310 / 351
[27]~幕間~ 決戦に至るまで
-301-:どうやって、あのお嬢様を虐めてやろうかしら
しおりを挟む
第34手終了時点でココミが担当する白側は、ライクが担当する黒側を数の上で逆転した事になる。
マテリアルアドバンテージを計算してみよう。
王は獲られてしまえば終了なので∞となる。
なので、計算から除外される。
白側
女王×1=9点
僧正×2=4点×2=計8点
騎士×1=3点
兵士×4=1点×4=計4点
合計/8騎/ 24点
黒側
女王×1=9点
城砦×1=5点
僧正×2=4点×2=計8点
騎士×1=3点
兵士×1=1点
合計/6騎/ 26点
結果、白側の残り駒数9個に対して黒側残り駒数7個(駒の数では王も勘定に入れる)。
白側は駒の数では勝ってはいるものの、マテリアルアドバンテージは依然黒側が優位となっている。
位置的な優位性、つまりポジショナルアドバンテージは、実のところどちらが優位とも言い切れない。
それは、“アンデスィデ”と呼ばれる、通常のチェスにはない、獲った駒が返り討ちに遭い盤上から排除されるルールがあるためである。
通常悪手とされる、自軍の駒の密集は、アンデスィデにおいて、参戦する駒を増やす事に繋がるので有効となる。いわゆる数の暴力である。
これは、最強の駒である女王に対抗する手段ともなる。
元々、最強を誇るドラゴン種に対抗する救護策として設けられていたルールであったが、マスターの霊力・騎体構成・マスターの身体能力によって戦局が左右されてしまうため、あまり意味を成していない。
事実、魔者たちの中でも、人間や動物から変貌を遂げた“百鬼夜行”の魔者たちでさえ、ココミ率いるドラゴンたちを圧倒し、一時はその数を半減させるほどに圧倒していた。
では、手短に御陵・御伽が駆る千年狐狸精の妲己が、神楽・いおり駆る九頭龍のオロチを倒すまでの棋譜を表記する。
第35手
白側:Bd7+
f5ビショップをd7へ移動、e8黒のキングをチェック!
*チェックとは、王手とまでいかないが、王に対して攻撃が通っている事。なので、次の手では、王はチェックを回避する必要がある(最期尾に表記されている+マークがチェックを意味する)。
黒側:f8
白のビショップにチェックされたので、キングをf8へと退避。
第36手
白側:Qb1
c1クィーンをb1へと移動。共闘アンデスィデの準備に入る。
黒側:Qb8
d8クィーンをb8へと移動。同じく共闘アンデスィデの準備に入る。
第37手
白側:Q×b8
b1クィーンでb8クィーンをテイク!共闘アンデスィデ開始。
しかし本来ならば、テイクした白側のオロチが戦線離脱をして、駒は動いていない状態になるはずだったのが、妲己がオロチを倒してしまったために、結果、Q×b8は赤文字で棋譜に表記された。
つまり、返り討に遭った。
7月7日の出来事である。
第34手黒側により、鈴木くれはが初参戦したアンデスィデが行われたのが6月27日の時点だったのに対し、随分と日が経っており計算が合わないと思われるであろう。
だが、思い出して欲しい。
翌日の6月28日、白側が駒を動かした時点で、ミュッセの要望により、ココミとライクとの間に休戦協定が結ばれていた事を。
共闘アンデスィデの準備や調整を行うため、1週間の間、共に駒をまったく動かす事はしなかったのだ。
その間にパーティーを催したり、オトギがジョーカーに接触したりと色々あって、7月7日に共闘アンデスィデが発生、オトギがイオリを殺害してしまう不測の事態が発生してしまう。
…と、いうのは、これまでの見解。
だけど、イオリは強かにも生きていた。
そしていま、水面下で逆襲の時を待つ。
と、その前に、オトギが悔しがる姿が思い浮かぶという理由だけで、タツローからキスを奪う暴挙に出ていた。
「さてさて、どうやって、あのお嬢様を虐めてやろうかしら。ふふふ」
