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[13]ミドルゲームスタート!!
-117-:惚れているとか、そんなんじゃないんだからねッ!
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玄関の引き戸を開けたヒューゴは、またしてもリョーマと顔を合わせる事となった。
「おはよう。高砂・飛遊午」
ふたりのやり取りは、もはや日課。
ナバリィの空間転移能力によって、彼女たちは近くの公園へと避難する事に成功した。
「どうした?二人とも。わざわざ能力を使ってまで引き揚げてくるとは」
公園には事前に合流を約束していたノブナガがいた。
「どうしたも、こうしたも無いわ。リョーマのヤツがまた現れたのよ」
怒り心頭のツウラは腕を組んでプイッと横を向いてしまった。すると、手に下げていた小さな紙袋がヒラリと舞った。
うーん…。
ノブナガは、その小さな紙袋に目をやると。
「ツウラよ。その袋、もしや高砂・飛遊午にプレゼントするつもりだったのではないのか?」
訊ねた。
すると、ツウラは慌てて紙袋を後ろ手に回した。
「い、いいじゃない。別に。偽りの姿とはいえ、一応彼とは友達なんだし、プレゼントの一つや二つ贈っても変じゃないでしょ?」
自らの胸に手を当てて説明をする。
「ほほぅ、あ奴とお友達になったのか?」
ノブナガの問いに、「そ、そうよ」だけど、目線は合わせない。
「油断させるために本当苦労しちゃう。やれやれだわ」
目線を逸らせたまま付け加える。
「しかし、ツウラよ。朝、登校しようと玄関を出た瞬間にプレゼントを渡される者の気持ちを考えたら、いささか重い気もせんでもないが」
ノブナガがぶつけた持論に、思わず「重い?」繰り返す。
「我も、このタイミングは無いと思うぞ。いくら何でも朝はマズい」
二人してツウラの行為(好意)がしっかり裏目に出ていると指摘した。
「そ、そう?」
少し本能に従順過ぎたかな…。紙袋を見つめる。
「あーあ。もう、これじゃあ、学校で渡すしかないみたいね」
残念そうに呟く。
「ならば、いっその事、貴様のマスターにプレゼントすれば良いではないか」
ナバリィの提案に対して即座に。
「ハンッ!そんな事をするくらいなら、霜月にくれてやるわ」
随分な言い草である。自らのマスターに対しても、霜月神父に対しても。
そんなツウラに、二人は肩をすくめて見せた。
「しかし、ツウラよ。何故、チョコを渡す相手が高砂・飛遊午なのだ?」
その問いに、ツウラの両肩がギクリと波打った。
「ア、アイツ、結構イイ奴なのよ。学校でもモテるって訳じゃないけど、その、皆に信頼されてるって言うか・・悪いヤツじゃないし」
モジモジしながら語るツウラに二人はにやけ顔。
「ほ、惚れているとか、そんなんじゃないんだからねッ!普通に接してくれるから、ちょっと友達らしく振舞おうかなぁって、そう思っただけなんだから」
言い訳がましく伝えるツウラに、二人はウンウンと頷いて。
「なるほど。好感度で言うならば、お前のマスターよりも高砂・飛遊午の方が上という訳なのだな」
「そ、そうよ。好感度で言うならね」
そんな、やり取りをナバリィはクスクスと笑いながら。
「好感度ねぇ。素直に恋してると言えば、少しは可愛げがあるというもの」
「そんなんじゃないって言ってるでしょ!!」
もはや顔はおろか、耳まで真っ赤に染め上げて。
「あくまでも否定するか。ならば良い!ヤツと我らは再び敵同士となった身。本来の目的と学園生活とを割り切る心構えはできているという事だな」
突然の、ノブナガのセリフに、ツウラはハッと顔を上げた。
手にする紙袋を強く握りしめる。
ツウラは…。
新たな絆を築こうなど、決して許されないのだと、改めて思い知った。
「おはよう。高砂・飛遊午」
ふたりのやり取りは、もはや日課。
ナバリィの空間転移能力によって、彼女たちは近くの公園へと避難する事に成功した。
「どうした?二人とも。わざわざ能力を使ってまで引き揚げてくるとは」
公園には事前に合流を約束していたノブナガがいた。
「どうしたも、こうしたも無いわ。リョーマのヤツがまた現れたのよ」
怒り心頭のツウラは腕を組んでプイッと横を向いてしまった。すると、手に下げていた小さな紙袋がヒラリと舞った。
うーん…。
ノブナガは、その小さな紙袋に目をやると。
「ツウラよ。その袋、もしや高砂・飛遊午にプレゼントするつもりだったのではないのか?」
訊ねた。
すると、ツウラは慌てて紙袋を後ろ手に回した。
「い、いいじゃない。別に。偽りの姿とはいえ、一応彼とは友達なんだし、プレゼントの一つや二つ贈っても変じゃないでしょ?」
自らの胸に手を当てて説明をする。
「ほほぅ、あ奴とお友達になったのか?」
ノブナガの問いに、「そ、そうよ」だけど、目線は合わせない。
「油断させるために本当苦労しちゃう。やれやれだわ」
目線を逸らせたまま付け加える。
「しかし、ツウラよ。朝、登校しようと玄関を出た瞬間にプレゼントを渡される者の気持ちを考えたら、いささか重い気もせんでもないが」
ノブナガがぶつけた持論に、思わず「重い?」繰り返す。
「我も、このタイミングは無いと思うぞ。いくら何でも朝はマズい」
二人してツウラの行為(好意)がしっかり裏目に出ていると指摘した。
「そ、そう?」
少し本能に従順過ぎたかな…。紙袋を見つめる。
「あーあ。もう、これじゃあ、学校で渡すしかないみたいね」
残念そうに呟く。
「ならば、いっその事、貴様のマスターにプレゼントすれば良いではないか」
ナバリィの提案に対して即座に。
「ハンッ!そんな事をするくらいなら、霜月にくれてやるわ」
随分な言い草である。自らのマスターに対しても、霜月神父に対しても。
そんなツウラに、二人は肩をすくめて見せた。
「しかし、ツウラよ。何故、チョコを渡す相手が高砂・飛遊午なのだ?」
その問いに、ツウラの両肩がギクリと波打った。
「ア、アイツ、結構イイ奴なのよ。学校でもモテるって訳じゃないけど、その、皆に信頼されてるって言うか・・悪いヤツじゃないし」
モジモジしながら語るツウラに二人はにやけ顔。
「ほ、惚れているとか、そんなんじゃないんだからねッ!普通に接してくれるから、ちょっと友達らしく振舞おうかなぁって、そう思っただけなんだから」
言い訳がましく伝えるツウラに、二人はウンウンと頷いて。
「なるほど。好感度で言うならば、お前のマスターよりも高砂・飛遊午の方が上という訳なのだな」
「そ、そうよ。好感度で言うならね」
そんな、やり取りをナバリィはクスクスと笑いながら。
「好感度ねぇ。素直に恋してると言えば、少しは可愛げがあるというもの」
「そんなんじゃないって言ってるでしょ!!」
もはや顔はおろか、耳まで真っ赤に染め上げて。
「あくまでも否定するか。ならば良い!ヤツと我らは再び敵同士となった身。本来の目的と学園生活とを割り切る心構えはできているという事だな」
突然の、ノブナガのセリフに、ツウラはハッと顔を上げた。
手にする紙袋を強く握りしめる。
ツウラは…。
新たな絆を築こうなど、決して許されないのだと、改めて思い知った。
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