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50. 役人さんにバレました。
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「「どうもすみませんでしたー!!」」
ティルミオとティティルナは暴れるミッケをとっ捕まえて、二人揃って深々とオデールに頭を下げて謝罪した。
オデールはミッケに引っ掻かれた左頬をさすりながら、そんな二人の謝罪を受け入れると、物凄い困惑した顔でティティルナに抱き抱えられたミッケを見つめたのだった。
「……まぁ、貴方たちが悪い訳ではないですし、猫のしたことですし……。……猫……なんですよね……?」
姿は何処からどうみても三毛猫なのだが、果たして目の前のコレは、猫と呼べるのか。オデールは、ミッケという喋る猫の存在に混乱していた。
「はい、猫です!…………多分。」
「失礼にゃ!我はもっと高位な生き物にゃ!!」
「黙ってミッケ!更にややこしくなるから!!」
「猫……」
オデールは未知の生き物を見る様な目付きで、ミッケのことをじっと見つめている。彼はこの三毛猫をどの様に受け止めて良いか、決めかねているのだ。
「あの、もうお気付きかと思いますが……うちの猫、喋るんです!」
「成程、お宅の猫は喋るんですね……」
ティティルナが、”うちの猫、可愛いんです!”と、同じ様なノリで言う物だから、オデールはそれがさも当たり前の事で有るかの様に思えて納得しかけたが、彼の中の常識がその決断を阻んだ。だって普通猫は喋らないから。
「いや……猫って喋らないですよね?」
「うちの子は喋るんです!天才だから!」
「成程、天才だから喋るのですね。……って、そんな訳無いでしょう?!何なのですか、その生物は?!」
「うちの看板猫です!」
「猫な訳無いでしょう?!だって喋るんですよ?!」
「にゃーーーっ!!面倒臭い奴だにゃあ。我は我にゃ。お前は視野が狭いにゃ!!」
交互にミッケの事を猫だと言い張る兄妹に、オデールの混乱は深まっていった。目の前で喋ってる猫について、自分なりに納得出来る答えを出そうとしているのだが、理解の範疇を超える出来事に、どうしても思考が止まってしまうのだ。
「ねぇ、お兄ちゃん……サーヴォルトさん困ってるよ、どうしよう?」
「どうしようったって、他に説明しようが無いじゃ無いか。俺たちだってミッケが何なのか本当のところ分かってないんだし。」
先程からずっと困惑したままのオデールを、ティルミオとティティルナは心配そうに眺めたが、常識を手放してミッケを受け入れるかどうかは彼の問題である。
二人はどうしようもできなくて、黙って苦悩するオデールを見守ったが、やがて彼は、諦めた様に溜息を吐くと、静かにティティルナに向かって声を掛けたのだった。
「……分かりました。猫が喋ることについては、とりあえず考えるのを止めます。それよりも紙の製造方法です。俄には信じられないのですが、その、ティティルナさん。実演してもらっても良いですか?」
「あ、はい。分かりました。」
オデールは、ミッケについては深く考えるのを放棄して、取り敢えず、本来の問題であるカーステン兄妹が不正な事をしていないかどうかの確認を優先することにしたのだ。
声をかけられたティティルナは、オデールの申し出に頷くと、抱いていたミッケをティルミオに渡し、オデールから実演するようにと渡された古紙を一枚手に取った。そしてその紙を抱え込む様に胸に抱くと、目を閉じて集中して呪文を唱えた。
「再生練金」
それは一瞬の出来事で、オデールには何が起こったのか分からなかったが、ティティルナが持っていた紙が光ったと思ったら、次の瞬間、それは見事な上質の白紙になっていたのだった。
「錬金術……」
「そうにゃ!我がティニャに授けた力にゃ!!どうにゃ!慄くがいいにゃ!!」
思わず息を呑んで立ち尽くしてるオデールに対して、ミッケはティルミオの腕の中から偉そうにふんぞり返ると、自分の功績だと誇った。
「そう……ですね。この能力を自由に人に与えられる事が出来るなんて、なんて畏れ多い……」
オデールは、このミッケという三毛猫の姿をした高位生物がした事に、言われたとおり慄いてしまった。
錬金術という奇跡の力を、この猫が人間に好き勝手に付与出来るのだと言うのだから、それはもう、神の力ではないかと畏れを抱いてしまったのだ。
けれども、そんなオデールの思い込みは、ティルミオの一言であっさりと否定されたのだった。
「あ、いや。それは無理です。ティナが錬金術を貰ったのも偶然だし。」
「えっ……偶然……?」
「まぁ、役人さんが想像してる程、ミッケは万能じゃ無いって事ですよ。」
そして、ティルミオはティティルナと顔を見合わせてお互いに頷き合うと、オデールに対して真剣な顔をして口を開いた。
「あの、サーヴォルトさん。信じて貰えないかも知れないけど、……今までの事、全部話します。」
ここまで色々とバレてしまっては、もうこれ以上隠す必要もないだろう。ティルミオとティティルナは、オデールが信用出来る大人だと判断して、ミッケが初めて喋った日から今日までの一連の事を、包み隠さず彼に説明したのだった。
