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【神アカシ篇】(1項目)
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僕の通う【聖ローゼ・ヴァビロニアン学園】は、とにかく超巨大である。
外観は西洋の城や宮殿に色々とツギハギを足して大きくしたようなもので、我こそがこの国の象徴!とでも言いたげに、天にも届くかのような高さと広さを誇り、聳え立っている。
学園理事長がかなり変わった趣向の持ち主で、いくつもの増築を繰り返して今の形となった。
気が付けば、世界三大巨大建築物に数えられるほどの大きさとなり、
創立も古く、様々な歴史と伝統があり、有名な観光スポットのひとつにもなっている。
一風変わった校舎と制服と規則のせいで、世間からは魔法じかけの学園☆なんて呼ばれているけれど、この平凡な現代という世界で、実際に魔法なんて使える者がいるはずもなく……。
いや、一部?を除いては使えそうな気もするけどw
生徒たちは皆、当たり前にスマホを持ち、部活やバイトに励んだり、試験に追われたりする日々を送っている。
そんな一見普通でもあり不思議すぎている、この学園で今、重大な事件が起きていた――。
「赤字だ!」
教室の一番後ろの窓際の席。
生徒会日誌を手にして、突然に立ち上がり僕は言い放った。
「トキワちゃん……」
隣りの席のアリスに睨まれた。
だけでなく、教室の全生徒が注目していた。
しまった今は授業中だった。
とか思う間もなく、先生に差されてしまった。
けれど僕は何も動揺しない。
あてられた問題を解く。ただそれだけだ。
それだけのことなのに、いつも称賛の嵐が巻き起こる。
教師でさえも、僕には口出しできないのだ。
何故かというと長くはなるが、
この学園は外観が巨大なだけでなく、幼稚園から大学部まで揃っている超大型エリート名門進学校であり、
優秀さを競う制度で各学年ごとに、有能クラス・通常クラス・下級クラスと階級が別けられている。
中でも、もっとも選ばれた成績優秀で人望の篤い者か、超お金持ちでないと就任できないと言われている生徒会最高指揮官部……。
――僕は高等部三年生で、そんな学園の生徒会長を勤めているからだ。
そのお蔭で僕は学園中で一目置かれる存在である。
と言っても別にやりたくてやってる訳じゃない。
生徒会なんて面倒臭い仕事が多いし、厄介ごとが山ほど舞い込んでくる。
それに修道院暮らしで、あまり裕福なほうではない。
でもこの座だけはどうしても誰にも譲れない理由がある。
だってやっぱり一番って気分がいいよね?
夢はでっかく、国の大統領!
……なんて言ってるから、大工の親方をもじった【大棟梁】なんて異名まで出来てしまった。
僕の凄さ解ってくれたかな?
――そんな僕が今までになく重大な問題に直面している。
生徒会費が赤字だ。
まだ四月に入って間もない。特に使った行事も無い。これはどういうことなのか?
窓に目をやる。
建物を飲み込んでしまいそうな勢いで外壁に張り付いているツタ。
それには所々に苺が生えている。
そこから見える遥か遠くの地上。
グラウンド場の景色は、大量の苺畑で埋もれていた。
生徒たちが噂していた話しを思い出した。
夜の魔術師と名乗る謎の怪人が現れて、学園中をたった一晩で苺畑にしてしまったらしい。
迷惑な話しだけど、苺が邪魔なら食べちゃえば?
体育の授業が潰れてラッキーな気もしてるから、いいんじゃない?
なんて考えてたけど……。
元々グラウンド場があったであろう方向を見つめる。
美化委員の生徒たちがいる。業務員たちと沢山の器機を使って苺狩りをしている。
日が暮れる、どころか年まで明けてしまいそうな、程遠い雰囲気だ。
――そう、大量の苺を撤去する作業。これが生徒会費で賄われているのだ。
困った。大問題だ。
これでは夜の魔術師と呼ばれる者を捕まえないとならないじゃないか……。
外観は西洋の城や宮殿に色々とツギハギを足して大きくしたようなもので、我こそがこの国の象徴!とでも言いたげに、天にも届くかのような高さと広さを誇り、聳え立っている。
学園理事長がかなり変わった趣向の持ち主で、いくつもの増築を繰り返して今の形となった。
気が付けば、世界三大巨大建築物に数えられるほどの大きさとなり、
創立も古く、様々な歴史と伝統があり、有名な観光スポットのひとつにもなっている。
一風変わった校舎と制服と規則のせいで、世間からは魔法じかけの学園☆なんて呼ばれているけれど、この平凡な現代という世界で、実際に魔法なんて使える者がいるはずもなく……。
いや、一部?を除いては使えそうな気もするけどw
生徒たちは皆、当たり前にスマホを持ち、部活やバイトに励んだり、試験に追われたりする日々を送っている。
そんな一見普通でもあり不思議すぎている、この学園で今、重大な事件が起きていた――。
「赤字だ!」
教室の一番後ろの窓際の席。
生徒会日誌を手にして、突然に立ち上がり僕は言い放った。
「トキワちゃん……」
隣りの席のアリスに睨まれた。
だけでなく、教室の全生徒が注目していた。
しまった今は授業中だった。
とか思う間もなく、先生に差されてしまった。
けれど僕は何も動揺しない。
あてられた問題を解く。ただそれだけだ。
それだけのことなのに、いつも称賛の嵐が巻き起こる。
教師でさえも、僕には口出しできないのだ。
何故かというと長くはなるが、
この学園は外観が巨大なだけでなく、幼稚園から大学部まで揃っている超大型エリート名門進学校であり、
優秀さを競う制度で各学年ごとに、有能クラス・通常クラス・下級クラスと階級が別けられている。
中でも、もっとも選ばれた成績優秀で人望の篤い者か、超お金持ちでないと就任できないと言われている生徒会最高指揮官部……。
――僕は高等部三年生で、そんな学園の生徒会長を勤めているからだ。
そのお蔭で僕は学園中で一目置かれる存在である。
と言っても別にやりたくてやってる訳じゃない。
生徒会なんて面倒臭い仕事が多いし、厄介ごとが山ほど舞い込んでくる。
それに修道院暮らしで、あまり裕福なほうではない。
でもこの座だけはどうしても誰にも譲れない理由がある。
だってやっぱり一番って気分がいいよね?
夢はでっかく、国の大統領!
……なんて言ってるから、大工の親方をもじった【大棟梁】なんて異名まで出来てしまった。
僕の凄さ解ってくれたかな?
――そんな僕が今までになく重大な問題に直面している。
生徒会費が赤字だ。
まだ四月に入って間もない。特に使った行事も無い。これはどういうことなのか?
窓に目をやる。
建物を飲み込んでしまいそうな勢いで外壁に張り付いているツタ。
それには所々に苺が生えている。
そこから見える遥か遠くの地上。
グラウンド場の景色は、大量の苺畑で埋もれていた。
生徒たちが噂していた話しを思い出した。
夜の魔術師と名乗る謎の怪人が現れて、学園中をたった一晩で苺畑にしてしまったらしい。
迷惑な話しだけど、苺が邪魔なら食べちゃえば?
体育の授業が潰れてラッキーな気もしてるから、いいんじゃない?
なんて考えてたけど……。
元々グラウンド場があったであろう方向を見つめる。
美化委員の生徒たちがいる。業務員たちと沢山の器機を使って苺狩りをしている。
日が暮れる、どころか年まで明けてしまいそうな、程遠い雰囲気だ。
――そう、大量の苺を撤去する作業。これが生徒会費で賄われているのだ。
困った。大問題だ。
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