねる。
………。
返事が無い。この状況で無視されてしまった。
どうして答えない。高砂・飛遊午。
当のヒューゴにとっては、それはそれは思い出すだけでも身の毛のよだつ体験だった。
(俺はあのアーマーテイカーというお姉と一線を越えてしまったのか…?)
全く記憶が無い…。しかし、あの状況…。
男性同士が素っ裸でベッドを共にする。
思いつく限り“アレ”以外に、どんな理由があるだろうか?
今のヒューゴは、もう“そっち”の発想にしか至る事ができないでいた。
可能ならば、全て無かった事にして欲しい。
この戦いが終わったら、ゼッタイにアーマーテイカーと顔を合わせることになるだろう。
その時、自分はどんな表情をすれば良いだろうか?
考えれば、考えるほど流れ出る冷や汗が止まらない。
クレハが後ろから、そんなヒューゴの顔を覗き込む。
でも、実際には顔全体を拝むことは叶わず、どうにか横顔よりも少し後ろからのアングルでしか彼の顔を捉える事ができない。
「タカサゴ…スゴい汗をかいてるよ」
盤上戦騎の操作系統が意志操作とはいえ、3分間通して戦い続けたのだ。汗もかこう。
それにしても、今の彼は汗だくじゃないか。
コクピット内の気温が上昇しているのではないかと疑うほどに。
「本当だ。ヒューゴさん、身体の具合、大丈夫ですか?」
タツローまでもが要らぬ心配をしてくる。
この張り詰めた空気に、とうとうヒューゴは耐えきれなくなった。
「さすがにパジャマ姿だとマズいと思ってな。ウォーフィールドに頼んで服を貸してもらったんだよ」
決して嘘をついてはいない。元がパジャマ姿ではなく、素っ裸だった事を除いて。
「しかし、バイクシートとは、随分と模様替えが激しいな」
驚くヒューゴの傍ら、クレハ自身も、アンダープロモーションで僧正を選んだ時点で、まさかコクピット仕様までも反映するとは夢にも思わなかった。
何て乗り心地の悪さ。
でもタンデムシートは、バイクは勘弁な女の子であっても密かな憧れだったりする。
前から吹き付ける風は無く、その場を動く事の無いバイクゲームのアトラクションみたいで興ざめではあるけれど。
それに加えて、合体魔神コントラストは2騎が合体しているので、タツローというお邪魔虫のオマケ付き。
「ミエミエの時間稼ぎをしてくれるが、正直僕にも戦う理由をハッキリとさせたい気持ちがある。聞かせてもらおうかココミ・コロネ・ドラコット」「えぇーッ!?私ですかぁ!?」
話を止めたクレハたちを差し置いて、リョーマがココミに王位継承戦に臨んだ理由を訊ねていた。
突然話をフラれて困惑するココミではあったが、「コホン!」と咳払いひとつして。
「前回行われた王位継承戦で、勝利を得たドラゴンの王が求めたのは、“魔者たちを振るいにかける事”。つまり、魔者たちの数を減らすのが目的でした」
「いや、質問の意図を理解してますか?」
ヒューゴが口を挟むも、「ええ、解っています」の一言に、あっさりと引き下がった。
「そして、250年にも及ぶ亜世界での魔者たちの混在生活が続いた結果、魔者たちは互いに争って、その数を徐々に減らして行きました。しかし残念ながら、我が亜世界の人間たちもアオリを食らった絶対数を大きく減らしてしまいました」
だからココミの対戦相手であるライク・スティール・ドラコーンは、様々な世界で害をもたらす現地人を減らすべく、魔者たちを管理、その都度派遣するべく今回の戦いに臨んでいた。
ヒューゴ自身も彼の考えには賛同している。
害悪なる者たちは、自身が正義と疑わない。彼らの正義とは、他者を蔑ろにしても平気という身勝手なものであって決して共感できるものではない。
ならば、いっその事、死刑にしてしまっても構わない。
だけど、死刑執行は世論が反対してしまう。
人間の手に余るようなら、人外に任せるのが妥当なのではないか?
「とても残念な事です。魔者の数を減らす過程で我が世界の、多くの人間の命が失われてしまったのですから」
胸を痛めるココミ。
彼女の悲痛な思いが表情に出ている。
「だからこそ、今回の王位継承戦に、私はどうしても勝たなくてはならないのです!」
「だから、どうして!」
どうもココミは話の組み立てが下手なようで、彼女が何を思っているのか?全然伝わってこない。
クレハはとうとう声を張り上げてしまった。
「ドラゴンの王が立てた計画は段階を経なくてはなりませんでした。まず魔者たちを一ヵ所に集めて互いに争わせて数を減らす。これが第一段階。そして、今回がその第二段階に入るための王位継承戦なのです」
「なるほどね」
リョーマがすでに納得しているではないか!
オマケに。
「それは、何が何でも勝ち残らないと、だな」
ヒューゴさえも納得している。一体、どういうコト??
