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[22]聖剣&魔剣

-228-:わ、わわわ。ご主人様ったら、なんて命知らずな発言を

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「敵は私たちが通った道を辿って追跡してきている」
 それがロボが嗅覚を駆使して追跡を行っていた理由とした。

「だったらしょうがないですねぇ。だからと言って何もステルスシートを撃ち抜くコトも無いでしょう。あんな小さな穴でも結構痛かったんですよぉ」
 ガンランチャーにとっては、ソレはソレ、コレはコレでしかない。

「だからゴメンて謝っているでしょう。だけど、複数の標的に対応できる、あの能力はちょっと厄介ね…」
 クレハは謝りつつ考え込んだ。

「数が分からなければ対処のしようが無いですものねぇ…」
 ガンランチャーも思案に入ったところで、クレハは外部音声スイッチをONに入れた。


 両手のハンドガンをあらゆる方向へと向けて警戒をしながら。

「シンジュちゃん!聞こえてる?貴女たちの能力はもうバレているのよ。嗅覚で私たちを追ってきている事、それに大勢の手下を従えている事もね」
 姿の見えぬロボに話しかける。

「だからもう、私たちは逃げはしない。ここで貴女たちをブッ潰す!」
 こともあろう事か、クレハは宣戦布告した。

「殺し合いがどうだの言っていた割には、殺人も致し方ないと方便を垂れるのね」
 ロボが一際背の高いビルの屋上に姿を現した。

「出てきたわね…」
 小声で呟く。

「私が言ったのは、あくまでも!ブッ潰す”。“ブッ殺す!なんて言ってはしないわ」
 ロボの治癒能力はどれほどのものなのだろう?

 さきほど吹き飛ばしてやった小指も耳も、もう元通りに治っている。

 だったら!ハンドガンで腕と脚を撃って撃って撃ちまくって、引きちぎってやる!

 横へホバリング移動を開始して、両手のハンドガンを撃ちまくる。

 だが、ロボは、先程まで手にしていたブーメランを折り畳んで左腕に装着。シールドモードへと変えて防御に入った。

 腕がダメなら!照準を腕から脚へと切り替える。

 ロボの両腰に装備されている回塔ターレット式機関砲が火を吹く。

 盾を持たないガンランチャーは後退を余儀なくされた。

「どうした、クレハ!私たちをブッ潰すんじゃなかったの!」
 多少のダメージなど、すぐさま回復してみせるロボに多大な信頼を寄せるシンジュは、そのまま追撃に入った。

「どうせなら、貴女の従えている子分共もまとめて相手にしてやるわ!」
 後退しながら、反撃を続けて豪語してみせる。

「わ、わわわ。ご主人様ったら、なんて命知らずな発言を」
 付き合わされるガンランチャーは堪ったものではない。

 なおも続く激しい銃撃戦。

 クレハはガンランチャーをビルの屋上へと立たせた。とても見晴らしが良い。

 ここなら、ロボが従えている子分とやらが現れても、十分対応できる。

「さぁ来い!親分は後方でふんぞり返って、危ない仕事は全部手下に任せておきなさいなッ!」
 それは襲撃を受ける側の台詞ではないと、ガンランチャーがツッコミを入れようとした、その時。

「ふふっ。40騎で袋叩きってのも悪くないわね」
 シンジュの勝ち誇ったような笑み。

「よ、40騎!?う、ウソでしょ?ご主人様ぁ、コイツぁ、グレートにヤベぇですぜ」
 数を聞いて腰を抜かすガンランチャーは、堪らず撤退を進言。だけど。

「アホが。引っ掛かりやがった」
 クレハはニヤリと笑う。

 ロボが跳び上がり、ガンランチャーの上を取った!

 すかさずクレハは照準にロボを捉える。

 が。

「割り込んで来るんじゃねーッ!!」
 叫び、クレハは右腕を90度方向転換。真横から接近する叫霊バンシーのツウラに向けてハンドガンを発射。

 ツウラは効果魔法エフェクトマジックカードを使用した模様。すでに撃ち抜いた頭部の損傷回復を果たしている。

 ツウラの左肩に装備されている拡声器スピーカーに着弾、爆炎がツウラを包み込む。

 そして、なおも接近を試みるロボにも発砲。何が何でも近づけさせはしない。

 止む事の無いガンランチャーからの銃撃をものともせずに、ロボは左腕に装着している盾を外して再びブーメランモードへと変形。ガンランチャーへ斬り掛かろうとした。

 ガンッ!!

 横から現れたツウラがショルダータックルを食らわせて、ロボの体勢を崩した。

「な、何をする!?イエヤス!」
 味方を攻撃してくるイエヤスの意図が分からない。

 同時に。

「何やってるのよ!?イエヤス!」
 ツウラもマスターが乱心したものと捉えていた。

 とても都合の良い事に、向こうから勝手にひとまとめになってくれた。

 ならば。

 両手のハンドガンが立て続けに火を吹く。

「ブッ殺す!!」
 唸るイエヤスではあるが、ツウラの体に備え付けられているスピーカーは次々と破壊されてゆく。

 クレハはどういう意図で備え付けているのか?得体の知れないスピーカーを、真っ先に破壊し続けていた。

「もう!何やってんのよ、イエヤス!これじゃあ、霊共振でアイツの骨格強度を下げられないじゃない!」
 ツウラの外装に取り付けられていたスピーカーは、霊力と共振現象を合わせる事によって、特定の振動数を有する箇所を破壊する装置であった。

 草間・涼馬が駆るダナの骨格フレームに共鳴する霊力と音とを合わせて響かせて、フレームのみにダメージを与えていたのだ。

「どのみちこれだけ離れていたら、音も霊力も分散しちまって、あの野郎にダメージを与える事は出来ねぇ!ならば!」
 バーンッ!!と勢いよく外装部をキャスト・オフ!!

 ツウラの本体は、何と!

 ガリガリヒョロヒョロの超細型盤上戦騎ディザスター

 しかし。

 体の至る箇所にてピンクの魔方陣が展開されて。

 回転が終われば。

 全身至る所にミサイルランチャーを備え付けた重爆装備へと姿を変えていた。

「よくも!ツウラの頭を撃ち抜いてくれたなぁ。この借りはキッチリ倍返しさせてもらうぜ!」
 一斉発射しようものなら、自ら火だるまになりかねないほどの大量のミサイルを抱えている。

「アイツ!着せ替え人形か!?」
 これがツウラの能力だ。

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