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軌跡~【メアリ・ロード】~黒兎
第四羽
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……俺は、一体何をしているんだ……?
「ナイト~、おいしいね♪」
「ハイ、そうですね!」
ミュウはバニラのアイスをひとつ。
ナイトはストロベリー味のアイスをこれでもか、というくらい大量にコーンに積み上げている。
ふたりはそれをペロペロしながら、ベンチに仲良く並んで座っているのだ。
ハタから見れば中学生くらいの、可愛らしいほのぼのカップル。
そんな二人の間に挟まれて、ちょこんと座る俺は……ただの黒いうさぎのぬいぐるみ……。
街は賑わい、楽しげな音楽に、浮かれた仮装をして踊る人間たち。
……こんなことをしている場合ではないのに……。
此処へ来てから、ずっと嫌な予感が止まらない。
空はいつの間にか、夕焼け色に染まっていた。
……空???
なんだ?
ナイトが手で前髪を押さえている。隙間から美しい碧眼が見えた。
空を気にしている……?
何故だか違和感がある。
だがそれが何なのかわからない――。
すうっと意識が薄れていくのを感じた。
心と身体が離脱しそうになる。
まずい……。
「ねっ、メアリちゃん!」
しかし紙一重のところで何とかそれは免れた。
「……たのむ。 ちゃん付けはやめてくれ」
「じゃあ、メアリ?」
「なんだ?」
「わたしのことはミュウって呼んでね」
……そんなことはどうでもよい。
「ね、メアリに誕生日はあるの?」
「そんなものはない」
「ないの……? どうして? 悪魔さんだから?」
なんなんだ? めんどくさいな……。
「さあな。
俺は人間よりずっと長く生きてきた、だからいつ頃生まれたかなんてもう忘れた」
「誕生日なくて、さみしくないの……?」
「別に欲しくはないし、そんな感情もわからない」
ミュウは哀しそうに、うつむいた。
「……ナイトはね、クリスマスイヴが誕生日なの。
ミュウとはじめて出逢った日」
何を言っているんだ。 変な女だな。
「だから、メアリの誕生日も今日にしていい?」
訳が分からない。
「好きにしろ」
だが俺がそう言うと、ミュウは満面の笑顔を見せた。
「じゃあ決まり! メアリの誕生日はハロウィンパーティーの日だよっ!」
ミュウが、むぎゅむぎゅと俺を抱きしめ、頬ずりをしてくる。
「えへ~、メアリ~♪」
「やめてくれxxつぶれるxx」
本当に変な女だ。 人間という生き物は皆こうなのか?
……だが、何故だか俺はくすぐったいような恥ずかしいような不思議な気分になり、顔が熱くなっていくのを感じた。
不思議と嫌な気はしなかった……。
ナイトがつまらなさそうに俺達のやり取りを見つめていた。
「さてっ、そろそろやりますか!」
大量のアイスを食べ終え、満足したらしいナイト。
左腕に装着させているシルバー色の松葉杖を支えにしながら、「どっこらしょっと」とか言いながらゆっくりと立ち上がった。
オヤジかよww変なヤツ……。
それにこいつらふたりとも、肌が異常に真っ白だし……。
なんか気持ち悪い。
陽の光が苦手なのか何なのか、ミュウは日傘まで差している。
「ミュウ様はここで待っていてください」
「うん」
「何をする気だ?」
「貴方の呪いが解けるかどうか試します」
「試すって……」
ナイトは辺りを見渡しながら、
「とりあえず、女性にキスされればよいのですよね?」
視線の先にあるのは、カーニバルの中の踊り子。
オイ、まさか……。
ナイトが俺の体を、がしりっと掴み人混みの中を突進して行く。
「バカヤローー!! ヤメローーー!!」
聞く耳持たず……。
おもむろに俺の体を前へ突き出し、言い放った。
「キスしてくれませんか?」
ああ、やっぱりそうなんだ……w
馬鹿ナイト……。
俺はかわいそうな黒いうさぎのぬいぐるみ。
……もとの姿に戻れる日は……やってくるよな……?
「ナイト~、おいしいね♪」
「ハイ、そうですね!」
ミュウはバニラのアイスをひとつ。
ナイトはストロベリー味のアイスをこれでもか、というくらい大量にコーンに積み上げている。
ふたりはそれをペロペロしながら、ベンチに仲良く並んで座っているのだ。
ハタから見れば中学生くらいの、可愛らしいほのぼのカップル。
そんな二人の間に挟まれて、ちょこんと座る俺は……ただの黒いうさぎのぬいぐるみ……。
街は賑わい、楽しげな音楽に、浮かれた仮装をして踊る人間たち。
……こんなことをしている場合ではないのに……。
此処へ来てから、ずっと嫌な予感が止まらない。
空はいつの間にか、夕焼け色に染まっていた。
……空???
なんだ?
ナイトが手で前髪を押さえている。隙間から美しい碧眼が見えた。
空を気にしている……?
何故だか違和感がある。
だがそれが何なのかわからない――。
すうっと意識が薄れていくのを感じた。
心と身体が離脱しそうになる。
まずい……。
「ねっ、メアリちゃん!」
しかし紙一重のところで何とかそれは免れた。
「……たのむ。 ちゃん付けはやめてくれ」
「じゃあ、メアリ?」
「なんだ?」
「わたしのことはミュウって呼んでね」
……そんなことはどうでもよい。
「ね、メアリに誕生日はあるの?」
「そんなものはない」
「ないの……? どうして? 悪魔さんだから?」
なんなんだ? めんどくさいな……。
「さあな。
俺は人間よりずっと長く生きてきた、だからいつ頃生まれたかなんてもう忘れた」
「誕生日なくて、さみしくないの……?」
「別に欲しくはないし、そんな感情もわからない」
ミュウは哀しそうに、うつむいた。
「……ナイトはね、クリスマスイヴが誕生日なの。
ミュウとはじめて出逢った日」
何を言っているんだ。 変な女だな。
「だから、メアリの誕生日も今日にしていい?」
訳が分からない。
「好きにしろ」
だが俺がそう言うと、ミュウは満面の笑顔を見せた。
「じゃあ決まり! メアリの誕生日はハロウィンパーティーの日だよっ!」
ミュウが、むぎゅむぎゅと俺を抱きしめ、頬ずりをしてくる。
「えへ~、メアリ~♪」
「やめてくれxxつぶれるxx」
本当に変な女だ。 人間という生き物は皆こうなのか?
……だが、何故だか俺はくすぐったいような恥ずかしいような不思議な気分になり、顔が熱くなっていくのを感じた。
不思議と嫌な気はしなかった……。
ナイトがつまらなさそうに俺達のやり取りを見つめていた。
「さてっ、そろそろやりますか!」
大量のアイスを食べ終え、満足したらしいナイト。
左腕に装着させているシルバー色の松葉杖を支えにしながら、「どっこらしょっと」とか言いながらゆっくりと立ち上がった。
オヤジかよww変なヤツ……。
それにこいつらふたりとも、肌が異常に真っ白だし……。
なんか気持ち悪い。
陽の光が苦手なのか何なのか、ミュウは日傘まで差している。
「ミュウ様はここで待っていてください」
「うん」
「何をする気だ?」
「貴方の呪いが解けるかどうか試します」
「試すって……」
ナイトは辺りを見渡しながら、
「とりあえず、女性にキスされればよいのですよね?」
視線の先にあるのは、カーニバルの中の踊り子。
オイ、まさか……。
ナイトが俺の体を、がしりっと掴み人混みの中を突進して行く。
「バカヤローー!! ヤメローーー!!」
聞く耳持たず……。
おもむろに俺の体を前へ突き出し、言い放った。
「キスしてくれませんか?」
ああ、やっぱりそうなんだ……w
馬鹿ナイト……。
俺はかわいそうな黒いうさぎのぬいぐるみ。
……もとの姿に戻れる日は……やってくるよな……?
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