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[15]アルマンダルの天使たち
-158-:クロックアップ!
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上下逆さまの体勢を取る2騎の盤上戦騎…。
しかし、その中でも、映像を見る限り、オフィエルの方はずっと上下逆さの状態を維持している。苦しくないのだろうか?心配してしまうほどに。
対するダナは、3段可変を駆使して一撃離脱戦を行っている。…ものの、素人目にも、どうも出来損ないレベルの、稚拙な戦いを続けているように思える。
縦軸・横軸回転が過ぎると感じるくらいに、ダナはクルクルと上下の体勢を頻繁に入れ替えている。
「リョーマのヤツ…アイツ、相手をおちょくって楽しんでいるの?」
どうせ、盤上戦騎のマスターになってはしゃいでいるのに決まっている。
傍目には、彼らの戦いはおどけているように映っていた…。
「どうした?ドラゴンの騎士。逃げてばかりでは私には勝てぬぞ」
距離を離したところ、オフィエルは一向に炎熱弾を発射してこない。
しかも水平より上方に向けても発射してこない。
どうやら破壊力はあるものの、射程そのものは短いらしい。だから、上へ向けて射撃を行う事を控えているのだ。
リョーマはただ単に逃げ回っていた訳ではなかった。
「そろそろかな」「仕掛けますか?」
リョーマたちは、狙い時だと判断するも。
「いや、放っておいても向こうから仕掛けてきてくれるさ」
もう少し様子をうかがう事にした。
チャンスは黙っていても、向こうからやって来るものだ。
一向に打ち合おうとしないリョーマに痺れを切らしたオフィエルが、カルバリンの発射口を地上に向けた。
「そろそろ鬼ごっこは止めにしようではないか。これ以上、逃げ回るというのであれば、この学園や街を火の海にしてやっても良いのだぞ」
脅しをかけてきた。
予測はしていた。
先ほどからのオフィエルの戦いぶり。
武器からして、彼は完膚なきまでに相手を叩き潰したいと願う戦闘狂だ。
彼の持つ“大鉈”は、明らかに相手の武器を破壊するための武器。大きさ重さに加えて、刃こぼれを起こしやすくするノコギリ状のギザギザの刃。まともに打ち合えば、確実に野太刀のような細い獲物は一度と持たずして破壊されてしまう。
圧倒的なパワー・防御力に加えて、武器破壊を目的とした得物。それらから判断して、彼は戦闘狂と見て間違いない。
「さぁ、私と打ち合え。ドラゴンの騎士!」
要求を突き付ける。だが。
ダナは上昇。上下逆さへとなった。
「逆さだと!?おのれぇ!ふざけているのか!?ドラゴンの騎士!」
からかわれているものと思い込み、オフィエルは腹いせにと地上に向けてカルバリンを発射した。
天馬学園校舎に炎熱弾が飛来する。………着弾…………ところが、爆発せず。
「何ッ!?」
盤上戦騎の火器に不発弾は有り得ない。はずなのに。
オフィエルは再度、天馬学園校舎に向けてカルバリンを発射。今度は連射して辺りを炎で焼き尽くすつもりだ!……ったのだが。
炎熱弾は、まるで地上に吸い込まれるようにして消えて行く。
「な、何がどうなっている!一体何が起こっているのだ!?」
慌てふためくオフィエル。
周囲を見回し。
辺りが異様に回っている事に気付いた。
さらに。
アレックス(オフィエル)は顔はおろか、頭全体が圧迫されているような感覚に襲われた。
両手で顔全体を触れるも、事態が把握できない。
まるで頭が膨張しているような感覚。
「何だ?顔全体が!頭が!あぁッ、く、苦しい!」
ついに堪えきれずに、大きく深呼吸を始めた。
正面ディスプレイに上下逆さのダナが近づいてくるのが映る。
「き、貴様ッ!こんな時に、お、俺をからかっているのかッ!?」
リョーマは何ひとつからかってなどいない。
それはそうだろうと、リョーマはオフィエルの体に起こっている現象を観察していた。
そして、ヒューゴたちの方へと顔を向ける。
「向こうもこの連中の弱点に気づいたようだな」
ベルタが足で掴んだ打刀で、魔竜となったエプシロンの首を貫いていた。
「その様ですね」
ダナが答える。
「では、こちらも」
リョーマは再びオフィエルへと視線を戻し。
オフィエルの頭頂部に光の輪が煌々と輝いた。
「クロックアップ!」
オフィエルがクロックアップ発動を宣言!
10倍速の世界が、ダナに襲い掛かる。
「クロックアップ!」
ダナもバイザーを下してクロックアップ。10倍速の世界に入門する。
激しい打ち合いが展開されるものと思いきや。
オフィエルのクロックアップが5秒も経たない内に解除されてしまった。
そして、肩で大きく息をしているのが分かる。
オフィエルは先程からずっと、上下逆さの状態でダナと戦い続けていた為に、脳に酸素が行き届かなくなっているのだった。
しかし、その中でも、映像を見る限り、オフィエルの方はずっと上下逆さの状態を維持している。苦しくないのだろうか?心配してしまうほどに。
対するダナは、3段可変を駆使して一撃離脱戦を行っている。…ものの、素人目にも、どうも出来損ないレベルの、稚拙な戦いを続けているように思える。
縦軸・横軸回転が過ぎると感じるくらいに、ダナはクルクルと上下の体勢を頻繁に入れ替えている。
「リョーマのヤツ…アイツ、相手をおちょくって楽しんでいるの?」
どうせ、盤上戦騎のマスターになってはしゃいでいるのに決まっている。
傍目には、彼らの戦いはおどけているように映っていた…。
「どうした?ドラゴンの騎士。逃げてばかりでは私には勝てぬぞ」
距離を離したところ、オフィエルは一向に炎熱弾を発射してこない。
しかも水平より上方に向けても発射してこない。
どうやら破壊力はあるものの、射程そのものは短いらしい。だから、上へ向けて射撃を行う事を控えているのだ。
リョーマはただ単に逃げ回っていた訳ではなかった。
「そろそろかな」「仕掛けますか?」
リョーマたちは、狙い時だと判断するも。
「いや、放っておいても向こうから仕掛けてきてくれるさ」
もう少し様子をうかがう事にした。
チャンスは黙っていても、向こうからやって来るものだ。
一向に打ち合おうとしないリョーマに痺れを切らしたオフィエルが、カルバリンの発射口を地上に向けた。
「そろそろ鬼ごっこは止めにしようではないか。これ以上、逃げ回るというのであれば、この学園や街を火の海にしてやっても良いのだぞ」
脅しをかけてきた。
予測はしていた。
先ほどからのオフィエルの戦いぶり。
武器からして、彼は完膚なきまでに相手を叩き潰したいと願う戦闘狂だ。
彼の持つ“大鉈”は、明らかに相手の武器を破壊するための武器。大きさ重さに加えて、刃こぼれを起こしやすくするノコギリ状のギザギザの刃。まともに打ち合えば、確実に野太刀のような細い獲物は一度と持たずして破壊されてしまう。
圧倒的なパワー・防御力に加えて、武器破壊を目的とした得物。それらから判断して、彼は戦闘狂と見て間違いない。
「さぁ、私と打ち合え。ドラゴンの騎士!」
要求を突き付ける。だが。
ダナは上昇。上下逆さへとなった。
「逆さだと!?おのれぇ!ふざけているのか!?ドラゴンの騎士!」
からかわれているものと思い込み、オフィエルは腹いせにと地上に向けてカルバリンを発射した。
天馬学園校舎に炎熱弾が飛来する。………着弾…………ところが、爆発せず。
「何ッ!?」
盤上戦騎の火器に不発弾は有り得ない。はずなのに。
オフィエルは再度、天馬学園校舎に向けてカルバリンを発射。今度は連射して辺りを炎で焼き尽くすつもりだ!……ったのだが。
炎熱弾は、まるで地上に吸い込まれるようにして消えて行く。
「な、何がどうなっている!一体何が起こっているのだ!?」
慌てふためくオフィエル。
周囲を見回し。
辺りが異様に回っている事に気付いた。
さらに。
アレックス(オフィエル)は顔はおろか、頭全体が圧迫されているような感覚に襲われた。
両手で顔全体を触れるも、事態が把握できない。
まるで頭が膨張しているような感覚。
「何だ?顔全体が!頭が!あぁッ、く、苦しい!」
ついに堪えきれずに、大きく深呼吸を始めた。
正面ディスプレイに上下逆さのダナが近づいてくるのが映る。
「き、貴様ッ!こんな時に、お、俺をからかっているのかッ!?」
リョーマは何ひとつからかってなどいない。
それはそうだろうと、リョーマはオフィエルの体に起こっている現象を観察していた。
そして、ヒューゴたちの方へと顔を向ける。
「向こうもこの連中の弱点に気づいたようだな」
ベルタが足で掴んだ打刀で、魔竜となったエプシロンの首を貫いていた。
「その様ですね」
ダナが答える。
「では、こちらも」
リョーマは再びオフィエルへと視線を戻し。
オフィエルの頭頂部に光の輪が煌々と輝いた。
「クロックアップ!」
オフィエルがクロックアップ発動を宣言!
10倍速の世界が、ダナに襲い掛かる。
「クロックアップ!」
ダナもバイザーを下してクロックアップ。10倍速の世界に入門する。
激しい打ち合いが展開されるものと思いきや。
オフィエルのクロックアップが5秒も経たない内に解除されてしまった。
そして、肩で大きく息をしているのが分かる。
オフィエルは先程からずっと、上下逆さの状態でダナと戦い続けていた為に、脳に酸素が行き届かなくなっているのだった。
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