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[29]そして独り
-319-:覚悟しなよ、鈴木・くれは
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タイムリミットが迫っている!?
つい調子に乗って肝心な事が頭からスッ飛んでいた!
ガンランチャーの姿でいられるのがもう1分も無いとなると、焦りに焦るが、2丁拳銃の同時攻撃を連続で続けるしかない手段が無い。
だけど、刻一刻とせまるタイムリミット…。
埒が開かねぇ…。
やはり銃弾の点による攻撃では数発当てないと関節さえも破壊できない。
連続で命中させているというのに、次の弾丸が命中する頃には治癒回復を果たしている。
「ああぁぁぁぁーッ!」
ついに苛立ちが頂点に達した。
「リョーマくん!私が銃弾をブチ込んでいる間に、どこでもいいからヤツの身体のどこかを斬り落として!」
自身でも解っているけど、無茶苦茶な要求をした。
だけど、そうは問屋が卸さない。
ダナが接近を試みるも、ジョーカーは常に妲己をダナへと向けている。
「ホラホラ、ちゃんと狙って攻撃しないと、誤ってオトギを殺しちゃうヨ」
このジョーカーという魔者、的確にオトギという“人間の盾”を活用して見せている。
「どこまでも卑怯な!」
思わずリョーマが吐き捨てる。
「ですがマスター。これでオトギ様をロックする事に成功しました」
回線を通じて耳にした、ダナからの報告。
ロック?
もう時間が無いというのに、一体何を言っているのか?焦るクレハは舌打ちを鳴らした。
妲己が繰り出す死神の鎌の一振りを、リョーマは下段の構えからの野太刀の一閃で「ガンッ!!」弾いて払う。
そして。
「来い!タツロー!」
リョーマの声に応じるように、コールブランドの機関砲が、妲己の背後から唸りを上げた。
だが、やはりドラゴンヘッドが即応。放たれた銃弾を吸収してしまった。
ドスッ!
破片を飛び散らせて、ダナの野太刀がオトギの頭上を通り越して妲己の胸に突き立てられた。
ドラゴンヘッドがコールブランドに向けて応射を始める前の出来事であった。
突き立てられた野太刀が、オトギを囲うようにして刃を走らせる。
オトギが捕われている箇所を器用に斬り取っているのだ。
彼女を傷つけないように慎重に走らせている野太刀を妲己が左手で掴んだ。
刃の動きが止まってしまった。
「随分と無茶な手段に出たものだね。リョーマ」
告げて、瞬発的に掴む手を野太刀の刀身からダナの右腕へと掴み直した。
「逃がさないよ~」
ダナの右腕がメリメリと握り潰されてゆく。と、同時にダナの悲鳴が周囲一帯に響き渡る。
「マ、マスター。今です!」
痛みを堪えながら、ダナが指示を送った。
「ん?」
ジョーカーの目に、振り被るダナが映る。
剣を振るのではなく、これは明らかにブン殴る体勢。しかも、左の拳で!
「フンッ!顔面をブン殴ったところで痛くも痒くもないよ」
余裕をみせるジョーカーであったが、リョーマが殴り掛かったのは、頭部ではなく、人間の盾としているオトギであった。
てっきり頭部を狙って殴るものとばかり思い込んでいたジョーカーにとって、それは意表を突かれたとしか言いようが無い。
リョーマは殴ると見せかけて、切り取ったオトギの周囲にピンポイントバリアを展開。修復に取り掛かるケーブルとの間に障壁を設けた。
ピンポイントバリアに囲まれるオトギを回収すると、「鈴木さん!僕を撃て!!」
事前に何の打ち合わせもしていないのに、突然指示を送られても…。
困惑したけど、それはほんの一瞬だけ。
「アイアイサー」
告げて、ダナの右上腕にハンドガンの銃弾を放った。
だが!
突然妲己が回り込んで来て、ダナの盾になるように間に入った。
これって!?
撃った弾がドラゴンヘッドへと吸い込まれてガンランチャーに向けて放たれた。
自動反撃発動。
弾丸はガンランチャーの右腕に直撃して爆砕。騎体が大きく傾く。
だけど!
