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37. クエスト完了
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「なぁジェラミー、俺、熊の胆嚢が薬の材料になるから高値で売れるって知り合いの漁師さんが言ってたの思い出したんだけど、魔物だけどコレも熊だよな?胆嚢売れないかな?」
ティルミオは皮剥ぎ作業をするジェラミーの後ろから、そんな事を声かけた。
先程鑑定眼で視たのだ。だから胆嚢がお金になる事は、確信があったのだ。
「胆嚢か……確かにそう言う薬があるって聞くな。けど無理だ。だってオレ内臓の中でどれが胆嚢か分からないから。」
「それは大丈夫!俺が分かるから。」
「マジか?!」
「マジだ!」
驚くジェラミーに対して得意そうにそう言うと、ティルミオは肉切り包丁を取り出して熊の毛皮を剥いでいるジェラミーの横に並んでしゃがんだ。胆嚢を取り出すのにそこが一番ちょうど良い位置なのだ。
そして右脇腹の光っている付近を傷付けないように、ティルミオは慎重に腹を開けていこうとしたのだが、ここで問題が発生してしまった。
「何だコレ?!硬っ!!」
そう、フォレストベアーの肉質が硬すぎてティルミオの力ではどうにもならなかったのだ。
仕方ないのでジェラミーが作業を変わって、彼が力任せに何とかその腹をこじ開けると、そこから赤くどす黒い内臓が顔を出したのだった。
「うっ……」
あまりの血生臭さにティルミオは思わず顔を背けた。家畜の解体の経験はあるが、やはり大量の血や臓器を見るのは慣れないのだ。
一旦目を逸らして、深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、ティルミオは気合を入れて腑分けを再開した。
「なぁ、魔物の肉って食えるのかな?」
「どうだろう?食った事ないけど、コイツは肉質が無茶苦茶硬かったから食べるのには適してないと思うぞ。」
ふとティルミオは腑分け作業中に、ミッケが肉が食べたいと言っていた事を思い出し、フォレストベアーを解体するのならその肉をミッケにやれないか思ったのだ。
けれどもジェラミーからの返事を聞いてその考えは諦めて、ティルミオは当初の目的の胆嚢だけを綺麗に取り出したのだった。
「……グロいな……」
手にした胆嚢を見て、思わずそう溢してしまった。内臓を手で掴むなんて事はそうそう無いので、ティルミオはなんだか気持ち悪くなってきていた。
「それが胆嚢なのか?」
「あぁ。そうだよ。」
臓器の見分けなんかつかないジェラミーは、それが本当に胆嚢なのかは分からないのでどこか訝しげであったが、ティルミオはコレが胆嚢だと言い切れた。
何故なら、手の上のこの臓器は光っているから。
「お前が凄いな。随分と博識なんだな。」
「ま、まぁね。任せてくれよ。」
「あぁ。頼もしいよ。お前と組んで本当に良かった。」
そう言って屈託のない笑顔を向けるジェラミーに対して、鑑定眼の事を隠しているティルミオは若干後ろめたい気持ちもあったが、そるでも素直に彼からの評価を嬉しかった。
「俺たち、上手くやっていけそうだな。」
「あぁ。オレが魔物討伐を倒すから、お前の知識を最大限に活かしてくれ!」
そう言って笑い合うと、それから二人は暫くの間黙々と解体作業を続けた。
そして辺りが暗くなりかけた頃になって遂に、その巨体から換金素材を全て剥ぎ取り終わったのだった。
「よし、大体解体も終わったし、帰るか。」
「あぁ。帰ろう。いやぁー流石に疲れたな。」
これだけの巨体の解体作業は中々の重労働なので、二人は疲労困憊といった感じで地面に座り込んでしまっていたが、「帰ろう」とお互いに声を掛け合うと、重い腰を上げて立ち上がった。……ジェラミーだけ。
「あ……あれ……?」
勿論ティルミオも立ち上がろうとしたのだが、しかし、ぐにゃん と、目の前が歪んで、彼は立ち上がる事が出来なかったのだ。
「大丈夫か?顔が真っ青だぞ。……まぁ最初はキツイよな。でもこの稼業をするなら、魔物の解体は避けて通れないから慣れるんだぞ。」
ジェラミーは、そんなティルミオの様子を、血生臭い解体作業を見たせいで、気持ちが悪くなったと勘違いしていた。しかし、実際は違ったのだ。
(コレは、アレか……これが魔力切れって奴か……)
そう、観察眼を使い過ぎて、ティティルナの様にティルミオも魔力切れを起こしてしまったのだ。
「大丈夫か?立てるか?」
「……いや、ちょっと無理かも……」
真っ青な顔で、ティルミオは完全にへばっていた。そんな動けそうにない彼の様子を察すると、ジェラミーはティルミオの前に背中を向けてしゃがみ込んだ。
「ほら、背負ってやるから乗れよ。家まで送ってやる。」
「……悪いが頼む……」
「気にするな。徐々に慣れていけば良いんだよ。」
そう言って全く嫌な顔をせずに爽やかに笑うジェラミーに対して、ティルミオは(マジで昨日食い逃げとか疑ってごめん……)と心の中で謝りながらジェラミーの背中に負ぶさって、彼の優しさに甘えた。
こうして、ティルミオの初めてのクエストは、ジェラミーに背負われて帰宅するという最後が少し格好つかなかったものの、怪我もなく無事に終える事が出来たのだった。
ティルミオは皮剥ぎ作業をするジェラミーの後ろから、そんな事を声かけた。
先程鑑定眼で視たのだ。だから胆嚢がお金になる事は、確信があったのだ。
「胆嚢か……確かにそう言う薬があるって聞くな。けど無理だ。だってオレ内臓の中でどれが胆嚢か分からないから。」
「それは大丈夫!俺が分かるから。」
「マジか?!」
「マジだ!」
驚くジェラミーに対して得意そうにそう言うと、ティルミオは肉切り包丁を取り出して熊の毛皮を剥いでいるジェラミーの横に並んでしゃがんだ。胆嚢を取り出すのにそこが一番ちょうど良い位置なのだ。
そして右脇腹の光っている付近を傷付けないように、ティルミオは慎重に腹を開けていこうとしたのだが、ここで問題が発生してしまった。
「何だコレ?!硬っ!!」
そう、フォレストベアーの肉質が硬すぎてティルミオの力ではどうにもならなかったのだ。
仕方ないのでジェラミーが作業を変わって、彼が力任せに何とかその腹をこじ開けると、そこから赤くどす黒い内臓が顔を出したのだった。
「うっ……」
あまりの血生臭さにティルミオは思わず顔を背けた。家畜の解体の経験はあるが、やはり大量の血や臓器を見るのは慣れないのだ。
一旦目を逸らして、深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、ティルミオは気合を入れて腑分けを再開した。
「なぁ、魔物の肉って食えるのかな?」
「どうだろう?食った事ないけど、コイツは肉質が無茶苦茶硬かったから食べるのには適してないと思うぞ。」
ふとティルミオは腑分け作業中に、ミッケが肉が食べたいと言っていた事を思い出し、フォレストベアーを解体するのならその肉をミッケにやれないか思ったのだ。
けれどもジェラミーからの返事を聞いてその考えは諦めて、ティルミオは当初の目的の胆嚢だけを綺麗に取り出したのだった。
「……グロいな……」
手にした胆嚢を見て、思わずそう溢してしまった。内臓を手で掴むなんて事はそうそう無いので、ティルミオはなんだか気持ち悪くなってきていた。
「それが胆嚢なのか?」
「あぁ。そうだよ。」
臓器の見分けなんかつかないジェラミーは、それが本当に胆嚢なのかは分からないのでどこか訝しげであったが、ティルミオはコレが胆嚢だと言い切れた。
何故なら、手の上のこの臓器は光っているから。
「お前が凄いな。随分と博識なんだな。」
「ま、まぁね。任せてくれよ。」
「あぁ。頼もしいよ。お前と組んで本当に良かった。」
そう言って屈託のない笑顔を向けるジェラミーに対して、鑑定眼の事を隠しているティルミオは若干後ろめたい気持ちもあったが、そるでも素直に彼からの評価を嬉しかった。
「俺たち、上手くやっていけそうだな。」
「あぁ。オレが魔物討伐を倒すから、お前の知識を最大限に活かしてくれ!」
そう言って笑い合うと、それから二人は暫くの間黙々と解体作業を続けた。
そして辺りが暗くなりかけた頃になって遂に、その巨体から換金素材を全て剥ぎ取り終わったのだった。
「よし、大体解体も終わったし、帰るか。」
「あぁ。帰ろう。いやぁー流石に疲れたな。」
これだけの巨体の解体作業は中々の重労働なので、二人は疲労困憊といった感じで地面に座り込んでしまっていたが、「帰ろう」とお互いに声を掛け合うと、重い腰を上げて立ち上がった。……ジェラミーだけ。
「あ……あれ……?」
勿論ティルミオも立ち上がろうとしたのだが、しかし、ぐにゃん と、目の前が歪んで、彼は立ち上がる事が出来なかったのだ。
「大丈夫か?顔が真っ青だぞ。……まぁ最初はキツイよな。でもこの稼業をするなら、魔物の解体は避けて通れないから慣れるんだぞ。」
ジェラミーは、そんなティルミオの様子を、血生臭い解体作業を見たせいで、気持ちが悪くなったと勘違いしていた。しかし、実際は違ったのだ。
(コレは、アレか……これが魔力切れって奴か……)
そう、観察眼を使い過ぎて、ティティルナの様にティルミオも魔力切れを起こしてしまったのだ。
「大丈夫か?立てるか?」
「……いや、ちょっと無理かも……」
真っ青な顔で、ティルミオは完全にへばっていた。そんな動けそうにない彼の様子を察すると、ジェラミーはティルミオの前に背中を向けてしゃがみ込んだ。
「ほら、背負ってやるから乗れよ。家まで送ってやる。」
「……悪いが頼む……」
「気にするな。徐々に慣れていけば良いんだよ。」
そう言って全く嫌な顔をせずに爽やかに笑うジェラミーに対して、ティルミオは(マジで昨日食い逃げとか疑ってごめん……)と心の中で謝りながらジェラミーの背中に負ぶさって、彼の優しさに甘えた。
こうして、ティルミオの初めてのクエストは、ジェラミーに背負われて帰宅するという最後が少し格好つかなかったものの、怪我もなく無事に終える事が出来たのだった。
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♢♢♢
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