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[7]猪苗代・恐子の災難
-60-:いやいや、貴女を笑うなど、とんでもない
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二人はキョウコの元へと寄った。
「貴方たちをここへ呼び出したのは、他の人たちに聞かれたくない話だから。その・・私がこれから話すことは絶対に他の人には話さないで欲しいの。約束して」
「その前に、男の俺が聞いても大丈夫な話なのか?」
ヒューゴが訊ねながら彼女の隣へ座ろうとすると、「ひッ」小さな悲鳴を上げて身を退いた。
「ったく、もう。怖がっているじゃない!タカサゴは彼女の前に立って影を作ってあげて」
シッシッと犬を追い払うかの如く手でヒューゴを払うと、キョウコの隣に腰掛けた。
強い日差しから守られると、「ごめんさない。ちょっとビックリしただけだから」キョウコは謝りつつ落ち着きを取り戻した。
今の彼女の反応から観て、何らかの事件に巻き込まれているのは明らか。
クレハは、そんな彼女の不安を振り払ってやろうと手を握ってやる。・・と。
「大丈夫よ。高砂君も気にしないで」告げて深呼吸した。
何があったのか知らないけど、覚悟はできているらしい。二人は他言しないと約束を交わした。
「有難う、二人とも。では話します。昨日の下校時の事よ。バス停へと向かう途中に黒いマントに身を包んだ、歌劇などで使われる半面マスクをした男性に出会ったの」
いきなりの変わり者の登場に、二人は身を乗り出してキョウコの話に耳を傾けた。
「あの、二人とも。勘違いしないでね。確かにあの男は頭が腰辺りまで落ちる手品を披露したけど、貴方たちに聞いて欲しいのは、そんな面白話じゃないの」
始まって早々に注意を受けてしまった。二人は話の腰を折ってしまった事を詫びた。
気を取り直して、キョウコは昨日の出来事を話し始めた―。
バス停を目前にして、いきなりの手品を見せられ、キョウコは声を発することが出来ずにいた。
それ以前に、なぜこの男性が自分の名前を知っているのか?疑問もあるが。
彼の目的は何なのか?など、どうでもいい。とにかく早くこの場から立ち去りたい。でも、周囲には人ひとり見当らない。助けを求めることは叶わない。
男の足が前へと一歩踏み出された。
「私に・・何かご用・・ですか??」
とにかく誰かが来るまで時間を稼がないと。彼の目的など興味は無いけど訊ねた。
「猪苗代・恐子さん。あなた、とても噂になっていますよ」
クスッと鼻で笑ってから男が告げた。学校での出来事を知っているようだ。
「何でも盤上戦騎を。おっと、これは失礼。空を飛ぶロボットを目撃されたとか。随分とお友達にからかわれた事でしょう?とても傷付いた事でしょう?」
頭を本来の場所へと戻しながらの質問責め。人をからかっているのか?
元から目元が笑ったような造りになっている半面マスクも然る事ながら、何よりも、その下の真の眼も笑っているのは明らか。腹立たしい気持ちを抑えて。
「その事なら、疲れが溜まっていたせいだとお医者様に診断されましたわ。私自身も今はそう思っています。私をお笑いになりたいのなら、どうぞご勝手に」
きっぱりと言い切った。
「いやいや、貴女を笑うなど、とんでもない。むしろ、他の者たちが見えないモノが見えている事は、つまり!貴女は“特別”だという証。さあ、誇りなさい」
その間にも男はキョウコへと近づくべく歩みを進めていた。その事に気付いたキョウコは2歩ばかり後退りする。
「そして後悔なさい。アレが見えてしまった事を」
2歩では足りない!キョウコは男から目を離すことなく、さらに後退りした。
「貴女には資格がある!だから、きっと“ココミ・コロネ・ドラコット”が噂を聞きつけて貴女の元へとやって来るはず。そうなる前に」
男の魔の手がキョウコへと迫る。
退くと進むでは、やはり速度で圧倒的に差が出てしまう。
男の手がキョウコを捕えようとした、その瞬間!
キョウコは突然男に背を向け。さらに回転!右手の裏拳を「はぁッ!」気合と共に男の右頬に炸裂させ、触れるな!!とばかりに右腕を振り切った。
「ッ!?」
だが、直後にキョウコの眼が大きく見開かれた。
何て事だろう。
男の頭部が殴られた瞬間、胴から離れて飛んで行ってしまったではないか。
飛んで行った男の頭が落下してゴロゴロと地面を転がった。
(何なの!?これも手品なの?)
「貴方たちをここへ呼び出したのは、他の人たちに聞かれたくない話だから。その・・私がこれから話すことは絶対に他の人には話さないで欲しいの。約束して」
「その前に、男の俺が聞いても大丈夫な話なのか?」
ヒューゴが訊ねながら彼女の隣へ座ろうとすると、「ひッ」小さな悲鳴を上げて身を退いた。
「ったく、もう。怖がっているじゃない!タカサゴは彼女の前に立って影を作ってあげて」
シッシッと犬を追い払うかの如く手でヒューゴを払うと、キョウコの隣に腰掛けた。
強い日差しから守られると、「ごめんさない。ちょっとビックリしただけだから」キョウコは謝りつつ落ち着きを取り戻した。
今の彼女の反応から観て、何らかの事件に巻き込まれているのは明らか。
クレハは、そんな彼女の不安を振り払ってやろうと手を握ってやる。・・と。
「大丈夫よ。高砂君も気にしないで」告げて深呼吸した。
何があったのか知らないけど、覚悟はできているらしい。二人は他言しないと約束を交わした。
「有難う、二人とも。では話します。昨日の下校時の事よ。バス停へと向かう途中に黒いマントに身を包んだ、歌劇などで使われる半面マスクをした男性に出会ったの」
いきなりの変わり者の登場に、二人は身を乗り出してキョウコの話に耳を傾けた。
「あの、二人とも。勘違いしないでね。確かにあの男は頭が腰辺りまで落ちる手品を披露したけど、貴方たちに聞いて欲しいのは、そんな面白話じゃないの」
始まって早々に注意を受けてしまった。二人は話の腰を折ってしまった事を詫びた。
気を取り直して、キョウコは昨日の出来事を話し始めた―。
バス停を目前にして、いきなりの手品を見せられ、キョウコは声を発することが出来ずにいた。
それ以前に、なぜこの男性が自分の名前を知っているのか?疑問もあるが。
彼の目的は何なのか?など、どうでもいい。とにかく早くこの場から立ち去りたい。でも、周囲には人ひとり見当らない。助けを求めることは叶わない。
男の足が前へと一歩踏み出された。
「私に・・何かご用・・ですか??」
とにかく誰かが来るまで時間を稼がないと。彼の目的など興味は無いけど訊ねた。
「猪苗代・恐子さん。あなた、とても噂になっていますよ」
クスッと鼻で笑ってから男が告げた。学校での出来事を知っているようだ。
「何でも盤上戦騎を。おっと、これは失礼。空を飛ぶロボットを目撃されたとか。随分とお友達にからかわれた事でしょう?とても傷付いた事でしょう?」
頭を本来の場所へと戻しながらの質問責め。人をからかっているのか?
元から目元が笑ったような造りになっている半面マスクも然る事ながら、何よりも、その下の真の眼も笑っているのは明らか。腹立たしい気持ちを抑えて。
「その事なら、疲れが溜まっていたせいだとお医者様に診断されましたわ。私自身も今はそう思っています。私をお笑いになりたいのなら、どうぞご勝手に」
きっぱりと言い切った。
「いやいや、貴女を笑うなど、とんでもない。むしろ、他の者たちが見えないモノが見えている事は、つまり!貴女は“特別”だという証。さあ、誇りなさい」
その間にも男はキョウコへと近づくべく歩みを進めていた。その事に気付いたキョウコは2歩ばかり後退りする。
「そして後悔なさい。アレが見えてしまった事を」
2歩では足りない!キョウコは男から目を離すことなく、さらに後退りした。
「貴女には資格がある!だから、きっと“ココミ・コロネ・ドラコット”が噂を聞きつけて貴女の元へとやって来るはず。そうなる前に」
男の魔の手がキョウコへと迫る。
退くと進むでは、やはり速度で圧倒的に差が出てしまう。
男の手がキョウコを捕えようとした、その瞬間!
キョウコは突然男に背を向け。さらに回転!右手の裏拳を「はぁッ!」気合と共に男の右頬に炸裂させ、触れるな!!とばかりに右腕を振り切った。
「ッ!?」
だが、直後にキョウコの眼が大きく見開かれた。
何て事だろう。
男の頭部が殴られた瞬間、胴から離れて飛んで行ってしまったではないか。
飛んで行った男の頭が落下してゴロゴロと地面を転がった。
(何なの!?これも手品なの?)
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