最終アンデスィデが待ち切れなくて、気持ちが抑え切れないイオリであった。
マテリアルアドバンテージを計算してみよう。
王は獲られてしまえば終了なので∞となる。
なので、計算から除外される。
白側
女王×1=9点
僧正×2=4点×2=計8点
騎士×1=3点
兵士×4=1点×4=計4点
合計/8騎/ 24点
黒側
女王×1=9点
城砦×1=5点
僧正×2=4点×2=計8点
騎士×1=3点
兵士×1=1点
合計/6騎/ 26点
結果、白側の残り駒数9個に対して黒側残り駒数7個(駒の数では王も勘定に入れる)。
白側は駒の数では勝ってはいるものの、マテリアルアドバンテージは依然黒側が優位となっている。
位置的な優位性、つまりポジショナルアドバンテージは、実のところどちらが優位とも言い切れない。
それは、“アンデスィデ”と呼ばれる、通常のチェスにはない、獲った駒が返り討ちに遭い盤上から排除されるルールがあるためである。
通常悪手とされる、自軍の駒の密集は、アンデスィデにおいて、参戦する駒を増やす事に繋がるので有効となる。いわゆる数の暴力である。
これは、最強の駒である女王に対抗する手段ともなる。
元々、最強を誇るドラゴン種に対抗する救護策として設けられていたルールであったが、マスターの霊力・騎体構成・マスターの身体能力によって戦局が左右されてしまうため、あまり意味を成していない。
事実、魔者たちの中でも、人間や動物から変貌を遂げた“百鬼夜行”の魔者たちでさえ、ココミ率いるドラゴンたちを圧倒し、一時はその数を半減させるほどに圧倒していた。
では、手短に御陵・御伽が駆る千年狐狸精の妲己が、神楽・いおり駆る九頭龍のオロチを倒すまでの棋譜を表記する。
第35手
白側:Bd7+
f5ビショップをd7へ移動、e8黒のキングをチェック!
*チェックとは、王手とまでいかないが、王に対して攻撃が通っている事。なので、次の手では、王はチェックを回避する必要がある(最期尾に表記されている+マークがチェックを意味する)。
黒側:f8
白のビショップにチェックされたので、キングをf8へと退避。
第36手
白側:Qb1
c1クィーンをb1へと移動。共闘アンデスィデの準備に入る。
黒側:Qb8
d8クィーンをb8へと移動。同じく共闘アンデスィデの準備に入る。
第37手
白側:Q×b8
b1クィーンでb8クィーンをテイク!共闘アンデスィデ開始。
しかし本来ならば、テイクした白側のオロチが戦線離脱をして、駒は動いていない状態になるはずだったのが、妲己がオロチを倒してしまったために、結果、Q×b8は赤文字で棋譜に表記された。
つまり、返り討に遭った。
7月7日の出来事である。
第34手黒側により、鈴木くれはが初参戦したアンデスィデが行われたのが6月27日の時点だったのに対し、随分と日が経っており計算が合わないと思われるであろう。
だが、思い出して欲しい。
翌日の6月28日、白側が駒を動かした時点で、ミュッセの要望により、ココミとライクとの間に休戦協定が結ばれていた事を。
共闘アンデスィデの準備や調整を行うため、1週間の間、共に駒をまったく動かす事はしなかったのだ。
その間にパーティーを催したり、オトギがジョーカーに接触したりと色々あって、7月7日に共闘アンデスィデが発生、オトギがイオリを殺害してしまう不測の事態が発生してしまう。
…と、いうのは、これまでの見解。
だけど、イオリは強かにも生きていた。
そしていま、水面下で逆襲の時を待つ。
と、その前に、オトギが悔しがる姿が思い浮かぶという理由だけで、タツローからキスを奪う暴挙に出ていた。
「さてさて、どうやって、あのお嬢様を虐めてやろうかしら。ふふふ」
最終アンデスィデが待ち切れなくて、気持ちが抑え切れないイオリであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる