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[29]そして独り
-317-:あーあ、言わんこっちゃ無いわ
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なんて卑劣極まりない…。
御陵・御伽を人間の盾として、ジョーカーはクレハたちと対峙した。
「何て事を・・何て!事をするんだぁッ!」
怒りに打ち震えていたかと思えば、いきなり叫んでタツローはコントラストの合体を解除してしまった。
「な、何をやってんのォォォ。タツローくーん」
合体が解かれ、後ろへと座席が倒れてゆく中、クレハはタツローの名を呼ぶだけで精一杯だった。
で。
「これに戻ったワケだ」
もう、呆れて溜息しか出ない…。
再びバイク型コクピットへと戻ってしまった。
本音を言えば、コクピット仕様は何とか我慢できよう。しかし!
グラムの騎体で、この先どうやって戦えと言うのか?
両手が鎌。しかも射撃武器は背中のキャロネード砲2門のみ。まあ、防御ビットがあるので、そう簡単には墜とされはしなだろうけど…。
しかも、骸骨亡者のキャサリンを同高度に置いたまま。
5肢を分割して戦うキャサリンに、リョーマのダナでさえ手こずっている。
「確か、コイツのキャロネードって、4秒間隔で発射するんだよね?」
とてもではないが、当たられる気がしない。
接近して撃つしか手立ては無さそうだ。
とはいえ、自身の事ならまだしも、後先考えずに突っ込んで行ってしまったタツローはどうしたものか。
案の定、妲己を攻撃ビットで取り囲んではいるものの、一発も発射できずに、ただグルグルと旋回させている。
「アイツは何がしたいのかな?」
ハエのように妲己の頭の周りをただ飛び回っていても埒があかないので、手を貸すことにした。
「私は効果魔法カード、ものまねのカードでベルタを砲尾蜥蜴ガンランチャーにチェンジ!!」
カードの効果を発動。
ガンランチャーへと姿を変えた。
「あーあ、言わんこっちゃ無いわ。頭の周りをああも鬱陶しく飛び回ったら、そりゃあジョーカーだってイラつくでしょうよ」
周囲を飛び回るコールブランドに、シャドーの刺客が放たれた。
飢屍のソネと深海霊のカムロだ。
「オトギさぁーん」
タツローの呼び掛けに、オトギは意識を失ったまま応えない。
「とにかく鬱陶しいんだよッ!チョロチョロと飛び回るのも、お前の声もッ!!」
左肩のドラゴンヘッドはコールブランドを攻撃しない。
やはり攻撃を受けなければ、反応を示さないのが、これで判別できた。
1対3の上に、コールブランドというトンボのような騎体では、タツローにとって分が悪すぎる。
ここは加勢に向かわないと、彼は無駄死にしてしまう。
と、その前に。
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
左手に取り出したハンドガンでキャサリンの分裂した5肢を立て続けに撃ち抜く。
動きが鈍ったところでリョーマは野太刀と両肩のガトリングガンで各個撃破していった。
残る胴体は、いくら亡者とはいえ言葉を話すのだから、殺してしまえば後味が悪い。
リョーマはミツナリを捨て置いた。
「ありがとう、鈴木さん。この借りは御陵さんを救う事で返すよ」
礼を言われても嬉しさなど微塵も感じないが、この男なら、何となく本当にオトギを救い出せそうな気がする。
「ええ、期待しているわ」
告げてガンランチャーを妲己へと向かわせた。
一方の、真っ先にオトギを救いに向かったタツローは。
ソネとカムロに追い掛けられっ放しの状態にあった。
「アイツは労力の無駄使いばかりしてるな…」
いっその事、このまま放っておこうかとも思ってしまう。
それほどまでに思慮が浅い男であった。
ソネが手にするのは!
何とグレネード弾ではないか!
