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[30]終焉~エンドゲーム~
-327-:この世界の住人であるボクがこの世界をどうしようと、ボクの自由じゃないか!
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碧き流星が、妲己によって召喚されたシャドーたちを次々と粉砕してゆく。
ただし、その軌道は一直線でしかないが。
単発的な攻撃であっても、その効果は絶大だ。
次々と壁モンスターを失ってゆくと同時に、ヒューゴとリョーマに立て続けに大技剣技を食らってしまい、ジョーカーの持つ効果魔法カードはもはや残り少なくなっていた。
妲己はとうとう白側3騎に取り囲まれてしまった。
「チェックメイトだ。ジョーカー」
ダナが野太刀の切っ先を妲己に向ける。
そんな中でさえも。
ヒューゴが駆るベルタが1騎飛び出した。
両肩の隠し腕を展開!ガッシリと妲己の両肩を掴む。
やはり先程までと同じく、一旦寸止めしておいて、ドラゴンヘッドをおびき寄せてのキャッチ。
すでにドラゴンヘッドは攻略済みという訳だ。
さらに。
相手を掴んだ状態から、ベルタは最後の武器であるオオツノ(グレートソード)を召喚。
「コイツ!!とことんまでにぃッ!」
ヒューゴはベルタの姿でいる限り、最後の最後までジョーカーに効果魔法カードを使わせるつもりだ。
逃げられない相手に対して、腕に抱え込むように握られたグレートソードを妲己の胸部へと突き刺した。
「これで!これで勝ったと思うなよ!」
妲己が胸を貫いているオオツノを刀身を握りしめた。
力任せにオオツノをへし折るつもりだ。
刀身を握る手に力が込められる。
「ぐはぁっ!」
そんな妲己の背中を、碧き流星が過ぎ去ってゆく。
妲己の背部をズタズタに切り裂いて行ったのだ。
浮遊素を大量散布させながら、ただパタを突き出して突進してくるだけの単純な直線機動攻撃なのに、副産物のバリアに守られているおかげで、ほぼ無敵状態を保っている。
恐るべきクィックフォワードの攻撃魔法。
「のあぁぁぁぁ!!」
雄叫びを上げて、バキンッ!妲己は突き刺されたオオツノをへし折ってしまった。
それでも。
へし折ってやったはずのオオツノが、今度は腹部へと突き刺さった。
「高砂・飛遊午ォ、貴様ァ」
ヒューゴの名を呼ぶジョーカーのそれは、もはや恨み節。
まるで、ジョーカーが今まで糧としてきた怒りと憎しみがヒューゴにぶつけられているようだ。
「ジョーカー。貴女の道化ぶりには、お腹の底から笑いが止まらないわ」
クレハが、ヒューゴの背中からひょっこりと顔を出した。
「道化ぶりだと?」
「散々オトギちゃんや妲己さんを欺いては道具のように利用してきたくせに、最後は独りぼっちになってしまうなんてね」
説教されようが、ジョーカーには反省する気など微塵も無い。
「それとね、私たちが戦っているのはチェス盤で繰り広げられているゲームの中の戦いの一つに過ぎないのよ。チェスの駒はね、いくら最強の女王の駒であっても単体では戦えない。コレ基本中の基本よ」「うるさいッ!」
もはや聞く耳さえ持とうともしないジョーカーの態度に、クレハは鼻で笑う。
「ボクはね、この世でたった一人のジョーカーなんだよ。ジョーカーというのはボクの名前じゃなくて種族の名前さ。250年前の王位継承戦にワイルドカードとしてこちらの世界に生み出された唯一人の存在。それがボクなのさ。だから!この世界の住人であるボクがこの世界をどうしようと、ボクの自由じゃないか!」
何とも呆れた言い分。何という極解。
偉大なる支配者の都合によって生み出された生い立ちには少々ながら同情するも、だからといって世界を自由にしても、それもメチャクチャにしようとするのとは話は別だ。
コイツは生きていてはいけない存在だ。
TIME UP。
会話をしている最中、ベルタの騎体がグラムの姿へと戻ってしまった。
「ボクから効果魔法のカードを使い切れさせられなくて残念だったね。だけど、もう少しだけお話しを続けようよ」
ジョーカーは楽しげに話かけてはいるが、彼女を信用する訳にはいかない。
クレハはタツローを呼び戻して、再びコントラストへと合体を完了させた。
「コントロールをヒューゴさんに預けます」
タツローの声に、クレハは思わず、この後彼はどんな役割を果たすのだろう?疑問を抱いた。
「そもそもキミたちは、ボクを始末するためだけに、このアンデスィデを組んだんだよね?」
その問いには頷いてやる。
「だけど、それこそ道化じみてはいないかい?」
それはどういう意味なのか?
ジョーカーが続ける。
「キミたちはココミの本当の目的が何なのか?まだ理解していないようだね」
言われてみれば、ココミが今回の王位継承戦に参戦している理由を、まだ彼女本人の口から聞いてはいなかった。
「ココミ。そろそろ話してあげなよ。キミが求める世界のあるべき姿を。魔者最強を誇るドラゴンたちの真意を、彼らに話してあげなよ」
ココミが契約を交わした魔導書“龍たちの君主”に名を連ねるドラゴンの長。すなわちドラゴンの王が求める世界をクレハたちはまだ知らない。
果たして、ジョーカーの言うドラゴンの王の真意とは。
ただし、その軌道は一直線でしかないが。
単発的な攻撃であっても、その効果は絶大だ。
次々と壁モンスターを失ってゆくと同時に、ヒューゴとリョーマに立て続けに大技剣技を食らってしまい、ジョーカーの持つ効果魔法カードはもはや残り少なくなっていた。
妲己はとうとう白側3騎に取り囲まれてしまった。
「チェックメイトだ。ジョーカー」
ダナが野太刀の切っ先を妲己に向ける。
そんな中でさえも。
ヒューゴが駆るベルタが1騎飛び出した。
両肩の隠し腕を展開!ガッシリと妲己の両肩を掴む。
やはり先程までと同じく、一旦寸止めしておいて、ドラゴンヘッドをおびき寄せてのキャッチ。
すでにドラゴンヘッドは攻略済みという訳だ。
さらに。
相手を掴んだ状態から、ベルタは最後の武器であるオオツノ(グレートソード)を召喚。
「コイツ!!とことんまでにぃッ!」
ヒューゴはベルタの姿でいる限り、最後の最後までジョーカーに効果魔法カードを使わせるつもりだ。
逃げられない相手に対して、腕に抱え込むように握られたグレートソードを妲己の胸部へと突き刺した。
「これで!これで勝ったと思うなよ!」
妲己が胸を貫いているオオツノを刀身を握りしめた。
力任せにオオツノをへし折るつもりだ。
刀身を握る手に力が込められる。
「ぐはぁっ!」
そんな妲己の背中を、碧き流星が過ぎ去ってゆく。
妲己の背部をズタズタに切り裂いて行ったのだ。
浮遊素を大量散布させながら、ただパタを突き出して突進してくるだけの単純な直線機動攻撃なのに、副産物のバリアに守られているおかげで、ほぼ無敵状態を保っている。
恐るべきクィックフォワードの攻撃魔法。
「のあぁぁぁぁ!!」
雄叫びを上げて、バキンッ!妲己は突き刺されたオオツノをへし折ってしまった。
それでも。
へし折ってやったはずのオオツノが、今度は腹部へと突き刺さった。
「高砂・飛遊午ォ、貴様ァ」
ヒューゴの名を呼ぶジョーカーのそれは、もはや恨み節。
まるで、ジョーカーが今まで糧としてきた怒りと憎しみがヒューゴにぶつけられているようだ。
「ジョーカー。貴女の道化ぶりには、お腹の底から笑いが止まらないわ」
クレハが、ヒューゴの背中からひょっこりと顔を出した。
「道化ぶりだと?」
「散々オトギちゃんや妲己さんを欺いては道具のように利用してきたくせに、最後は独りぼっちになってしまうなんてね」
説教されようが、ジョーカーには反省する気など微塵も無い。
「それとね、私たちが戦っているのはチェス盤で繰り広げられているゲームの中の戦いの一つに過ぎないのよ。チェスの駒はね、いくら最強の女王の駒であっても単体では戦えない。コレ基本中の基本よ」「うるさいッ!」
もはや聞く耳さえ持とうともしないジョーカーの態度に、クレハは鼻で笑う。
「ボクはね、この世でたった一人のジョーカーなんだよ。ジョーカーというのはボクの名前じゃなくて種族の名前さ。250年前の王位継承戦にワイルドカードとしてこちらの世界に生み出された唯一人の存在。それがボクなのさ。だから!この世界の住人であるボクがこの世界をどうしようと、ボクの自由じゃないか!」
何とも呆れた言い分。何という極解。
偉大なる支配者の都合によって生み出された生い立ちには少々ながら同情するも、だからといって世界を自由にしても、それもメチャクチャにしようとするのとは話は別だ。
コイツは生きていてはいけない存在だ。
TIME UP。
会話をしている最中、ベルタの騎体がグラムの姿へと戻ってしまった。
「ボクから効果魔法のカードを使い切れさせられなくて残念だったね。だけど、もう少しだけお話しを続けようよ」
ジョーカーは楽しげに話かけてはいるが、彼女を信用する訳にはいかない。
クレハはタツローを呼び戻して、再びコントラストへと合体を完了させた。
「コントロールをヒューゴさんに預けます」
タツローの声に、クレハは思わず、この後彼はどんな役割を果たすのだろう?疑問を抱いた。
「そもそもキミたちは、ボクを始末するためだけに、このアンデスィデを組んだんだよね?」
その問いには頷いてやる。
「だけど、それこそ道化じみてはいないかい?」
それはどういう意味なのか?
ジョーカーが続ける。
「キミたちはココミの本当の目的が何なのか?まだ理解していないようだね」
言われてみれば、ココミが今回の王位継承戦に参戦している理由を、まだ彼女本人の口から聞いてはいなかった。
「ココミ。そろそろ話してあげなよ。キミが求める世界のあるべき姿を。魔者最強を誇るドラゴンたちの真意を、彼らに話してあげなよ」
ココミが契約を交わした魔導書“龍たちの君主”に名を連ねるドラゴンの長。すなわちドラゴンの王が求める世界をクレハたちはまだ知らない。
果たして、ジョーカーの言うドラゴンの王の真意とは。
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