130 / 351
[13]ミドルゲームスタート!!
-125-:君たちは何か勘違いをしているようだね
しおりを挟む草間・涼馬は、ココミ・コロネ・ドラコットからおおまかな説明を受けた。
「おおまかにこんなところです。何かご質問はありますか?」
粗方予想した内容だった上に、今は、いや、金輪際、彼女たちと関わる気などサラサラ無い。
「ふっ。質問など、理解の足りない者のする事さ」
「解らん事を解らんままにしとったら、後々困るのは-『呑み込みの早い方で助かります』
説教を始めるルーティを押しのけて、ココミはリョーマに、雲間から陽が差すような晴れやかな笑みを向けた。
「率直に言おう。お断りだ!」
「面倒くせぇー」
即答に、ルーティはそっぽを向いた。
「でもでもですよ。果たして、それで良いのですか?貴方様は、ご自身の住まわれる街を守ろうとする気概を持ち合わせていらっしゃらないのですか?」
ココミは、なおも食らいつく。
「僕は学生だよ。学生に街を守れって、可笑しな事を言わないでくれ。それは国防に携わる人たちの仕事じゃないか」
割り切った考えをココミに示す。
「いいかい?そもそも君たちは、頼む相手を間違っている。余所の土地で戦争をしたいのなら、まずは国主か国家主席に同意を求めるのが筋というものじゃないかな?考えを改めて出直してくる事だね」
正論をぶつけてきた。
考えナシに突っ走ってきたココミには、まさに猛烈な向かい風。
思わず怯んでしまう。
「しかし、現状は、もう戦争状態に突入しています。ヒューゴさんの協力が無かったら、私たちは今頃…」
思わず涙が滲み出す。
「泣き脅しに屈すると思わない事だな。僕を見くびってもらっては困る!僕が思うに、高砂・飛遊午の場合、いつも一緒にいる寝癖の女の子が情に流されて君たちに協力を申し出たのを阻止するために、自ら協力を名乗り出たのだろう?」
(図星じゃないですか…)
まるで見ていたかのように推理して見せたリョーマに、二人はぐうの音も出ない。
「なぁココミ。もう、コイツでなくてもエエんちゃう?コイツ鬱陶しいし」
聞き捨てならない誹謗中傷に、いちいち反応しない。
「でも、これほどまでの逸材を、みすみす手放すワケには…」
大物を逃す手は無いと、ルーティとは異なり、ココミは諦め切れない。
「もう、いいかな。そろそろ失礼させて貰うよ」
コソコソ話で相談する二人に告げると、後輪の浮いたマウンテンバイクに跨った。
「お友達のヒューゴさんが必死に戦っているのに、貴方という方は彼に助力さえもして差し上げないのですか?」
つい感情的になり、ココミは声を張り上げてしまった。
「友達?」
マウンテンバイクからは降りる事はしなかったが、顔だけはココミへと向けた。
リョーマはフッと笑うと。
「君たちは何か勘違いをしているようだね」「勘違い?」
「僕と高砂・飛遊午は友達でも何でもない。僕にとって彼は“倒すべき相手”でしかない。それ以上でもそれ以下でもない」
ルーティはやれやれと肩をすくめて見せ。
「倒すべき相手ねぇ。まぁ、それやったら分かるわ。放っておいてもヒューゴはいずれ誰かに殺される。高みの見物を決め込んで漁夫の利を得ようって魂胆なんやね」
「違う!!」激昂するかの如く即否定された。
「僕のこの手で彼を倒さない限り、僕は彼から“勝利”を得た事にはならないんだ」
我が右手を見つめて、リョーマは高砂・飛遊午と初めて剣を交えた、あの時の事を思い出していた。
それは去年のインターハイ剣道予選滋賀大会の2回戦―。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
あの夕方を、もう一度
秋澤えで
ファンタジー
海洋に浮かび隔絶された島国、メタンプシコーズ王国。かつて豊かで恵まれた国であった。しかし天災に見舞われ太平は乱れ始める。この国では二度、革命戦争が起こった。
二度目の革命戦争、革命軍総長メンテ・エスペランサの公開処刑が行われることに。革命軍は王都へなだれ込み、総長の奪還に向かう。しかし奮闘するも敵わず、革命軍副長アルマ・ベルネットの前でメンテは首を落とされてしまう。そしてアルマもまた、王国軍大将によって斬首される。
だがアルマが気が付くと何故か自身の故郷にいた。わけもわからず茫然とするが、海面に映る自分の姿を見て自身が革命戦争の18年前にいることに気が付く。
友人であり、恩人であったメンテを助け出すために、アルマは王国軍軍人として二度目の人生を歩み始める。
全てはあの日の、あの一瞬のために
元革命軍アルマ・ベルネットのやり直しファンタジー戦記
小説家になろうにて「あの夕方を、もう一度」として投稿した物を一人称に書き換えたものです。
9月末まで毎日投稿になります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった


【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる