220 / 351
[21]はじめてのアンデスィデ
-211-:稜線射撃の超近代的発展型です
しおりを挟む
高砂・飛遊午が補習授業を受けるに当たって。
フラウ・ベルゲンは、いくら日本語が堪能だからといっても、やはり異国の授業に戸惑いが生じたのか?補習を受けてしまうハメに。
しょうがないなとヒューゴは隣で頭を抱えている女子へと向いた。
やはり、御手洗・寅美が補習授業に参加していた。
(コイツはいつも赤点予備軍だもんなぁ…)
体育は問題無いと思いきや、それは実技だけ。筆記試験になると他の教科と同じくピンチに陥っている。
ヒューゴはつくづく思う。
(また、俺がヘルプで勉強を教えるのか…)
窓から眺める白い雲を、遠い目をして見つめた。
補習授業が進む中、ヒューゴは頬杖をついて空を流れる雲を眺める。
ゆっくりと流れる雲…。
(のどかだなぁ…)
思わずアクビが出てしまう。
「そこッ!高砂くん。分かっている事ばかりでつまらないでしょうけれど、約束通りキチンと授業を受けてもらいますからねッ!」
担任の葛城・志穂は意外と根に持つタイプの女性だった。
学園理事長室に一本の電話が入った。
またもや他の理事たちは外出中、御陵・導しかいない状況での電話。
導は悪い予感を抱きつつ電話に出た。
電話の相手は国家機関。しかし、文部科学省からではなく、警察庁からでもなく、学園と何の関連があるのか?国防庁からであった。
電話の内容は。
現在、市松市市街地に避難命令が下され市民全員の避難が完了したとの事。また、周辺地域にも状況によっては避難勧告を布くため、前段階の外出禁止令を布いたとの報せだった。
つまりは、学園の生徒たちを敷地内から一歩も外へと出すなとの指示がなされたのだ。
なお、パニックを起こさせないために十分配慮せよとの“お達し”と言う名の圧力も掛けられた。
「復旧工事が終わったとたんにコレかよ…」
妙な不安を感じる中、確かに起こっている“何か”に、シルベはただ苛立ちを募らせるばかりであった。
市松市市街地では。
クレハ、オトギ、タツローの3人は息を潜めて敵騎の侵入を警戒していた。
上半身しかないコールブランド、それに地面を這いつくばっているバッタ型盤上戦騎のグラムの両騎は、飛び立つ事さえしなければ、頭頂高が低いのでレーダーなどのセンサー類に引っ掛かる事はまず無い。
個々のいる場所を把握、コールブランドもグラムも現在コンビニの駐車場に待機しているとの事。
意外と収まるものだとクレハは感心した。
ココミに通信を入れる。
「ココミちゃん。敵の動きはどう?」
訊ねた。
「1騎は南方10キロの地点、そしてもう1騎は北東15キロの地点からそれぞれ接近中。あとの1騎は…」
その後、すぐにココミの「あっ」と驚きの声。
「ダナと交戦状態に入りました。市街地東部で交戦中!」
意外と早い。どうやら敵のマスターも市街地内で盤上戦騎を召喚した模様。
「リョーマさん!」
ココミが通信を入れる。
「こちら草間・涼馬。敵と遭遇、交戦状態に入った。敵はアルルカン!前回、高砂・飛遊午と戦った相手だ」
少し早口で報告してきている。
いきなり包帯によるオールレンジ攻撃を受けているのか。
その予感は見事に的中。
ビルの谷間をホバリング走行で疾走しながら、次々と繰り出される包帯(アクティブバンテージ)による攻撃を躱していた。
躱せば躱すほどに、あちこちのビルに損害が広がってゆく。
それに加えて、あまりの低空での高速移動に、バイクや自転車が空高く巻き上げられてしまい、周囲の家屋へと落下、これまた損害をまき散らす。
ダナの脚が信号機を引っ掛けて折ってしまった時点で、リョーマは上昇を決意。ダナを戦闘機形態へと変形させて一気に急上昇。
なおも追跡してくるアルルカンをバックミラーに捉えつつ。
「これで僕の居場所は完全に把握されてしまったな」
腹をくくって迎え撃つしかない。
「草間さんが市街地を出ました」
オトギからの報告。
「どうします?クレハ先輩」
訊ねてくるも。
「今はまだ動かない方が良いと思う。彼も、私たちが出てきたら戦いにくいもの」
どう考えても、オトギたちがアルルカンの攻撃に対応できるとは思えない。
それに。
本人が一人で出来ると言っているのだから、彼一人に任せておけば良い。
それよりも。
敵はとっくに市街地に侵入してきているハズなのに、一向に姿を見せない。
歩いて哨戒しているなら、何らかの振動を感じているはずだし、もしかしたら!ホバリング移動をしているのか?
クレハは天井へと向くなり。
「ガンランチャー!アナタ、3次元狙撃の機能があったよね?周囲のカメラをハッキングして、頭を出さずに銃口だけ向けて狙撃するヤツ」
「はい~。稜線射撃の超近代的発展型です。スんゴイですよ~」
「今から、それで敵盤上戦騎の位置を割り出すわ。やってちょうだい」
クレハの命令に、ガンランチャーは嬉々として「ラジャー」ハッキングを開始した。
「自騎を中心に半径5キロ範囲の監視カメラをジャック、これより索敵モードに移行します」
ノリとは解ってはいるけれど、何のアニメかゲームを参考にしてかマシンボイス口調で報告してくる。さすがのクレハも、このノリに付いて行けない。
「南方3キロメートルの地点に、ビルの影に隠れている盤上戦騎馬のつま先を確認!」
敵も姿勢を低くして警戒している模様。
見つけた!
フラウ・ベルゲンは、いくら日本語が堪能だからといっても、やはり異国の授業に戸惑いが生じたのか?補習を受けてしまうハメに。
しょうがないなとヒューゴは隣で頭を抱えている女子へと向いた。
やはり、御手洗・寅美が補習授業に参加していた。
(コイツはいつも赤点予備軍だもんなぁ…)
体育は問題無いと思いきや、それは実技だけ。筆記試験になると他の教科と同じくピンチに陥っている。
ヒューゴはつくづく思う。
(また、俺がヘルプで勉強を教えるのか…)
窓から眺める白い雲を、遠い目をして見つめた。
補習授業が進む中、ヒューゴは頬杖をついて空を流れる雲を眺める。
ゆっくりと流れる雲…。
(のどかだなぁ…)
思わずアクビが出てしまう。
「そこッ!高砂くん。分かっている事ばかりでつまらないでしょうけれど、約束通りキチンと授業を受けてもらいますからねッ!」
担任の葛城・志穂は意外と根に持つタイプの女性だった。
学園理事長室に一本の電話が入った。
またもや他の理事たちは外出中、御陵・導しかいない状況での電話。
導は悪い予感を抱きつつ電話に出た。
電話の相手は国家機関。しかし、文部科学省からではなく、警察庁からでもなく、学園と何の関連があるのか?国防庁からであった。
電話の内容は。
現在、市松市市街地に避難命令が下され市民全員の避難が完了したとの事。また、周辺地域にも状況によっては避難勧告を布くため、前段階の外出禁止令を布いたとの報せだった。
つまりは、学園の生徒たちを敷地内から一歩も外へと出すなとの指示がなされたのだ。
なお、パニックを起こさせないために十分配慮せよとの“お達し”と言う名の圧力も掛けられた。
「復旧工事が終わったとたんにコレかよ…」
妙な不安を感じる中、確かに起こっている“何か”に、シルベはただ苛立ちを募らせるばかりであった。
市松市市街地では。
クレハ、オトギ、タツローの3人は息を潜めて敵騎の侵入を警戒していた。
上半身しかないコールブランド、それに地面を這いつくばっているバッタ型盤上戦騎のグラムの両騎は、飛び立つ事さえしなければ、頭頂高が低いのでレーダーなどのセンサー類に引っ掛かる事はまず無い。
個々のいる場所を把握、コールブランドもグラムも現在コンビニの駐車場に待機しているとの事。
意外と収まるものだとクレハは感心した。
ココミに通信を入れる。
「ココミちゃん。敵の動きはどう?」
訊ねた。
「1騎は南方10キロの地点、そしてもう1騎は北東15キロの地点からそれぞれ接近中。あとの1騎は…」
その後、すぐにココミの「あっ」と驚きの声。
「ダナと交戦状態に入りました。市街地東部で交戦中!」
意外と早い。どうやら敵のマスターも市街地内で盤上戦騎を召喚した模様。
「リョーマさん!」
ココミが通信を入れる。
「こちら草間・涼馬。敵と遭遇、交戦状態に入った。敵はアルルカン!前回、高砂・飛遊午と戦った相手だ」
少し早口で報告してきている。
いきなり包帯によるオールレンジ攻撃を受けているのか。
その予感は見事に的中。
ビルの谷間をホバリング走行で疾走しながら、次々と繰り出される包帯(アクティブバンテージ)による攻撃を躱していた。
躱せば躱すほどに、あちこちのビルに損害が広がってゆく。
それに加えて、あまりの低空での高速移動に、バイクや自転車が空高く巻き上げられてしまい、周囲の家屋へと落下、これまた損害をまき散らす。
ダナの脚が信号機を引っ掛けて折ってしまった時点で、リョーマは上昇を決意。ダナを戦闘機形態へと変形させて一気に急上昇。
なおも追跡してくるアルルカンをバックミラーに捉えつつ。
「これで僕の居場所は完全に把握されてしまったな」
腹をくくって迎え撃つしかない。
「草間さんが市街地を出ました」
オトギからの報告。
「どうします?クレハ先輩」
訊ねてくるも。
「今はまだ動かない方が良いと思う。彼も、私たちが出てきたら戦いにくいもの」
どう考えても、オトギたちがアルルカンの攻撃に対応できるとは思えない。
それに。
本人が一人で出来ると言っているのだから、彼一人に任せておけば良い。
それよりも。
敵はとっくに市街地に侵入してきているハズなのに、一向に姿を見せない。
歩いて哨戒しているなら、何らかの振動を感じているはずだし、もしかしたら!ホバリング移動をしているのか?
