上 下
46 / 48
真相開示編

反逆

しおりを挟む
 奴にトドメを刺すべく、深紅の怪光線ディープクリムゾン・ヘルブレスを放とうとした、その時だった。

「グハァッ!?」

 私の顔に、無数の黒い何かが突撃して来たのだ。
 その所為で必殺の光線は明後日の方向へと放たれてしまい、奴へのトドメを刺せなかった。

「一体何が……コイツらはッ!」

 私の邪魔をしたモノを睨み付ける。しかし、そこにいたのは黒い大きな魚クロマグロの群れだった。

「貴様らーーッ!!」

 生成生物如きに邪魔され、私は怒りに任せて全てを消し飛ばさんと深紅散弾ディープクリムゾン・ヘルレインをチャージ。そして攻撃を放とうとした瞬間、下顎を勝ち上げられてしまった。出口を失ったエネルギーが口内で乱反射、大爆発を引き起こした。



「ええい、一体私が何をした!  奴は貴様らに何をしたのだ!」

 あれから私は、奴にトドメを刺せず、生成生物による妨害を受け続けていた。奴に視線を向ければ、黒く大きな魚が突撃して来て、その隙に小さな海獣バンドウイルカ中位の海獣シャチが私の下顎を打ち上げる。

「貴様らッ──ブォッ!?」

 海獣に意識を向ければ、何処から現れた軟体生物共タコやイカが黒い体液を吹きかけて視界や呼吸を阻害する。

「クソ~~~~!!」

 腕を振り払い黒い体液を退かそうと藻掻いていると、何かが喉袋に取り付き穴を開けようとしている。

「この私を舐めるなよーーーーッ!!!」

 煩わしさや苛立ちを込めて咆哮を放つ。それだけで、周囲を漂う生成生物共が散っていく。邪魔する存在がいなくなり、その爽快感に私は思わず勝鬨の咆哮を上げる。

「ウオーー!!  ──何ッ!?」

 しかし、海底より届いた見覚えのある青い輝き──より強くヨクトマシンを身に纏い接近する奴に、思わず動揺してしまった。

「……りゅうじーーーー!!!」

 奴を脅威とみなし、私は全ての目で奴を──りゅうじを睨み付け、全力で叩き潰すために突撃する。

「■■■ッ!」
「オラァッ!」

 互いの速度が乗った拳が激突。性質の違うヨクトマシン同士が反発しあい爆発。周囲の水が押し退けられ、海が割れた。

「■■■■■ッ!!」
「ドリャアアーー!!」

 開いた空間へと水が圧力を持って殺到する。その勢いに乗り、互いの蹴りがぶつかる。

 互いにヨクトマシンを利用してぶつかり合い、水の力さえ利用して攻撃を交える。軈て互いに埒が明かないと考え、攻撃はヨクトマシンを利用した光線攻撃へと移行した。

 私が赤光弾を放てば、奴もそれを真似して青光弾を放ち迎撃。泡粒混じりの煙幕から赤光刃を飛ばせば、奴は腕から青光刃を伸ばし受け流す。

「これならどうだッ!」
「■ッ!?」

 ならばと喉に力を溜めて赤光線を放てば、奴はそれを踏み台にして私の鼻先を殴ったではないか。

「■■──■■ッ!?」
「捕まえたッ!!」

 漸く入れられた一撃に喜んでいたその隙を突き、私は奴を捕らえることに成功した。そして私は奴に仕留めるべく、捕らえた奴に近距離での深紅の怪光線を放とうとした。

「これで貴様も終いだッ!!」
「■■■■■ーーッ!!」

 しかし奴は尚も抵抗する。両腕を交差するとヨクトマシンを集め、盾として受け止めようとしている。

 ならば、それごと撃ち抜けば良い。

 更にエネルギーをチャージし、奴とぶつかり合う。その時だった。

「■■■……■■■■……■■■ッ!?」

 奴が何かに気を取られ、あろうことか明後日の方向へ向けて防御の姿勢をとったではないか。

「愚か者め!  グッ──!?」

 隙だらけの奴に向けて光線を放とうとした瞬間、強力な衝撃波が私を貫いた。

(……何が、起きた…………!?)

 意識を失う瞬間に見たのものは、肥大化した頭を此方に向ける、黒く大きい海獣の姿だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

処理中です...