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【神アカシ篇】(1項目)
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深夜零時過ぎ。学園正門昇降口前――。
「アル……」
僕は横目で睨む。
「はひっ?」
「生徒会以外の生徒は学園内から払っておいてって、言ったよね?」
「はひぃ……」
「だったら、どうしてアリスが来てるの?」
アリスが目の前で仁王立ちしていた。かなり不機嫌そうに、むくれていた。
その隣りにお嬢もいる。
「風紀委員としてこの学園のために来たの!
だってトキワちゃん、ボクが見張ってないと何するか分からないんだからっ!」
……僕はケダモノか何かか?
「お嬢、大丈夫? こういうの苦手なんじゃないの?待っててくれてよかったのに」
アリスを無視すると、その顔がさらにムッとした。
「ヘーきへーき、全然大丈夫! 例の金髪美少年を絶対にこの目で確かめないとねっ♪」
お嬢はVサインをするが、スカートの下の脚がガタガタ震えている。
……何だか全然駄目そうだ。
「大体アル、良い子はもうオヤスミの時間なんじゃないの?
足手まといだから来なくてよかったのに」
「ぶわーんっ!! びえーんっ!?」
また泣かせてしまった。
僕の隣りに立っている若頭は、仏頂面のまま聞く耳を持たなかった。
時計台を見るともう深夜一時を回っていた。
「全く何も起きる気配がしないゾヨ、本当に現れるのか?」
若頭が段々痺れを切らせてきていた。
学園内に張り込ませている報道部の者にも、スマホで連絡を取るが、全く動きが無い。
ここが一番出没率が高いとはいえ、やはりグラウンド場を見張っているだけじゃ駄目か、とため息をつく。
「そろそろ校舎内も視まわってみようか」
「ムム……余も今それを考えていたところゾヨ、そうと決まればとっとと行くゾヨ!」
例に寄って嫌な言い訳をしているが、僕は気付かないフリをする。
後ろからアリス、お嬢、アルが順番に連れ立って来ていた。
「まさか、校舎の中までついて来る気?」
「うん、風紀委員として!」
「だってぇ、金髪美少年がぁ……」
アルにいたっては眠気で薄っすら目を開けているのが精一杯のようだ。
「いいけど、足手まといにだけはならないでね……」
シンとする廊下に、足音が響いていく。 夜の学園はどこか不気味だ。
「ね、ねえ、白鐘さん?」
お嬢がアリスに声をかける。
「アリスでいいよ」
「じゃあ、アリスちゃん……」
「なーに?」
「手、繋いでもいい? あたし怖くって……」
「いいよ」
お嬢はアリスの手をそっと握る。
「アリスちゃん……は、怖くないの?」
「うん、全然平気だよ。
小さい頃、お祭りの肝試しとかで、逆にお化け役の人驚かせてたくらいだから」
アリスは前を歩いているはずの幼馴染に笑顔を向けた。
「ねえ、トキワちゃん。小さい頃はよくふたりでお祭りに出かけたよねっ♪」
けれど暗闇が続いているだけで、いつの間にか人ひとり見当たらなかった。
「あれっ!? トキワちゃん!?」
「いやっ! アリスちゃん、あたしから離れないでぇっ!こわいぃっ!」
両腕でおもいきりムギュッと、お嬢に抱きつかれる。
「えうぅ……ぼく、もう眠くて怖くて……オヤスミなさひ……」
アルは気絶するように、ヨレヨレとその場に倒れ込んだ。
「いやーー!! トキワちゃーーんっ!!」
アリスの叫び声が、虚しく廊下に轟いた。
「……若頭っ! ……若頭ってば!!」
「ゾヨ?」
僕の呼びかけに、やっと振り向く。
「速く歩きすぎだよ! 逸れちゃうじゃないか!」
若頭はそのまま後ろを見つめて静止した。
僕も後ろを振り返る。すでに誰もいない。
「もう! 若頭が急ぐから、本当に逸れちゃったじゃないか!」
「――いや、ゴッドファーザーよ、それは少し違うようゾヨ」
若頭は瞳を鋭くして、虚空を眺めて呟いた。
「余らは、夜の魔術師とやらの術中に嵌められたのかもしれぬ……」
「え……」
窓の開いていない廊下で、ザワザワと嫌な風が吹いた。
「アル……」
僕は横目で睨む。
「はひっ?」
「生徒会以外の生徒は学園内から払っておいてって、言ったよね?」
「はひぃ……」
「だったら、どうしてアリスが来てるの?」
アリスが目の前で仁王立ちしていた。かなり不機嫌そうに、むくれていた。
その隣りにお嬢もいる。
「風紀委員としてこの学園のために来たの!
