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 食後は適当に課題をこなしたり、筋トレをしながら過ごした。午後になり再び食事を摂った後はいよいよ何もない。

「……暇じゃない?」

 胡坐をかいたアルフォンスの膝の上でただ本を読んでいる。それで30分ほど経った。アルフォンス自身の希望でそういった体勢になっているが、彼は特に何もしていない。というか、アリレザが邪魔で何もできない、という方が正しいだろうか。

「暇だな」
「部屋に戻る気は?」
「ない」

 別に困りはしないが髪を弄ばれたり、たまにぎゅっと抱き寄せられたりすると少し落ち着かない。
 読書の邪魔になる、というよりは、折角の何もない1日をこう無為に過ごさせてしまっていることに対しての申し訳なさがあるのだ。

「普段こうして過ごしているのか、と、考えている」

 しかも一人だろう、と言われれば首を縦に振るしかない。

「まあ、普段は学校にも行くし……」
「もう少し娯楽になるようなものを用意した方がいいな」

 立場上仕方がないが外にだって行けない。下手な真似をすれば首が飛ぶなり、戦争が勃発するなりと、迂闊な真似は絶対に出来ない。そうなると必然的に室内に籠るしかない。
 あるものは自分の身と本と課題だけ。ともなれば、必然的にできるのは室内での運動と読書、課題くらい。それでも、大学でほぼ1日が潰れるのでそれでも然程困ったことはない。

「フィダナハースは芸術の国だが、アリレザも絵を描くのか?」
「芸術の国?」

 思わず首を傾げてしまう。

「フィダナハースの絵画や骨董品は高値で売買されているんだ」
「そうなんだ。他国でそんな……」

 とにかく『見栄え』が大事なお国柄だ。
 女性が派手に着飾るように、男性は髪を伸ばして派手なヘアアレンジを加える。
 特に貴族たちはパーティーを好むが、『自分たちはこんな精巧な食器を使っている』『貴重なヴィンテージの品を所持している』『こんな高い絵画を所持している』ということをアピールしたいのだ。要はマウント欲と自己承認欲求が高い。

「……まあそうなるのかな」

 その裏を知っていると『芸術の国』なんて評価が虚しくなってしまうが、それでも他国から認められている点というのがあるのは悪い気はしない。
 王族であるが故に辛い思いをした機会も少なくはないが、それでも大事な祖国だ。

「絵を描くなら画材でも用意しようかと思ったんだがな」
「絵はあまり描いてこなかったな」
「楽器などは?」
「全然触ってこなかった」

 最低限の教養をと帝王学やらは叩きこまれてきたが、本当に最低限。王になることはないのだからと後回し後回しにされてきたのだ。

「何か始めたいことはないか?」
「ない、かな。国に戻ったらできなくなるし」
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みんなの感想(1件)

まぬまぬ
2024.04.18 まぬまぬ

面白かったです!続き楽しみにしてます‼️‼️

解除

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