左手に握るハンドガンで、ギリギリ見えているダナの右腕に連発で銃弾を叩き込む。
ダナの右腕が銃弾によって撃ち抜かれ、落下してゆく。
もうダナを捕えるものは何も無い。
ダナは全身からマイクロミサイルを発射しつつ、後方へと緊急離脱を行った。
もはや遠慮はいらない。
弾が尽きるまで、徹底的に派手に攻撃をお見舞いしてやる。
爆炎が途絶えぬ中、浮遊素のバリアが展開されるのが確認された。
やがて、爆炎が収まり、立ち込める黒煙も風によって流されてゆく。
妲己の、ススに塗れた騎体も、破損した箇所も、すべて瞬く間に修復されてゆく。
またもやリペアのカードを使用して全快されてしまった。
「また随分と派手にやってくれたね」
オトギを奪われたというのに、全くと言っていいほどに悔しさを見せない。
「オトギを取り戻したからと、ボクに供給される霊力と魔力が途絶えたと思ったら大間違いだからね。すでに!オトギを通じて彼女の家系に向けられている“悪意”を十分なまでに取り込んで。んん~。キミたち全員を嬲り殺しにするくらいは、いや、それでも有り余るくらいに魔力はある。覚悟しなよ、鈴木・くれは」
どうして、こういう時に限って名指ししてくれるのよッ!?
しかも、このタイミングで魔法が切れてグラムの騎体へと戻ってしまった。
憎しみの対象にされている中、さらに騎体がバッタ型とは。
とことんツイていないわ。
「さあ、誰から嬲り殺しにしてあげようかな?」
妲己が、ダラリと力なく下した手に握るのは!
ダナの騎体データを吸収して奪い取った野太刀。それに加えて切っ先をこちらに向けてきている。
まるでロボットアニメの主人公ロボが敵に剣を向けているようなパースで!
「悪の塊のくせして、なんてポーズを構えて見せるのよ」
沸き起こるように、とにかくムカつく。
でも、今のバッタ型の盤上戦騎では、とうてい太刀打ちできない。
かと言って…。
クレハは再びものまねのカードを手にした。
頼れるのは、このカードだけなのに…。
右腕を失ったガンランチャーでは大幅に戦力ダウンだ。
どうしよう…?
残る騎体は……。
つい調子に乗って肝心な事が頭からスッ飛んでいた!
ガンランチャーの姿でいられるのがもう1分も無いとなると、焦りに焦るが、2丁拳銃の同時攻撃を連続で続けるしかない手段が無い。
だけど、刻一刻とせまるタイムリミット…。
埒が開かねぇ…。
やはり銃弾の点による攻撃では数発当てないと関節さえも破壊できない。
連続で命中させているというのに、次の弾丸が命中する頃には治癒回復を果たしている。
「ああぁぁぁぁーッ!」
ついに苛立ちが頂点に達した。
「リョーマくん!私が銃弾をブチ込んでいる間に、どこでもいいからヤツの身体のどこかを斬り落として!」
自身でも解っているけど、無茶苦茶な要求をした。
だけど、そうは問屋が卸さない。
ダナが接近を試みるも、ジョーカーは常に妲己をダナへと向けている。
「ホラホラ、ちゃんと狙って攻撃しないと、誤ってオトギを殺しちゃうヨ」
このジョーカーという魔者、的確にオトギという“人間の盾”を活用して見せている。
「どこまでも卑怯な!」
思わずリョーマが吐き捨てる。
「ですがマスター。これでオトギ様をロックする事に成功しました」
回線を通じて耳にした、ダナからの報告。
ロック?
もう時間が無いというのに、一体何を言っているのか?焦るクレハは舌打ちを鳴らした。
妲己が繰り出す死神の鎌の一振りを、リョーマは下段の構えからの野太刀の一閃で「ガンッ!!」弾いて払う。
そして。
「来い!タツロー!」
リョーマの声に応じるように、コールブランドの機関砲が、妲己の背後から唸りを上げた。
だが、やはりドラゴンヘッドが即応。放たれた銃弾を吸収してしまった。
ドスッ!
