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[8]学園に潜む“魔”
-66-:彼女、猪苗代・恐子と現在残っているドラゴンとを契約が結べないか頼めないかな?
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「も、もしかして、アナタ様は幽霊サンなのですか?」
目の前に居ながらファインダーに映らぬベルタに訊ねた。
「お察しの通りです」微笑みを添えて。
なかなかなイタズラ心を見せるベルタを眺めながらキョウコが呟いた。
「不思議なものね。貴方たちに信じて欲しいと願ってジェレミーアの事を話したのに、貴方たちの方からベルタさんという証拠を提示してくれるなんて」
「まあ、話せば長いんだけどね。ココミ・コロネ・ドラコットって女の子が彼らの主で、こちらの世界にやって来て王位継承戦を始めちゃった訳なのよ」
あまりにもざっくりとしたクレハの説明に、キョウコはただ首を傾げるだけ。
さすがにそれではマズいと判断したヒューゴは知り得る限りの事の経緯をキョウコに説明した。
「おおよその事は解ったわ。だけど高砂くん、アナタの行いは軽率過ぎないかしら?仕方の無い状況だったとはいえ、どんな被害をもたらすかも分からないロボット兵器で戦うなんて褒められた事じゃないわ」
「おっしゃる通りです」
ふたりして小さくなるも、いつものキョウコに戻ってくれて内心ほっとしている。
だが、ここからが本題だ。
「ベルタ。すまないがココミに連絡して彼女、猪苗代・恐子と現在残っているドラゴンとを契約が結べないか頼めないかな?もちろん彼女にアンデスィデに参戦させようなんて考えてはいない。その時は俺が彼女の代わりに戦うつもりだ」
唐突な申し出にベルタはもちろん、クレハとキョウコも驚いた。
「高砂くん。今さっき私の言った事を聞いていなかったの?私は兵器で戦うなんて看過できないと言ったのよ。それに、誰かに守って欲しいとは願ったけど、誰かの犠牲の上に成り立つ安心なんて求めていないわ」
「私も反対です」
当のベルタもヒューゴの申し出に否定的だ。
「先ほど彼女は私からフラウを、身を挺して庇って見せました。彼女のような母性的な優しさを持つ女性が我々と契約を結ぶべきではないと思います。それにヒューゴ。貴方はすでに―」
「いや、だからさ。アンデスィデは俺が引き受けると」「だから、そんな犠牲は払わないでと―」
もはや三つ巴で話がこじれてきた。
そんな中。
「別に良いじゃん。そこにおわすキョウコ様は、暴漢だか痴漢だかの3人の男を、お得意の格闘技でブチのめして病院送りにしている御方だから問題無いんじゃない?霊力も申し分無いんでしょ?」
他人事だと言わんばかりにクレハはさらりと言ってのけた。
「格闘技を。それは頼もしい」
するとベルタの態度が急変。さっそくスマホを取り出してココミに連絡を入れた。
しばらく話し込んで、何度か頷いて、最後はお辞儀をして話を終えた。
その姿は、まるで街中で見掛ける上司に連絡を入れているサラリーマンのようだった。
「結果は残念ながら“間に合っています”との事でした。残る騎体は直線機動特化のクィックフォワード、中長距離戦特化のガンランチャー、防御装甲強度特化のアーマーテイカーと、あと残るナイトやビショップの駒も彼女のような近接戦を得意とした騎体では無いため、今回は見合わせたいとの事でした」
要はキョウコに合う騎体が無いという訳だ。それにしても、彼女が先程言った“母性的な優しさ”とは何だったのだろう?…キョウコを巻き込んでも平気なのか?
「私の他の近接戦特化仕様騎はすでに失われていますので、その・・力になれず申し訳ありません」
深々と頭を下げるベルタに、キョウコはとんでもない事にございますと慌てて顔を上げるよう促した。
「お詫びと言ってはなんですが、ココミを通じて相手方のライク殿に貴女様が我々と関わりを持つつもりは毛頭ないと伝えてもらいましょう。ただ、ライク殿が承諾下さるかどうかは保証致しかねますが」
嬉しいような残念なような微妙な申し出。だけど期待して損は無い。キョウコはベルタによろしくお願いしますと深々と頭を下げた。
「高砂くんも何とかそのグリモワール・チェスから手を退くことは出来ないの?誰も覚えている事が出来ない戦争だとしても、さすがにアナタが急にいなくなったらご家族の方や皆が心配しますわよ」
「心配には及びませんよ。ヒューゴはすでにココミに脱退を申し出ています。二度と彼が盤上戦騎に搭乗することはありませんよ」
答えようとするヒューゴよりも先にベルタが説明をくれた。
「えっ?抜けちゃったの?」
今朝から顔を合わせているにも関わらずに、クレハにとってそれは初耳だった。
目の前に居ながらファインダーに映らぬベルタに訊ねた。
「お察しの通りです」微笑みを添えて。
なかなかなイタズラ心を見せるベルタを眺めながらキョウコが呟いた。
「不思議なものね。貴方たちに信じて欲しいと願ってジェレミーアの事を話したのに、貴方たちの方からベルタさんという証拠を提示してくれるなんて」
「まあ、話せば長いんだけどね。ココミ・コロネ・ドラコットって女の子が彼らの主で、こちらの世界にやって来て王位継承戦を始めちゃった訳なのよ」
あまりにもざっくりとしたクレハの説明に、キョウコはただ首を傾げるだけ。
さすがにそれではマズいと判断したヒューゴは知り得る限りの事の経緯をキョウコに説明した。
「おおよその事は解ったわ。だけど高砂くん、アナタの行いは軽率過ぎないかしら?仕方の無い状況だったとはいえ、どんな被害をもたらすかも分からないロボット兵器で戦うなんて褒められた事じゃないわ」
「おっしゃる通りです」
ふたりして小さくなるも、いつものキョウコに戻ってくれて内心ほっとしている。
だが、ここからが本題だ。
「ベルタ。すまないがココミに連絡して彼女、猪苗代・恐子と現在残っているドラゴンとを契約が結べないか頼めないかな?もちろん彼女にアンデスィデに参戦させようなんて考えてはいない。その時は俺が彼女の代わりに戦うつもりだ」
唐突な申し出にベルタはもちろん、クレハとキョウコも驚いた。
「高砂くん。今さっき私の言った事を聞いていなかったの?私は兵器で戦うなんて看過できないと言ったのよ。それに、誰かに守って欲しいとは願ったけど、誰かの犠牲の上に成り立つ安心なんて求めていないわ」
「私も反対です」
当のベルタもヒューゴの申し出に否定的だ。
「先ほど彼女は私からフラウを、身を挺して庇って見せました。彼女のような母性的な優しさを持つ女性が我々と契約を結ぶべきではないと思います。それにヒューゴ。貴方はすでに―」
「いや、だからさ。アンデスィデは俺が引き受けると」「だから、そんな犠牲は払わないでと―」
もはや三つ巴で話がこじれてきた。
そんな中。
「別に良いじゃん。そこにおわすキョウコ様は、暴漢だか痴漢だかの3人の男を、お得意の格闘技でブチのめして病院送りにしている御方だから問題無いんじゃない?霊力も申し分無いんでしょ?」
他人事だと言わんばかりにクレハはさらりと言ってのけた。
「格闘技を。それは頼もしい」
するとベルタの態度が急変。さっそくスマホを取り出してココミに連絡を入れた。
しばらく話し込んで、何度か頷いて、最後はお辞儀をして話を終えた。
その姿は、まるで街中で見掛ける上司に連絡を入れているサラリーマンのようだった。
「結果は残念ながら“間に合っています”との事でした。残る騎体は直線機動特化のクィックフォワード、中長距離戦特化のガンランチャー、防御装甲強度特化のアーマーテイカーと、あと残るナイトやビショップの駒も彼女のような近接戦を得意とした騎体では無いため、今回は見合わせたいとの事でした」
要はキョウコに合う騎体が無いという訳だ。それにしても、彼女が先程言った“母性的な優しさ”とは何だったのだろう?…キョウコを巻き込んでも平気なのか?
「私の他の近接戦特化仕様騎はすでに失われていますので、その・・力になれず申し訳ありません」
深々と頭を下げるベルタに、キョウコはとんでもない事にございますと慌てて顔を上げるよう促した。
「お詫びと言ってはなんですが、ココミを通じて相手方のライク殿に貴女様が我々と関わりを持つつもりは毛頭ないと伝えてもらいましょう。ただ、ライク殿が承諾下さるかどうかは保証致しかねますが」
嬉しいような残念なような微妙な申し出。だけど期待して損は無い。キョウコはベルタによろしくお願いしますと深々と頭を下げた。
「高砂くんも何とかそのグリモワール・チェスから手を退くことは出来ないの?誰も覚えている事が出来ない戦争だとしても、さすがにアナタが急にいなくなったらご家族の方や皆が心配しますわよ」
「心配には及びませんよ。ヒューゴはすでにココミに脱退を申し出ています。二度と彼が盤上戦騎に搭乗することはありませんよ」
答えようとするヒューゴよりも先にベルタが説明をくれた。
「えっ?抜けちゃったの?」
今朝から顔を合わせているにも関わらずに、クレハにとってそれは初耳だった。
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