クレハは天井へと向くなり。
「ガンランチャー!アナタ、3次元狙撃の機能があったよね?周囲のカメラをハッキングして、頭を出さずに銃口だけ向けて狙撃するヤツ」
「はい~。稜線射撃の超近代的発展型です。スんゴイですよ~」
「今から、それで敵盤上戦騎の位置を割り出すわ。やってちょうだい」
クレハの命令に、ガンランチャーは嬉々として「ラジャー」ハッキングを開始した。
「自騎を中心に半径5キロ範囲の監視カメラをジャック、これより索敵モードに移行します」
ノリとは解ってはいるけれど、何のアニメかゲームを参考にしてかマシンボイス口調で報告してくる。さすがのクレハも、このノリに付いて行けない。
「南方3キロメートルの地点に、ビルの影に隠れている盤上戦騎馬のつま先を確認!」
敵も姿勢を低くして警戒している模様。
見つけた!
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
8分間のパピリオ
横田コネクタ
SF
人間の血管内に寄生する謎の有機構造体”ソレウス構造体”により、人類はその尊厳を脅かされていた。
蒲生里大学「ソレウス・キラー操縦研究会」のメンバーは、20マイクロメートルのマイクロマシーンを操りソレウス構造体を倒すことに青春を捧げるーー。
というSFです。
グラッジブレイカー! ~ポンコツアンドロイド、時々かたゆでたまご~
尾野 灯
SF
人類がアインシュタインをペテンにかける方法を知ってから数世紀、地球から一番近い恒星への進出により、新しい時代が幕を開ける……はずだった。
だが、無謀な計画が生み出したのは、数千万の棄民と植民星系の独立戦争だった。
ケンタウリ星系の独立戦争が敗北に終ってから十三年、荒廃したコロニーケンタウルスⅢを根城に、それでもしぶとく生き残った人間たち。
そんな彼らの一人、かつてのエースパイロットケント・マツオカは、ひょんなことから手に入れた、高性能だがポンコツな相棒AIノエルと共に、今日も借金返済のためにコツコツと働いていた。
そんな彼らのもとに、かつての上官から旧ケンタウリ星系軍の秘密兵器の奪還を依頼される。高額な報酬に釣られ、仕事を受けたケントだったが……。
懐かしくて一周回って新しいかもしれない、スペースオペラ第一弾!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
あの夕方を、もう一度
秋澤えで
ファンタジー
海洋に浮かび隔絶された島国、メタンプシコーズ王国。かつて豊かで恵まれた国であった。しかし天災に見舞われ太平は乱れ始める。この国では二度、革命戦争が起こった。
二度目の革命戦争、革命軍総長メンテ・エスペランサの公開処刑が行われることに。革命軍は王都へなだれ込み、総長の奪還に向かう。しかし奮闘するも敵わず、革命軍副長アルマ・ベルネットの前でメンテは首を落とされてしまう。そしてアルマもまた、王国軍大将によって斬首される。
だがアルマが気が付くと何故か自身の故郷にいた。わけもわからず茫然とするが、海面に映る自分の姿を見て自身が革命戦争の18年前にいることに気が付く。
友人であり、恩人であったメンテを助け出すために、アルマは王国軍軍人として二度目の人生を歩み始める。
全てはあの日の、あの一瞬のために
元革命軍アルマ・ベルネットのやり直しファンタジー戦記
小説家になろうにて「あの夕方を、もう一度」として投稿した物を一人称に書き換えたものです。
9月末まで毎日投稿になります。
魔法の数はステータス!? 転移した先は女性ばかりが魔法を使う世界!
三原みぱぱ
ファンタジー
ある日、剣と魔法のファンタジー世界に放り込まれた竜ヶ峰清人(リュウガミネ キヨト)。
美少女レイティアが嫁として現れる。
しかし、そんな甘い事ばかりではない。
強力な魔法が使えるのは女性のみ!
使える魔法の数がステータス(社会的地位)となる女性が強い世界。
男は守られるべき存在のこの世界で、魔法も剣も使えない主人公。
モンスターと戦えば足手まといと怒られ、街中で暴漢を止めようとするとぼこぼこにされる。
そんな俺Yoeee主人公は、金髪美少女のレイティアに恋人として認められるのか?
師匠である剣豪ムサシマル助けられながら、恋のライバル、アレックスやソフィアを交えて進む、ラブコメファンタジー!
感想、心よりお待ちしております。
完結しました!
ノベルアッププラスで「ゼロの転移者」としてリニューアル連載していますよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる