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[1]高砂・飛遊午
-3-:集中しろ!
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待て待て待て!
敵は未だ照準器にも入っていないし、そもそもロックオンマーカーも出現していないじゃないか。
「まだ撃つな。弾が勿体ない」
「えー」
何なんだ?この呆れたと言わんばかりの表情は?
「敵が撃ってきとるのに?撃ったらアカンて…。弾なんかケチっとったら命獲られるで」
カン!
会話の最中にも着弾アリ。しかし騎体はわずかに揺れたものの未だダメージ表示はゼロのまま。
「今の見たか?当たっても効かないんだよ」
論より証拠を示してやる。
ようやくルーティは納得してくれた。
「で、いつ撃ったらええんや」
呆れるあまり鼻息が漏れる。
「とにかくロックオンマーカーが出るまで待て。敵が有効射程距離に入ったら出るだろうよ」「ふぅーん」
本当に解っているのかよ。
彼女の言う通り“敵が撃ってきている”以上、案山子のように突っ立っていては良い的だ。移動させないと。
「ルーティ。相手の照準をずらす為にも動いておけ」
「照準てロックオンマーカーの事やろ?まだ入ってへんのにええんか?」
「つべこべ言うな。回避行動を取っておかないと撃ち抜かれるぞ」
ムスッとしてルーティはベルタを急発進させた。
映し出される風景では急発進だったものの、意外と体に掛かる衝撃は少ないものだった。
「あまり無茶な運転はするな。重力加速(G)で失神するぞ」
その忠告に。
「その心配は要りませんよ、ヒューゴさん。盤上戦騎は騎体に掛かるGを10分の1に抑えています」
ココミの説明によると、危険とされる10G機動を行ったとしても騎体に掛かるGはわずか1G程度。
通常、高G下で起こりうるブラックアウトやレッドアウト、G-LOCなどに陥る可能性はかなり低く抑えられているという訳だ。
「そ、そうなのか。スゲぇな」驚くばかり。
警告音が鳴った。敵にロックオンされた模様。
すっかり忘れていた。
敵騎体とは差異がある事を。
レーダーレンジも有効射程距離も揃って敵の方が長い。
敵の放った銃弾が数発ベルタに着弾。
ダメージカウントは1パーセント。
有効射程距離ギリギリてところか。
遅れること数秒、こちらもロックオンマーカーが出現した。
「来たで!反撃開始や」
両手で構えたショットガンが唸りを上げる。
ガガガガガガガガ!!!
「って、チョット待て!」
ベルタの応射に思わず口を挟んだ。
見た目はショットガン。
だけど今、連射したよな?このマシンガン!?
さっきフォアエンドを前に押して装弾したよな?
で、何で弾を連射してるのよ?
一体これはどういう構造なんだい?
「あのな。戦闘中に何を話し掛けて来とんねん!」
「いや、おかしいだろ?これはどう見てもショットガンだろ。何で連射なんかしてるんだよ?」
「そういう武器ちゃうんか!忙しいんや。邪魔せんといてくれ!」
まさかとは思うが、ココミたちはこれが形状的に武器だと認識していても、どういう構造のモノなのか?まるで理解しないまま盤上戦騎含め武器そのものを構築してしまっているのではないか? 不安は募るばかり。
敵騎体の位置は水平よりも上。つまり現在ベルタは仰角射撃を行っている。
側面ディスプレーに映るベルタの右肩装甲は後ろへとスライドしていて、全く腕に干渉していない。
てっきり、ロボットプラモデルのように肩に装甲が被せてあり、腕を上げるとお椀に腕が生えたような状態になると思っていたのだが、これは意外。こんな方法もあるのだと感心。
敵騎体とすれ違った。
敵騎体に、ベルタが放った銃弾は数発着弾していた。だが全て弾かれて。敵は大盾を前に構えて突進してきたのだった。
シールドから大きな角のようなものが突き出ていたが、あの部分から銃撃してきたのだろう。
敵騎体の形状は大盾に覆われて把握できなかったが、盾は4分の1ほどがえぐれた楕円形で、半透明なおかげで薄っすらと本体の形状が読み取れた。
やはり人型。
そして武器は競技などで使われている馬上槍を持っている。
だが、今はそれくらいのデータしか拾えない。
再び距離を取られ、そして反転。また突進してくる。
ベルタが反撃を食らわすも、やはり盾によって弾かれてしまう。一方の敵騎体は、今度は射撃を行って来ない。
「あの盾、厄介やな・・。ウチらの攻撃がまるで効かへん」
「大丈夫だ。向こうは絶対に撃ってくることはしない。ルーティ、アイツが突っ込んできたら、すかさず横にかわして思いっきり本体に弾をブチ込んでやれ」
「な、何を言―」「集中しろ!」
ヒューゴの言動に戸惑うルーティであったが、彼の言う通り、敵は一向に撃ってはこない。
さらに敵騎体が加速!