「マズイ!今あれを使われたら、みんな吹き飛んでしまう」
一旦妲己への接近の手を止めて、スナイパーライフルを召喚。
コクピット上部から狙撃用のライフル型コントロールがガタンッ!と落ちてきた。
いつもながら、この仕様には驚かされる。
心臓に悪いったら、ありゃしない。
浮遊素を大量散布させて“足場”を作った。少しだけ俯角になるように構築させて。
浮遊素で作った足場に腹這いになりソネが手に持っているグレネード弾に照準を合わせる。
さすが高高度からでは風の影響をもろに受けてしまう。かと言って、降下しながらなんて、あんな小さな的に当てられる自信は無い。
いっその事、ソネの胴体を撃ち抜くか?でも万が一破壊し損ねてしまったら、全員が消し飛んでしまう。
悩んでいる最中、とうとうグレネード弾は発射されてしまった。
アレは確か、時限式で爆発するはず。
ならば!
「クロックアップ!」
移動速度も弾速も変化しないから意味は無いと思われるが、実は大いに効果を発揮している。
それは。
10倍の時間、気持ちを落ち着かせる時間を作れる。
狙撃手にとって一番大事なのは、落ち着く事。決して呼吸を乱してはならない。
空高く飛翔してゆくグレネード弾にクレハは狙いを定めた。
いつ爆発するか知れないけれど、ゆっくりと呼吸を整えて…。
発射!!
ソネの頭上高く爆発が生じた。
クレハは見事、発射されたグレネード弾を撃ち抜き破壊したのだ。
「まるで水爆ミサイルを斬り落とした気分だわ」
一気に体中から汗が噴き出した。
そして、グッタリと背もたれに身体を預け…たいところだが、どういう訳か背もたれ部分が無い!危うくクレハは後ろへとひっくり返りそうになった。
「あっとっとっと」
ブンブンと両腕を振って体勢を立て直すと。
「お前もついでにあの世へ行っとけ」
照準にソネを捉えると、胴体に一発お見舞いしてやった。
動きを止めたソネに、コールブランドの攻撃ビットが集中攻撃を仕掛ける。
爆散。実にあっけないものだ。
御陵・御伽を人間の盾として、ジョーカーはクレハたちと対峙した。
「何て事を・・何て!事をするんだぁッ!」
怒りに打ち震えていたかと思えば、いきなり叫んでタツローはコントラストの合体を解除してしまった。
「な、何をやってんのォォォ。タツローくーん」
合体が解かれ、後ろへと座席が倒れてゆく中、クレハはタツローの名を呼ぶだけで精一杯だった。
で。
「これに戻ったワケだ」
もう、呆れて溜息しか出ない…。
再びバイク型コクピットへと戻ってしまった。
本音を言えば、コクピット仕様は何とか我慢できよう。しかし!
グラムの騎体で、この先どうやって戦えと言うのか?
両手が鎌。しかも射撃武器は背中のキャロネード砲2門のみ。まあ、防御ビットがあるので、そう簡単には墜とされはしなだろうけど…。
しかも、骸骨亡者のキャサリンを同高度に置いたまま。
5肢を分割して戦うキャサリンに、リョーマのダナでさえ手こずっている。
「確か、コイツのキャロネードって、4秒間隔で発射するんだよね?」
とてもではないが、当たられる気がしない。
接近して撃つしか手立ては無さそうだ。
とはいえ、自身の事ならまだしも、後先考えずに突っ込んで行ってしまったタツローはどうしたものか。
案の定、妲己を攻撃ビットで取り囲んではいるものの、一発も発射できずに、ただグルグルと旋回させている。
「アイツは何がしたいのかな?」
ハエのように妲己の頭の周りをただ飛び回っていても埒があかないので、手を貸すことにした。
「私は効果魔法カード、ものまねのカードでベルタを砲尾蜥蜴ガンランチャーにチェンジ!!」
カードの効果を発動。
ガンランチャーへと姿を変えた。
「あーあ、言わんこっちゃ無いわ。頭の周りをああも鬱陶しく飛び回ったら、そりゃあジョーカーだってイラつくでしょうよ」
