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【星ワタリ篇】~第1章~(題1部)
夢四夜
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真っ暗になった。部屋の中。
そう思った途端すぐ傍で、ドテンッ!バタンッ!と音がした。
すかさずメアリが電気を付ける。
とナイトとミュウがそれぞれあらぬ方向に向かい、絨毯の上で倒れ込んでいた。
電気を付けに行こうとして立ち上がり、前が見えなくて倒れた。
メアリには考える間もなくそれが解った。
「――っ電気を付けるのが遅すぎデス!! ちょっとビックリしたではないですか!!」
「……」
「ミュウ様、大丈夫ですか?」
「……あうぅ~、だいじょうぶだよぉ」
むっくりと起き上がるミュウの無事を確認するや否や、
「そうですか! さっ、ケーキ♪ケーキ♪」
ナイトはすぐさまショートケーキの上にのせられた苺をフォークで刺し、口へ運んだ。
……なんて自己中心的な。首を鷲掴みたい。
メアリは激しくそう思った。
「あれ? ミュウ様、ケーキ食べないのですか?」
ミュウはビスケットだけをチョビチョビかじっている。
「あ、えと、ミュウいちごキライだから……ナイトぜんぶ食べちゃっていいよ」
……苺が嫌い……?
ナイトとメアリは少しだけ不審に思った。
「あ、そうだ! ミュウね、ふたりにプレゼント用意してたんだぁ、ちょっとまってて♪」
ミュウは逃げるようにしてリビングから出て行ってしまった。
様子がおかしい。
けれどミュウからの思いがけないプレゼント。
ふたりはとても嬉しかった。
「えへへ、徹夜で作ったんだよ。 着てくれるかなぁ?」
戻って来たミュウ。
その手には【人形サイズ】の手編みらしい小さなマフラーと帽子を持っていた。
『……』
黙り込むふたり。
「……やっぱりいらない?……ふええっ」
「いえいえいえ!!とても嬉しいデスよ!?」
「そうだな! それじゃあさっそく着てみようゼ!;;」
引きつるふたり。
泣かれるのは御免だから。
もとい、潤んだ瞳でお願いされては言うことを聞かない訳にはいかないから。
……それがふたりの、【秘密の契約】なのだから。
ナイトはミュウの遠い親戚で。メアリはとりあえず居候。
世間には今までそれで通してきた。
――【兎の形をした玩具】……だなんて、言っても誰も信じてはくれないから。
自由自在に姿を変えることが出来る。
ふたりは不思議なピンクの霧に包まれて、ぬいぐるみへと姿を変えた。
「よかったぁ! サイズ、ぴったりだね!」
白いマフラーがナイト用。黒い帽子がメアリ用。
所々毛糸が飛び出していて不恰好だけれど。
顔を赤らめる、白と黒のうさぎ。
……だが、
プツンッ……。
――部屋が再び真っ暗になった。
いや、今度は電気だけでなく、ツリーのランプも消えていた。
「わ、わ??」
「なんでしょう? ブレーカーでも落ちたのでしょうか?」
「もしかしてこのツリーのランプのせいじゃないのか?」
かなり大きめのクリスマスツリーに沢山のイルミネーションランプ。
確かに許容範囲を超えてもおかしくはない量だった。
「いや、待ってください。 外も真っ暗ですよ」
窓の外を見ると賑やかだったはずの街の明かりが、ひとつも無かった。
「じゃあこの辺り一帯が停電したのか?」
「とりあえず、懐中電灯を――」
チリンチリン……。
玄関のベルが鳴った。
「おや、客人のようですね……」
「マジかよ! よりによってこんな時に、っ何も見えな――」
「ふえぇ、こわいよぉ。 ナイトぉ~~」
「ぐええっ、くるし……俺はメアリだッッ」
ミュウがメアリに抱きついているらしい。
こう暗くては同じような造りの、ぬいぐるみであるふたりの判別ができない。
「ワタクシ見えますよ。 玄関に行ってみましょう」
「マジでか!?」
「ふええ~、まってぇぇ~~」
メアリを抱っこしたまま、ミュウはナイトの尻尾を掴んだ。
へっぴり腰で、なんとか玄関に辿り着く。
ガチャリ。
ミュウがドアを開ける。もちろんふたりはぬいぐるみのフリをしている。
「……どど、どちら様ですか?」
返事は無い。どころか人影すらない。辺りに人も見当たらない。
「い、いたずらかなぁ?」
「チッ、ふざけやがって……」
……。
「……ふたり共、下を見てください」
「――!?」
見ると、そこにはダンボール箱に入った郵便物らしき物が置かれていた。
住所は確かに此処で間違いない。血のような紅で殴り書きされていた。
差出人のところには……、
――【真実の世界】――。
――……。
そう思った途端すぐ傍で、ドテンッ!バタンッ!と音がした。
すかさずメアリが電気を付ける。
とナイトとミュウがそれぞれあらぬ方向に向かい、絨毯の上で倒れ込んでいた。
電気を付けに行こうとして立ち上がり、前が見えなくて倒れた。
メアリには考える間もなくそれが解った。
「――っ電気を付けるのが遅すぎデス!! ちょっとビックリしたではないですか!!」
「……」
「ミュウ様、大丈夫ですか?」
「……あうぅ~、だいじょうぶだよぉ」
むっくりと起き上がるミュウの無事を確認するや否や、
「そうですか! さっ、ケーキ♪ケーキ♪」
ナイトはすぐさまショートケーキの上にのせられた苺をフォークで刺し、口へ運んだ。
……なんて自己中心的な。首を鷲掴みたい。
メアリは激しくそう思った。
「あれ? ミュウ様、ケーキ食べないのですか?」
ミュウはビスケットだけをチョビチョビかじっている。
「あ、えと、ミュウいちごキライだから……ナイトぜんぶ食べちゃっていいよ」
……苺が嫌い……?
ナイトとメアリは少しだけ不審に思った。
「あ、そうだ! ミュウね、ふたりにプレゼント用意してたんだぁ、ちょっとまってて♪」
ミュウは逃げるようにしてリビングから出て行ってしまった。
様子がおかしい。
けれどミュウからの思いがけないプレゼント。
ふたりはとても嬉しかった。
「えへへ、徹夜で作ったんだよ。 着てくれるかなぁ?」
戻って来たミュウ。
その手には【人形サイズ】の手編みらしい小さなマフラーと帽子を持っていた。
『……』
黙り込むふたり。
「……やっぱりいらない?……ふええっ」
「いえいえいえ!!とても嬉しいデスよ!?」
「そうだな! それじゃあさっそく着てみようゼ!;;」
引きつるふたり。
泣かれるのは御免だから。
もとい、潤んだ瞳でお願いされては言うことを聞かない訳にはいかないから。
……それがふたりの、【秘密の契約】なのだから。
ナイトはミュウの遠い親戚で。メアリはとりあえず居候。
世間には今までそれで通してきた。
――【兎の形をした玩具】……だなんて、言っても誰も信じてはくれないから。
自由自在に姿を変えることが出来る。
ふたりは不思議なピンクの霧に包まれて、ぬいぐるみへと姿を変えた。
「よかったぁ! サイズ、ぴったりだね!」
白いマフラーがナイト用。黒い帽子がメアリ用。
所々毛糸が飛び出していて不恰好だけれど。
顔を赤らめる、白と黒のうさぎ。
……だが、
プツンッ……。
――部屋が再び真っ暗になった。
いや、今度は電気だけでなく、ツリーのランプも消えていた。
「わ、わ??」
「なんでしょう? ブレーカーでも落ちたのでしょうか?」
「もしかしてこのツリーのランプのせいじゃないのか?」
かなり大きめのクリスマスツリーに沢山のイルミネーションランプ。
確かに許容範囲を超えてもおかしくはない量だった。
「いや、待ってください。 外も真っ暗ですよ」
窓の外を見ると賑やかだったはずの街の明かりが、ひとつも無かった。
「じゃあこの辺り一帯が停電したのか?」
「とりあえず、懐中電灯を――」
チリンチリン……。
玄関のベルが鳴った。
「おや、客人のようですね……」
「マジかよ! よりによってこんな時に、っ何も見えな――」
「ふえぇ、こわいよぉ。 ナイトぉ~~」
「ぐええっ、くるし……俺はメアリだッッ」
ミュウがメアリに抱きついているらしい。
こう暗くては同じような造りの、ぬいぐるみであるふたりの判別ができない。
「ワタクシ見えますよ。 玄関に行ってみましょう」
「マジでか!?」
「ふええ~、まってぇぇ~~」
メアリを抱っこしたまま、ミュウはナイトの尻尾を掴んだ。
へっぴり腰で、なんとか玄関に辿り着く。
ガチャリ。
ミュウがドアを開ける。もちろんふたりはぬいぐるみのフリをしている。
「……どど、どちら様ですか?」
返事は無い。どころか人影すらない。辺りに人も見当たらない。
「い、いたずらかなぁ?」
「チッ、ふざけやがって……」
……。
「……ふたり共、下を見てください」
「――!?」
見ると、そこにはダンボール箱に入った郵便物らしき物が置かれていた。
住所は確かに此処で間違いない。血のような紅で殴り書きされていた。
差出人のところには……、
――【真実の世界】――。
――……。
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