258 / 351
[23]穢れ
-249-:さすがは御陵のお嬢様。護身術はお手の物かぁ?
しおりを挟む
眩い光を放つ弓矢をつがえるガンランチャー。
そんな神々しい姿を目の当たりにするも、オトギは絶望視しかできなかった。
「そんな武器がクロックアップをしている相手に当たるはずがない…」
ただ呟く事しか出来ない。
「心配要りませんよ」
白側回線に行き渡るココミの声。
「どうしてガンランチャーの最強攻撃が弓矢なのか?ご存知ですか?」
何か、どこかで聞いたことのある台詞だなとクレハは感じた。
取り敢えず。
「どうしてなのよ?」
訊ねてみた。
「アンデスィデに於いて、最強の駒は女王です。そのクィーンは最強な上に効果魔法カードを9枚も使用できるチート騎なのです。そんなクィーンを倒すためには通常の割り振りでは到底敵わず、能力の一極集中をする必要があるのです」
説明を求めたは良いけど、何か違う説明を始めている。
「あっ、ごめんなさい。これはベルタさんがどうして剣しかまともな武器を持っていないかの説明でした」
自らの間違いに気付き、謝罪する始末。
そんな解説はタカサゴにしてやれよ!「ちゃんと説明して!」催促した。
ココミはコホンッと咳払いひとつして。
「答えは先程アルルカン3が示してくれた通りと言っても良いでしょう。つまり、クロックアップの世界に於いて、射撃武器の信頼性は大きく損なわれてしまいます。なので!反応速度をそのまま攻撃力に転用できる弓矢なら!威力も弾速もクロックアップ中なら大幅にアップできます」
大体そんな事だろうと思っていたよ。何一つ驚く要素は無かった。
「だけど、命中率はどうなるの!?クレハ先輩は現在、スランプに陥っているのですよ!」
まあ確かにデモンストレーションでは全部外しちゃったけど、アレは別にスランプって訳じゃあ…。
嫌な事を思い出してしまった。
後輩のオトギに信頼されていないと実感すると、何だか本当に当てられる自信が無くなってきた。
何でも良いけど、オトギちゃん…貴女、肝心な時にテンション下げてくれるのよね…。
「ゼロ距離射撃なら、どうですか」
タツローからの提案。「ゼロ距離…射撃!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!私に、あんな空手バカ一代に接近して戦えっての?無茶を言わないでよ!」
そんな特攻じみた戦法、こっちから願い下げだ。
「大丈夫です。僕がヤツを押さえ付けておきますから」
タツローは効果魔法を使ってダメージを全回復させた。
タツローはダナへと向いて。
「今、クロックアップを使えるのは、クレハさんと僕たちです」
有無を言わさず、今はこれしか方法はない。
ダナが頷いた。
「行きましょう、クレハさん」
告げてアルルカン3の元へと飛び立ってしまった。
空中で腕を組んだまま浮遊素のバリアで護られているアルルカン3が、コントラストの接近に気付いた。「ん?」
ようやく接近戦を挑んでくる相手に、シズカは胸躍らせる。
「来たか!よぅし、相手になってやるぜ!」
タツローは牽制にと、オプション火器による一斉射を放つ。
しかし、そんな攻撃は浮遊素のバリアを突き破ることが出来ない。それでも。
「クロックアップ!」
アルルカン3が浮遊素の玉を投げるフォームに入った瞬間、クロックアップを発動。
お互いが10倍速になれば、普通の投げのフォームでしかない。避けるのは思った以上に簡単だった。
「タツローくん!接近戦は私が!」「うん、任せたよ」
コントロールをオトギに渡す。
と。
前蹴りを繰り出してきたアルルカン3の膝裏に、回転させた長柄部分で打撃を与える。
体勢を崩した相手に追い討ちとばかりに薙刀の一閃をお見舞いするも、浮遊素の盾で弾かれてしまった。
「甘ぇよ、お嬢さん」
動きからパイロットが変わっている事が見抜かれていた。
しかも返し蹴り、いわゆる内回し蹴りのカウンターを頭部に向けて放ってきた。
(まだよッ!)
すかさず防御ビットを集中させて防御を図るも、一瞬にして粉砕されてしまった。
一旦距離を置いて薙刀の切っ先を向ける。
「さすがは御陵のお嬢様。護身術はお手の物かぁ?」
訊ねられても、こちらは呼吸を止めた状態。答えたくとも答えられない。
戦闘続行!
今度は薙刀の突きを連続で放つ。
シズカは、これをスイスイと避けて見せた。直線攻撃では、とてもではないが、この空手の達人に命中させる事などできない。
「んもう!相手を左右に振らして、どうするの?余計に当たらないじゃない!」
気付かれないように、徐々に接近を試みながら、チャンスを窺う。
「まるで命懸けの“だるまさんが転んだ”ですねぇ」
やけに腹が立つけど、ガンランチャーの言い回しは的確だ。
そのガンランチャーが、もうひとつ思いも寄らない事を訊ねてきた。
「で、クレハさぁん。与一を当てるのは良いのですが、当てちゃったら、あの騎体、一撃で消滅してしまいますよ」
どうして、そういう肝心な事を、このギリギリになってから言うのか!
そんな神々しい姿を目の当たりにするも、オトギは絶望視しかできなかった。
「そんな武器がクロックアップをしている相手に当たるはずがない…」
ただ呟く事しか出来ない。
「心配要りませんよ」
白側回線に行き渡るココミの声。
「どうしてガンランチャーの最強攻撃が弓矢なのか?ご存知ですか?」
何か、どこかで聞いたことのある台詞だなとクレハは感じた。
取り敢えず。
「どうしてなのよ?」
訊ねてみた。
「アンデスィデに於いて、最強の駒は女王です。そのクィーンは最強な上に効果魔法カードを9枚も使用できるチート騎なのです。そんなクィーンを倒すためには通常の割り振りでは到底敵わず、能力の一極集中をする必要があるのです」
説明を求めたは良いけど、何か違う説明を始めている。
「あっ、ごめんなさい。これはベルタさんがどうして剣しかまともな武器を持っていないかの説明でした」
自らの間違いに気付き、謝罪する始末。
そんな解説はタカサゴにしてやれよ!「ちゃんと説明して!」催促した。
ココミはコホンッと咳払いひとつして。
「答えは先程アルルカン3が示してくれた通りと言っても良いでしょう。つまり、クロックアップの世界に於いて、射撃武器の信頼性は大きく損なわれてしまいます。なので!反応速度をそのまま攻撃力に転用できる弓矢なら!威力も弾速もクロックアップ中なら大幅にアップできます」
大体そんな事だろうと思っていたよ。何一つ驚く要素は無かった。
「だけど、命中率はどうなるの!?クレハ先輩は現在、スランプに陥っているのですよ!」
まあ確かにデモンストレーションでは全部外しちゃったけど、アレは別にスランプって訳じゃあ…。
嫌な事を思い出してしまった。
後輩のオトギに信頼されていないと実感すると、何だか本当に当てられる自信が無くなってきた。
何でも良いけど、オトギちゃん…貴女、肝心な時にテンション下げてくれるのよね…。
「ゼロ距離射撃なら、どうですか」
タツローからの提案。「ゼロ距離…射撃!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!私に、あんな空手バカ一代に接近して戦えっての?無茶を言わないでよ!」
そんな特攻じみた戦法、こっちから願い下げだ。
「大丈夫です。僕がヤツを押さえ付けておきますから」
タツローは効果魔法を使ってダメージを全回復させた。
タツローはダナへと向いて。
「今、クロックアップを使えるのは、クレハさんと僕たちです」
有無を言わさず、今はこれしか方法はない。
ダナが頷いた。
「行きましょう、クレハさん」
告げてアルルカン3の元へと飛び立ってしまった。
空中で腕を組んだまま浮遊素のバリアで護られているアルルカン3が、コントラストの接近に気付いた。「ん?」
ようやく接近戦を挑んでくる相手に、シズカは胸躍らせる。
「来たか!よぅし、相手になってやるぜ!」
タツローは牽制にと、オプション火器による一斉射を放つ。
しかし、そんな攻撃は浮遊素のバリアを突き破ることが出来ない。それでも。
「クロックアップ!」
アルルカン3が浮遊素の玉を投げるフォームに入った瞬間、クロックアップを発動。
お互いが10倍速になれば、普通の投げのフォームでしかない。避けるのは思った以上に簡単だった。
「タツローくん!接近戦は私が!」「うん、任せたよ」
コントロールをオトギに渡す。
と。
前蹴りを繰り出してきたアルルカン3の膝裏に、回転させた長柄部分で打撃を与える。
体勢を崩した相手に追い討ちとばかりに薙刀の一閃をお見舞いするも、浮遊素の盾で弾かれてしまった。
「甘ぇよ、お嬢さん」
動きからパイロットが変わっている事が見抜かれていた。
しかも返し蹴り、いわゆる内回し蹴りのカウンターを頭部に向けて放ってきた。
(まだよッ!)
すかさず防御ビットを集中させて防御を図るも、一瞬にして粉砕されてしまった。
一旦距離を置いて薙刀の切っ先を向ける。
「さすがは御陵のお嬢様。護身術はお手の物かぁ?」
訊ねられても、こちらは呼吸を止めた状態。答えたくとも答えられない。
戦闘続行!
今度は薙刀の突きを連続で放つ。
シズカは、これをスイスイと避けて見せた。直線攻撃では、とてもではないが、この空手の達人に命中させる事などできない。
「んもう!相手を左右に振らして、どうするの?余計に当たらないじゃない!」
気付かれないように、徐々に接近を試みながら、チャンスを窺う。
「まるで命懸けの“だるまさんが転んだ”ですねぇ」
やけに腹が立つけど、ガンランチャーの言い回しは的確だ。
そのガンランチャーが、もうひとつ思いも寄らない事を訊ねてきた。
「で、クレハさぁん。与一を当てるのは良いのですが、当てちゃったら、あの騎体、一撃で消滅してしまいますよ」
どうして、そういう肝心な事を、このギリギリになってから言うのか!
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
黒ハット
ファンタジー
前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
あの夕方を、もう一度
秋澤えで
ファンタジー
海洋に浮かび隔絶された島国、メタンプシコーズ王国。かつて豊かで恵まれた国であった。しかし天災に見舞われ太平は乱れ始める。この国では二度、革命戦争が起こった。
二度目の革命戦争、革命軍総長メンテ・エスペランサの公開処刑が行われることに。革命軍は王都へなだれ込み、総長の奪還に向かう。しかし奮闘するも敵わず、革命軍副長アルマ・ベルネットの前でメンテは首を落とされてしまう。そしてアルマもまた、王国軍大将によって斬首される。
だがアルマが気が付くと何故か自身の故郷にいた。わけもわからず茫然とするが、海面に映る自分の姿を見て自身が革命戦争の18年前にいることに気が付く。
友人であり、恩人であったメンテを助け出すために、アルマは王国軍軍人として二度目の人生を歩み始める。
全てはあの日の、あの一瞬のために
元革命軍アルマ・ベルネットのやり直しファンタジー戦記
小説家になろうにて「あの夕方を、もう一度」として投稿した物を一人称に書き換えたものです。
9月末まで毎日投稿になります。
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
寝起きでロールプレイ
スイカの種
SF
起きたら二百六十年経ってて、しかも若返っていた?!
文明は二度崩壊し、新たな社会秩序の形成された世界で人生を歩むハードSF。
二百年後のネットインフラはどうなっているのか。
魔法をSFに落とし込むにはどうすればいいのか。
未来へのワクワクを全部詰め込んだらこうなった。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。アルファポリスの方が挿絵付きです。
作者:まりお
単語、用語解説データベース(外部サイト)
https://roleplay.sumikko-love.com/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる