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[22]聖剣&魔剣
-226-:年頃の女の子が、そんな格好をするもんじゃ
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「や、8つ!?」
すっかりと声は裏返っていた。
「急に変な声を出すんじゃねぇよ、坊主」
なだめるように声を掛けてくれるグラム。だけど。
「我がマスターを気安く”坊主”と呼ばないで欲しいわね!貴様の頭こそ坊主頭そのものでしょうに」
すかさずコールブランドが割り込んでくる。それに対して「おう!それがどうした!」
この二人にとって、どんなに些細な事でも、すぐに喧嘩のタネとなってしまう。今は、そんな事をしている場合ではないというのに…。
「オトギさん、グラム。あなた達は敵がふざけて頭部を変えていたと思っていたのですか?」
「え、えぇ」「うーん」困惑する二人。
だけど、その前に。
「えと、オトギさん?さっきから音声通信なんだけど、どこか具合でも悪いのですか?」
グラムの、このバイクに跨るようなコクピット仕様に加えて、通信用カメラはコンソール画面に付いている。
なので。
否応無く、大変不本意ではあるけれど煽情的と言っても、何の支障も無い格好を晒す事になってしまう。
しかも、ボディーラインがモロに出てしまっている、ピッチリフィットのパイロットスーツ姿。
「具合の悪い所なんて無いわ。ただ、画像を映すとディスプレイを割いてしまって周囲に死角が出来てしまうから音声通信にしているの」
それらしい理由を並べている最中でも、グラムを急転回させると、強調されてしまっている胸がブルンと揺れてしまう。
内心、どうにかならないかと頭を悩ませる。
騎体を180度転回させて、追ってくるドーベルマン頭へと向いた。
敵を照準に捉えてキャロネードを連射する。
射程距離も短く貫通力も低いが、キャロネード弾は粘着榴弾なので、当たりさえすれば破壊力はバツグンだ。
砲撃をシールドで防御されても、盾ごと敵の腕を吹き飛ばす。
立て続けに放たれるキャロネードを躱した先には、グラムの鎌状腕が迫っていた。
「いっけぇぇーッ!」
ためらう事無く、ズブリと敵の肩関節へ両手のカマを突き立てる。さらに。
オトギはシートから腰を浮かせて、ペダルへと踏ん張りを利かせる。左ハンドルのアクセルも全開!
グラムの鎌は、とうとう敵の肩関節を断ち斬った。戦闘不能に陥った敵が尻尾を巻いて退散してゆく。
「やったわ!」
初撃退を大いに喜ぶオトギ。だけど。
「やっぱ、その姿は坊主には見せられねぇな…」
グラムの指摘を受けて、お尻を突き出すような体勢にある事に気付いたオトギは、慌ててシートへと跨った。顔を赤らめながら、天井を睨み付けると。
「年頃の女の子が、そんな格好をするもんじゃ―」「グラム!」
それ以上は言わせはしない。
「俺に怒るなよ。大体、そのパイロットスーツだってお前さんの趣味でそうなっちまったもんだし、コクピット仕様だって、お前さんの潜在意識からデータを拾い上げて構築したものなんだぜ」
「潜在意識って!そんな人の心の中を勝手に覗くようなマネをして、言い訳なんて聞きたくも無い!」
アンケートに答えて構築したものではないのだから、断じて納得などしてたまるか。
しかし、この痴話喧嘩とも言える会話は、ものの見事に、回線で白側全員が耳にする事となった。
「年頃の女の子がしちゃダメな格好って…」
タツローにとって、それは想像もつかない。
「ハン!あのビッチの事だから、尻でも振って破廉恥な格好でもさらしているのでしょう」
吐き捨てるコールブランドは追い討ちを止めない。
「大体、あの男に媚びるようなパイロットスーツを選ぶ事からして、あの女は“ビッチ”に他ならないのです!」
オトギを貶めて、畳みかける。
クレハは話を聞いて、オトギが頑なに音声通信を行っていた理由を察した。
「ま、まぁ確かにアレは恥ずかしいわ」
まるで他人事。自らは魔法少女の体でアンデスィデに参戦している分際だというのに。
「に、しても、ランちゃん。どういう事なんだろう?あっちにもこっちにもイヌの頭をした盤上戦騎が姿を現しているなんて。もしかして、コレって、シンジュちゃんたちの仕業か何かかな?」
それも気になるが、どうしてか、レーダーやその他のセンサー類を遮断している状態で敵に見つかってしまうのかが謎でならない。
「ランちゃんの気休め程度のステルスシートならともかく、オトギちゃんやタツローくんの騎体はしっかりと光学迷彩で姿を隠していたのよね?」
魔導書を通してココミに訊ねる。
「うっかり電柱でも倒してしまったのではないでしょうか?」
ココミの意見など一蹴。「真面目に考えて!」
とにかく、敵の索敵能力を把握する必要に迫られた。
すっかりと声は裏返っていた。
「急に変な声を出すんじゃねぇよ、坊主」
なだめるように声を掛けてくれるグラム。だけど。
「我がマスターを気安く”坊主”と呼ばないで欲しいわね!貴様の頭こそ坊主頭そのものでしょうに」
すかさずコールブランドが割り込んでくる。それに対して「おう!それがどうした!」
この二人にとって、どんなに些細な事でも、すぐに喧嘩のタネとなってしまう。今は、そんな事をしている場合ではないというのに…。
「オトギさん、グラム。あなた達は敵がふざけて頭部を変えていたと思っていたのですか?」
「え、えぇ」「うーん」困惑する二人。
だけど、その前に。
「えと、オトギさん?さっきから音声通信なんだけど、どこか具合でも悪いのですか?」
グラムの、このバイクに跨るようなコクピット仕様に加えて、通信用カメラはコンソール画面に付いている。
なので。
否応無く、大変不本意ではあるけれど煽情的と言っても、何の支障も無い格好を晒す事になってしまう。
しかも、ボディーラインがモロに出てしまっている、ピッチリフィットのパイロットスーツ姿。
「具合の悪い所なんて無いわ。ただ、画像を映すとディスプレイを割いてしまって周囲に死角が出来てしまうから音声通信にしているの」
それらしい理由を並べている最中でも、グラムを急転回させると、強調されてしまっている胸がブルンと揺れてしまう。
内心、どうにかならないかと頭を悩ませる。
騎体を180度転回させて、追ってくるドーベルマン頭へと向いた。
敵を照準に捉えてキャロネードを連射する。
射程距離も短く貫通力も低いが、キャロネード弾は粘着榴弾なので、当たりさえすれば破壊力はバツグンだ。
砲撃をシールドで防御されても、盾ごと敵の腕を吹き飛ばす。
立て続けに放たれるキャロネードを躱した先には、グラムの鎌状腕が迫っていた。
「いっけぇぇーッ!」
ためらう事無く、ズブリと敵の肩関節へ両手のカマを突き立てる。さらに。
オトギはシートから腰を浮かせて、ペダルへと踏ん張りを利かせる。左ハンドルのアクセルも全開!
グラムの鎌は、とうとう敵の肩関節を断ち斬った。戦闘不能に陥った敵が尻尾を巻いて退散してゆく。
「やったわ!」
初撃退を大いに喜ぶオトギ。だけど。
「やっぱ、その姿は坊主には見せられねぇな…」
グラムの指摘を受けて、お尻を突き出すような体勢にある事に気付いたオトギは、慌ててシートへと跨った。顔を赤らめながら、天井を睨み付けると。
「年頃の女の子が、そんな格好をするもんじゃ―」「グラム!」
それ以上は言わせはしない。
「俺に怒るなよ。大体、そのパイロットスーツだってお前さんの趣味でそうなっちまったもんだし、コクピット仕様だって、お前さんの潜在意識からデータを拾い上げて構築したものなんだぜ」
「潜在意識って!そんな人の心の中を勝手に覗くようなマネをして、言い訳なんて聞きたくも無い!」
アンケートに答えて構築したものではないのだから、断じて納得などしてたまるか。
しかし、この痴話喧嘩とも言える会話は、ものの見事に、回線で白側全員が耳にする事となった。
「年頃の女の子がしちゃダメな格好って…」
タツローにとって、それは想像もつかない。
「ハン!あのビッチの事だから、尻でも振って破廉恥な格好でもさらしているのでしょう」
吐き捨てるコールブランドは追い討ちを止めない。
「大体、あの男に媚びるようなパイロットスーツを選ぶ事からして、あの女は“ビッチ”に他ならないのです!」
オトギを貶めて、畳みかける。
クレハは話を聞いて、オトギが頑なに音声通信を行っていた理由を察した。
「ま、まぁ確かにアレは恥ずかしいわ」
まるで他人事。自らは魔法少女の体でアンデスィデに参戦している分際だというのに。
「に、しても、ランちゃん。どういう事なんだろう?あっちにもこっちにもイヌの頭をした盤上戦騎が姿を現しているなんて。もしかして、コレって、シンジュちゃんたちの仕業か何かかな?」
それも気になるが、どうしてか、レーダーやその他のセンサー類を遮断している状態で敵に見つかってしまうのかが謎でならない。
「ランちゃんの気休め程度のステルスシートならともかく、オトギちゃんやタツローくんの騎体はしっかりと光学迷彩で姿を隠していたのよね?」
魔導書を通してココミに訊ねる。
「うっかり電柱でも倒してしまったのではないでしょうか?」
ココミの意見など一蹴。「真面目に考えて!」
とにかく、敵の索敵能力を把握する必要に迫られた。
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