「アンタたち、ナニ勝手に納得してるのよ!私、ゼンゼン解らないッ!」
自分たちだけで納得してもらっては困る。
クレハはココミの真意を知りたくてウズウズしてきた。
クレハはゴクリと唾を飲み込んだ。
「ココミ、教え―」「待って!タカサゴ!」
ココミに真意を求めるヒューゴの声に、クレハの声が覆い被さった。
「それよりも先に教えて、タカサゴ。どうしてブカブカの執事服なんてまとっているの?それも裸足なんかで」
彼が現れてから、ずっと気になってしょうがなかったのだが、近接戦特化仕様騎ベルタの姿でいられる時間が3分間だけなので、じっと黙って辛抱していた。
「矢に射抜かれた胸の傷、アーマーテイカーさんの治療魔法で治してもらっていたんだよね?」
クレハが訊ねる。
………。
返事が無い。この状況で無視されてしまった。
どうして答えない。高砂・飛遊午。
当のヒューゴにとっては、それはそれは思い出すだけでも身の毛のよだつ体験だった。
(俺はあのアーマーテイカーというお姉と一線を越えてしまったのか…?)
全く記憶が無い…。しかし、あの状況…。
男性同士が素っ裸でベッドを共にする。
思いつく限り“アレ”以外に、どんな理由があるだろうか?
今のヒューゴは、もう“そっち”の発想にしか至る事ができないでいた。
可能ならば、全て無かった事にして欲しい。
この戦いが終わったら、ゼッタイにアーマーテイカーと顔を合わせることになるだろう。
その時、自分はどんな表情をすれば良いだろうか?
考えれば、考えるほど流れ出る冷や汗が止まらない。
クレハが後ろから、そんなヒューゴの顔を覗き込む。
でも、実際には顔全体を拝むことは叶わず、どうにか横顔よりも少し後ろからのアングルでしか彼の顔を捉える事ができない。
「タカサゴ…スゴい汗をかいてるよ」
盤上戦騎の操作系統が意志操作とはいえ、3分間通して戦い続けたのだ。汗もかこう。
それにしても、今の彼は汗だくじゃないか。
コクピット内の気温が上昇しているのではないかと疑うほどに。
「本当だ。ヒューゴさん、身体の具合、大丈夫ですか?」
タツローまでもが要らぬ心配をしてくる。
この張り詰めた空気に、とうとうヒューゴは耐えきれなくなった。
「さすがにパジャマ姿だとマズいと思ってな。ウォーフィールドに頼んで服を貸してもらったんだよ」
決して嘘をついてはいない。元がパジャマ姿ではなく、素っ裸だった事を除いて。
「しかし、バイクシートとは、随分と模様替えが激しいな」
驚くヒューゴの傍ら、クレハ自身も、アンダープロモーションで僧正を選んだ時点で、まさかコクピット仕様までも反映するとは夢にも思わなかった。
何て乗り心地の悪さ。
でもタンデムシートは、バイクは勘弁な女の子であっても密かな憧れだったりする。
前から吹き付ける風は無く、その場を動く事の無いバイクゲームのアトラクションみたいで興ざめではあるけれど。
それに加えて、合体魔神コントラストは2騎が合体しているので、タツローというお邪魔虫のオマケ付き。
「ミエミエの時間稼ぎをしてくれるが、正直僕にも戦う理由をハッキリとさせたい気持ちがある。聞かせてもらおうかココミ・コロネ・ドラコット」「えぇーッ!?私ですかぁ!?」
話を止めたクレハたちを差し置いて、リョーマがココミに王位継承戦に臨んだ理由を訊ねていた。
突然話をフラれて困惑するココミではあったが、「コホン!」と咳払いひとつして。
「前回行われた王位継承戦で、勝利を得たドラゴンの王が求めたのは、“魔者たちを振るいにかける事”。つまり、魔者たちの数を減らすのが目的でした」
「いや、質問の意図を理解してますか?」
ヒューゴが口を挟むも、「ええ、解っています」の一言に、あっさりと引き下がった。
「そして、250年にも及ぶ亜世界での魔者たちの混在生活が続いた結果、魔者たちは互いに争って、その数を徐々に減らして行きました。しかし残念ながら、我が亜世界の人間たちもアオリを食らった絶対数を大きく減らしてしまいました」
だからココミの対戦相手であるライク・スティール・ドラコーンは、様々な世界で害をもたらす現地人を減らすべく、魔者たちを管理、その都度派遣するべく今回の戦いに臨んでいた。
ヒューゴ自身も彼の考えには賛同している。
害悪なる者たちは、自身が正義と疑わない。彼らの正義とは、他者を蔑ろにしても平気という身勝手なものであって決して共感できるものではない。
ならば、いっその事、死刑にしてしまっても構わない。
だけど、死刑執行は世論が反対してしまう。
人間の手に余るようなら、人外に任せるのが妥当なのではないか?
「とても残念な事です。魔者の数を減らす過程で我が世界の、多くの人間の命が失われてしまったのですから」
胸を痛めるココミ。
彼女の悲痛な思いが表情に出ている。
「だからこそ、今回の王位継承戦に、私はどうしても勝たなくてはならないのです!」
「だから、どうして!」
どうもココミは話の組み立てが下手なようで、彼女が何を思っているのか?全然伝わってこない。
クレハはとうとう声を張り上げてしまった。
「ドラゴンの王が立てた計画は段階を経なくてはなりませんでした。まず魔者たちを一ヵ所に集めて互いに争わせて数を減らす。これが第一段階。そして、今回がその第二段階に入るための王位継承戦なのです」
「なるほどね」
リョーマがすでに納得しているではないか!
オマケに。
「それは、何が何でも勝ち残らないと、だな」
ヒューゴさえも納得している。一体、どういうコト??
「アンタたち、ナニ勝手に納得してるのよ!私、ゼンゼン解らないッ!」
自分たちだけで納得してもらっては困る。
クレハはココミの真意を知りたくてウズウズしてきた。
応援ありがとうございます!
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