破片を飛び散らせて、ダナの野太刀がオトギの頭上を通り越して妲己の胸に突き立てられた。
ドラゴンヘッドがコールブランドに向けて応射を始める前の出来事であった。
突き立てられた野太刀が、オトギを囲うようにして刃を走らせる。
オトギが捕われている箇所を器用に斬り取っているのだ。
彼女を傷つけないように慎重に走らせている野太刀を妲己が左手で掴んだ。
刃の動きが止まってしまった。
「随分と無茶な手段に出たものだね。リョーマ」
告げて、瞬発的に掴む手を野太刀の刀身からダナの右腕へと掴み直した。
「逃がさないよ~」
ダナの右腕がメリメリと握り潰されてゆく。と、同時にダナの悲鳴が周囲一帯に響き渡る。
「マ、マスター。今です!」
痛みを堪えながら、ダナが指示を送った。
「ん?」
ジョーカーの目に、振り被るダナが映る。
剣を振るのではなく、これは明らかにブン殴る体勢。しかも、左の拳で!
「フンッ!顔面をブン殴ったところで痛くも痒くもないよ」
余裕をみせるジョーカーであったが、リョーマが殴り掛かったのは、頭部ではなく、人間の盾としているオトギであった。
てっきり頭部を狙って殴るものとばかり思い込んでいたジョーカーにとって、それは意表を突かれたとしか言いようが無い。
リョーマは殴ると見せかけて、切り取ったオトギの周囲にピンポイントバリアを展開。修復に取り掛かるケーブルとの間に障壁を設けた。
ピンポイントバリアに囲まれるオトギを回収すると、「鈴木さん!僕を撃て!!」
事前に何の打ち合わせもしていないのに、突然指示を送られても…。
困惑したけど、それはほんの一瞬だけ。
「アイアイサー」
告げて、ダナの右上腕にハンドガンの銃弾を放った。
だが!
突然妲己が回り込んで来て、ダナの盾になるように間に入った。
これって!?
撃った弾がドラゴンヘッドへと吸い込まれてガンランチャーに向けて放たれた。
自動反撃発動。
弾丸はガンランチャーの右腕に直撃して爆砕。騎体が大きく傾く。
だけど!
左手に握るハンドガンで、ギリギリ見えているダナの右腕に連発で銃弾を叩き込む。
ダナの右腕が銃弾によって撃ち抜かれ、落下してゆく。
もうダナを捕えるものは何も無い。
ダナは全身からマイクロミサイルを発射しつつ、後方へと緊急離脱を行った。
もはや遠慮はいらない。
弾が尽きるまで、徹底的に派手に攻撃をお見舞いしてやる。
爆炎が途絶えぬ中、浮遊素のバリアが展開されるのが確認された。
やがて、爆炎が収まり、立ち込める黒煙も風によって流されてゆく。
妲己の、ススに塗れた騎体も、破損した箇所も、すべて瞬く間に修復されてゆく。
またもやリペアのカードを使用して全快されてしまった。
「また随分と派手にやってくれたね」
オトギを奪われたというのに、全くと言っていいほどに悔しさを見せない。
「オトギを取り戻したからと、ボクに供給される霊力と魔力が途絶えたと思ったら大間違いだからね。すでに!オトギを通じて彼女の家系に向けられている“悪意”を十分なまでに取り込んで。んん~。キミたち全員を嬲り殺しにするくらいは、いや、それでも有り余るくらいに魔力はある。覚悟しなよ、鈴木・くれは」
どうして、こういう時に限って名指ししてくれるのよッ!?
しかも、このタイミングで魔法が切れてグラムの騎体へと戻ってしまった。
憎しみの対象にされている中、さらに騎体がバッタ型とは。
とことんツイていないわ。
「さあ、誰から嬲り殺しにしてあげようかな?」
妲己が、ダラリと力なく下した手に握るのは!
ダナの騎体データを吸収して奪い取った野太刀。それに加えて切っ先をこちらに向けてきている。
まるでロボットアニメの主人公ロボが敵に剣を向けているようなパースで!
「悪の塊のくせして、なんてポーズを構えて見せるのよ」
沸き起こるように、とにかくムカつく。
でも、今のバッタ型の盤上戦騎では、とうてい太刀打ちできない。
かと言って…。
クレハは再びものまねのカードを手にした。
頼れるのは、このカードだけなのに…。
右腕を失ったガンランチャーでは大幅に戦力ダウンだ。
どうしよう…?
残る騎体は……。
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