ティルミオとティティルナは暴れるミッケをとっ捕まえて、二人揃って深々とオデールに頭を下げて謝罪した。
オデールはミッケに引っ掻かれた左頬をさすりながら、そんな二人の謝罪を受け入れると、物凄い困惑した顔でティティルナに抱き抱えられたミッケを見つめたのだった。
「……まぁ、貴方たちが悪い訳ではないですし、猫のしたことですし……。……猫……なんですよね……?」
姿は何処からどうみても三毛猫なのだが、果たして目の前のコレは、猫と呼べるのか。オデールは、ミッケという喋る猫の存在に混乱していた。
「はい、猫です!…………多分。」
「失礼にゃ!我はもっと高位な生き物にゃ!!」
「黙ってミッケ!更にややこしくなるから!!」
「猫……」
オデールは未知の生き物を見る様な目付きで、ミッケのことをじっと見つめている。彼はこの三毛猫をどの様に受け止めて良いか、決めかねているのだ。
「あの、もうお気付きかと思いますが……うちの猫、喋るんです!」
「成程、お宅の猫は喋るんですね……」
ティティルナが、”うちの猫、可愛いんです!”と、同じ様なノリで言う物だから、オデールはそれがさも当たり前の事で有るかの様に思えて納得しかけたが、彼の中の常識がその決断を阻んだ。だって普通猫は喋らないから。
「いや……猫って喋らないですよね?」
「うちの子は喋るんです!天才だから!」
「成程、天才だから喋るのですね。……って、そんな訳無いでしょう?!何なのですか、その生物は?!」
「うちの看板猫です!」
「猫な訳無いでしょう?!だって喋るんですよ?!」
「にゃーーーっ!!面倒臭い奴だにゃあ。我は我にゃ。お前は視野が狭いにゃ!!」
交互にミッケの事を猫だと言い張る兄妹に、オデールの混乱は深まっていった。目の前で喋ってる猫について、自分なりに納得出来る答えを出そうとしているのだが、理解の範疇を超える出来事に、どうしても思考が止まってしまうのだ。
「ねぇ、お兄ちゃん……サーヴォルトさん困ってるよ、どうしよう?」
「どうしようったって、他に説明しようが無いじゃ無いか。俺たちだってミッケが何なのか本当のところ分かってないんだし。」
先程からずっと困惑したままのオデールを、ティルミオとティティルナは心配そうに眺めたが、常識を手放してミッケを受け入れるかどうかは彼の問題である。
二人はどうしようもできなくて、黙って苦悩するオデールを見守ったが、やがて彼は、諦めた様に溜息を吐くと、静かにティティルナに向かって声を掛けたのだった。
「……分かりました。猫が喋ることについては、とりあえず考えるのを止めます。それよりも紙の製造方法です。俄には信じられないのですが、その、ティティルナさん。実演してもらっても良いですか?」
「あ、はい。分かりました。」
オデールは、ミッケについては深く考えるのを放棄して、取り敢えず、本来の問題であるカーステン兄妹が不正な事をしていないかどうかの確認を優先することにしたのだ。
声をかけられたティティルナは、オデールの申し出に頷くと、抱いていたミッケをティルミオに渡し、オデールから実演するようにと渡された古紙を一枚手に取った。そしてその紙を抱え込む様に胸に抱くと、目を閉じて集中して呪文を唱えた。
「再生練金」
それは一瞬の出来事で、オデールには何が起こったのか分からなかったが、ティティルナが持っていた紙が光ったと思ったら、次の瞬間、それは見事な上質の白紙になっていたのだった。
「錬金術……」
「そうにゃ!我がティニャに授けた力にゃ!!どうにゃ!慄くがいいにゃ!!」
思わず息を呑んで立ち尽くしてるオデールに対して、ミッケはティルミオの腕の中から偉そうにふんぞり返ると、自分の功績だと誇った。
「そう……ですね。この能力を自由に人に与えられる事が出来るなんて、なんて畏れ多い……」
オデールは、このミッケという三毛猫の姿をした高位生物がした事に、言われたとおり慄いてしまった。
錬金術という奇跡の力を、この猫が人間に好き勝手に付与出来るのだと言うのだから、それはもう、神の力ではないかと畏れを抱いてしまったのだ。
けれども、そんなオデールの思い込みは、ティルミオの一言であっさりと否定されたのだった。
「あ、いや。それは無理です。ティナが錬金術を貰ったのも偶然だし。」
「えっ……偶然……?」
「まぁ、役人さんが想像してる程、ミッケは万能じゃ無いって事ですよ。」
そして、ティルミオはティティルナと顔を見合わせてお互いに頷き合うと、オデールに対して真剣な顔をして口を開いた。
「あの、サーヴォルトさん。信じて貰えないかも知れないけど、……今までの事、全部話します。」
ここまで色々とバレてしまっては、もうこれ以上隠す必要もないだろう。ティルミオとティティルナは、オデールが信用出来る大人だと判断して、ミッケが初めて喋った日から今日までの一連の事を、包み隠さず彼に説明したのだった。
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