だってトキワちゃん、ボクが見張ってないと何するか分からないんだからっ!」
……僕はケダモノか何かか?
「お嬢、大丈夫? こういうの苦手なんじゃないの?待っててくれてよかったのに」
アリスを無視すると、その顔がさらにムッとした。
「ヘーきへーき、全然大丈夫! 例の金髪美少年を絶対にこの目で確かめないとねっ♪」
お嬢はVサインをするが、スカートの下の脚がガタガタ震えている。
……何だか全然駄目そうだ。
「大体アル、良い子はもうオヤスミの時間なんじゃないの?
足手まといだから来なくてよかったのに」
「ぶわーんっ!! びえーんっ!?」
また泣かせてしまった。
僕の隣りに立っている若頭は、仏頂面のまま聞く耳を持たなかった。
時計台を見るともう深夜一時を回っていた。
「全く何も起きる気配がしないゾヨ、本当に現れるのか?」
若頭が段々痺れを切らせてきていた。
学園内に張り込ませている報道部の者にも、スマホで連絡を取るが、全く動きが無い。
ここが一番出没率が高いとはいえ、やはりグラウンド場を見張っているだけじゃ駄目か、とため息をつく。
「そろそろ校舎内も視まわってみようか」
「ムム……余も今それを考えていたところゾヨ、そうと決まればとっとと行くゾヨ!」
例に寄って嫌な言い訳をしているが、僕は気付かないフリをする。
後ろからアリス、お嬢、アルが順番に連れ立って来ていた。
「まさか、校舎の中までついて来る気?」
「うん、風紀委員として!」
「だってぇ、金髪美少年がぁ……」
アルにいたっては眠気で薄っすら目を開けているのが精一杯のようだ。
「いいけど、足手まといにだけはならないでね……」
シンとする廊下に、足音が響いていく。 夜の学園はどこか不気味だ。
「ね、ねえ、白鐘さん?」
お嬢がアリスに声をかける。
「アリスでいいよ」
「じゃあ、アリスちゃん……」
「なーに?」
「手、繋いでもいい? あたし怖くって……」
「いいよ」
お嬢はアリスの手をそっと握る。
「アリスちゃん……は、怖くないの?」
「うん、全然平気だよ。
小さい頃、お祭りの肝試しとかで、逆にお化け役の人驚かせてたくらいだから」
アリスは前を歩いているはずの幼馴染に笑顔を向けた。
「ねえ、トキワちゃん。小さい頃はよくふたりでお祭りに出かけたよねっ♪」
けれど暗闇が続いているだけで、いつの間にか人ひとり見当たらなかった。
「あれっ!? トキワちゃん!?」
「いやっ! アリスちゃん、あたしから離れないでぇっ!こわいぃっ!」
両腕でおもいきりムギュッと、お嬢に抱きつかれる。
「えうぅ……ぼく、もう眠くて怖くて……オヤスミなさひ……」
アルは気絶するように、ヨレヨレとその場に倒れ込んだ。
「いやーー!! トキワちゃーーんっ!!」
アリスの叫び声が、虚しく廊下に轟いた。
「……若頭っ! ……若頭ってば!!」
「ゾヨ?」
僕の呼びかけに、やっと振り向く。
「速く歩きすぎだよ! 逸れちゃうじゃないか!」
若頭はそのまま後ろを見つめて静止した。
僕も後ろを振り返る。すでに誰もいない。
「もう! 若頭が急ぐから、本当に逸れちゃったじゃないか!」
「――いや、ゴッドファーザーよ、それは少し違うようゾヨ」
若頭は瞳を鋭くして、虚空を眺めて呟いた。
「余らは、夜の魔術師とやらの術中に嵌められたのかもしれぬ……」
「え……」
窓の開いていない廊下で、ザワザワと嫌な風が吹いた。
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