周囲を飛び回るコールブランドに、シャドーの刺客が放たれた。
飢屍のソネと深海霊のカムロだ。
「オトギさぁーん」
タツローの呼び掛けに、オトギは意識を失ったまま応えない。
「とにかく鬱陶しいんだよッ!チョロチョロと飛び回るのも、お前の声もッ!!」
左肩のドラゴンヘッドはコールブランドを攻撃しない。
やはり攻撃を受けなければ、反応を示さないのが、これで判別できた。
1対3の上に、コールブランドというトンボのような騎体では、タツローにとって分が悪すぎる。
ここは加勢に向かわないと、彼は無駄死にしてしまう。
と、その前に。
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
左手に取り出したハンドガンでキャサリンの分裂した5肢を立て続けに撃ち抜く。
動きが鈍ったところでリョーマは野太刀と両肩のガトリングガンで各個撃破していった。
残る胴体は、いくら亡者とはいえ言葉を話すのだから、殺してしまえば後味が悪い。
リョーマはミツナリを捨て置いた。
「ありがとう、鈴木さん。この借りは御陵さんを救う事で返すよ」
礼を言われても嬉しさなど微塵も感じないが、この男なら、何となく本当にオトギを救い出せそうな気がする。
「ええ、期待しているわ」
告げてガンランチャーを妲己へと向かわせた。
一方の、真っ先にオトギを救いに向かったタツローは。
ソネとカムロに追い掛けられっ放しの状態にあった。
「アイツは労力の無駄使いばかりしてるな…」
いっその事、このまま放っておこうかとも思ってしまう。
それほどまでに思慮が浅い男であった。
ソネが手にするのは!
何とグレネード弾ではないか!
「マズイ!今あれを使われたら、みんな吹き飛んでしまう」
一旦妲己への接近の手を止めて、スナイパーライフルを召喚。
コクピット上部から狙撃用のライフル型コントロールがガタンッ!と落ちてきた。
いつもながら、この仕様には驚かされる。
心臓に悪いったら、ありゃしない。
浮遊素を大量散布させて“足場”を作った。少しだけ俯角になるように構築させて。
浮遊素で作った足場に腹這いになりソネが手に持っているグレネード弾に照準を合わせる。
さすが高高度からでは風の影響をもろに受けてしまう。かと言って、降下しながらなんて、あんな小さな的に当てられる自信は無い。
いっその事、ソネの胴体を撃ち抜くか?でも万が一破壊し損ねてしまったら、全員が消し飛んでしまう。
悩んでいる最中、とうとうグレネード弾は発射されてしまった。
アレは確か、時限式で爆発するはず。
ならば!
「クロックアップ!」
移動速度も弾速も変化しないから意味は無いと思われるが、実は大いに効果を発揮している。
それは。
10倍の時間、気持ちを落ち着かせる時間を作れる。
狙撃手にとって一番大事なのは、落ち着く事。決して呼吸を乱してはならない。
空高く飛翔してゆくグレネード弾にクレハは狙いを定めた。
いつ爆発するか知れないけれど、ゆっくりと呼吸を整えて…。
発射!!
ソネの頭上高く爆発が生じた。
クレハは見事、発射されたグレネード弾を撃ち抜き破壊したのだ。
「まるで水爆ミサイルを斬り落とした気分だわ」
一気に体中から汗が噴き出した。
そして、グッタリと背もたれに身体を預け…たいところだが、どういう訳か背もたれ部分が無い!危うくクレハは後ろへとひっくり返りそうになった。
「あっとっとっと」
ブンブンと両腕を振って体勢を立て直すと。
「お前もついでにあの世へ行っとけ」
照準にソネを捉えると、胴体に一発お見舞いしてやった。
動きを止めたソネに、コールブランドの攻撃ビットが集中攻撃を仕掛ける。
爆散。実にあっけないものだ。
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