ベルタを槍で突き刺そうと突進してきた。
敵は未だ照準器にも入っていないし、そもそもロックオンマーカーも出現していないじゃないか。
「まだ撃つな。弾が勿体ない」
「えー」
何なんだ?この呆れたと言わんばかりの表情は?
「敵が撃ってきとるのに?撃ったらアカンて…。弾なんかケチっとったら命獲られるで」
カン!
会話の最中にも着弾アリ。しかし騎体はわずかに揺れたものの未だダメージ表示はゼロのまま。
「今の見たか?当たっても効かないんだよ」
論より証拠を示してやる。
ようやくルーティは納得してくれた。
「で、いつ撃ったらええんや」
呆れるあまり鼻息が漏れる。
「とにかくロックオンマーカーが出るまで待て。敵が有効射程距離に入ったら出るだろうよ」「ふぅーん」
本当に解っているのかよ。
彼女の言う通り“敵が撃ってきている”以上、案山子のように突っ立っていては良い的だ。移動させないと。
「ルーティ。相手の照準をずらす為にも動いておけ」
「照準てロックオンマーカーの事やろ?まだ入ってへんのにええんか?」
「つべこべ言うな。回避行動を取っておかないと撃ち抜かれるぞ」
ムスッとしてルーティはベルタを急発進させた。
映し出される風景では急発進だったものの、意外と体に掛かる衝撃は少ないものだった。
「あまり無茶な運転はするな。重力加速(G)で失神するぞ」
その忠告に。
「その心配は要りませんよ、ヒューゴさん。盤上戦騎は騎体に掛かるGを10分の1に抑えています」
ココミの説明によると、危険とされる10G機動を行ったとしても騎体に掛かるGはわずか1G程度。
通常、高G下で起こりうるブラックアウトやレッドアウト、G-LOCなどに陥る可能性はかなり低く抑えられているという訳だ。
「そ、そうなのか。スゲぇな」驚くばかり。
警告音が鳴った。敵にロックオンされた模様。
すっかり忘れていた。
敵騎体とは差異がある事を。
レーダーレンジも有効射程距離も揃って敵の方が長い。
敵の放った銃弾が数発ベルタに着弾。
ダメージカウントは1パーセント。
有効射程距離ギリギリてところか。
遅れること数秒、こちらもロックオンマーカーが出現した。
「来たで!反撃開始や」
両手で構えたショットガンが唸りを上げる。
ガガガガガガガガ!!!
「って、チョット待て!」
ベルタの応射に思わず口を挟んだ。
見た目はショットガン。
だけど今、連射したよな?このマシンガン!?
さっきフォアエンドを前に押して装弾したよな?
で、何で弾を連射してるのよ?
一体これはどういう構造なんだい?
「あのな。戦闘中に何を話し掛けて来とんねん!」
「いや、おかしいだろ?これはどう見てもショットガンだろ。何で連射なんかしてるんだよ?」
「そういう武器ちゃうんか!忙しいんや。邪魔せんといてくれ!」
まさかとは思うが、ココミたちはこれが形状的に武器だと認識していても、どういう構造のモノなのか?まるで理解しないまま盤上戦騎含め武器そのものを構築してしまっているのではないか? 不安は募るばかり。
敵騎体の位置は水平よりも上。つまり現在ベルタは仰角射撃を行っている。
側面ディスプレーに映るベルタの右肩装甲は後ろへとスライドしていて、全く腕に干渉していない。
てっきり、ロボットプラモデルのように肩に装甲が被せてあり、腕を上げるとお椀に腕が生えたような状態になると思っていたのだが、これは意外。こんな方法もあるのだと感心。
敵騎体とすれ違った。
敵騎体に、ベルタが放った銃弾は数発着弾していた。だが全て弾かれて。敵は大盾を前に構えて突進してきたのだった。
シールドから大きな角のようなものが突き出ていたが、あの部分から銃撃してきたのだろう。
敵騎体の形状は大盾に覆われて把握できなかったが、盾は4分の1ほどがえぐれた楕円形で、半透明なおかげで薄っすらと本体の形状が読み取れた。
やはり人型。
そして武器は競技などで使われている馬上槍を持っている。
だが、今はそれくらいのデータしか拾えない。
再び距離を取られ、そして反転。また突進してくる。
ベルタが反撃を食らわすも、やはり盾によって弾かれてしまう。一方の敵騎体は、今度は射撃を行って来ない。
「あの盾、厄介やな・・。ウチらの攻撃がまるで効かへん」
「大丈夫だ。向こうは絶対に撃ってくることはしない。ルーティ、アイツが突っ込んできたら、すかさず横にかわして思いっきり本体に弾をブチ込んでやれ」
「な、何を言―」「集中しろ!」
ヒューゴの言動に戸惑うルーティであったが、彼の言う通り、敵は一向に撃ってはこない。
さらに敵騎体が加速!
ベルタを槍で突き刺そうと突進してきた。
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