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11. 令嬢、慰められる4
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「お前宛にね、何通か手紙が届いてるんだよ。読むかい?」
そう言って、アルバートは懐から三通の封書を取り出した。
「私に届いた手紙ならば読むのは当たり前でしょう?一体どなたからですか?」
アイリーシャは兄の不思議な言い回し方を怪訝に思ったが、その事には深く触れず、アルバートが手に持つ三通の封書に目をやった。
「ここにあるのは、
ロアンダ侯爵家のショーン様
ユベール侯爵家のアルヴァン様
エイモズ侯爵家のギュスターヴ様
以上3名からの手紙だ。」
「……誰ですの……?」
兄の口から出たのは、全く存じ上げない方の名前だったのだ。
いや、名前位は聞いたことがあるものの、面識が全くないというのが正しい。そのような殿方からの手紙にアイリーシャは困惑した。
見て取れるほど困惑している妹を前にしても、アルバートは構わずに続けた。
「余りにも届く手紙が多いのでね、こちらで少し選別させてもらったよ。だからとりあえずはこの3通。まぁ、読んでみたら分かるよ。」
そう言ってアルバートは妹に持っていた手紙を手渡した。
そして、兄に促されてアイリーシャは3通の手紙に目を通してみたのだが、その手紙は3通とも似たり寄ったりな文面で、要約すると
夜会で見かけたアイリーシャの容姿に惹かれた。
お近付きになりたかったが王太子殿下の婚約者候補ということで、近寄れなかった。
婚約者候補ではなくなったアイリーシャと交流が持ちたい。
このような事が三者三様の言葉で綴られていたのだった。
「お兄様、私頭が痛くなってまいりました……」
見知らぬ方からのアプローチに、戸惑うしかなかった。自身の想像の範疇になかった事態に、アイリーシャは軽く目眩さえ覚えた。
「これからもっと、こういうのが届くと思うよ。」
兄は真顔で告げる。
「いいかいリーシャ。お前は余り分かってないようだけども、公爵家に所縁のある王太子の婚約者候補だった侯爵令嬢っていうのはね、非常に政治的価値が高いんだよ。」
だから、お前とお近づきになりたいと思ってる男が、必死にお前の興味を惹こうとあれやこれやと仕掛けてくるのだと兄が教えてくれた。
「そのようなものなのでしょうか?それに、お兄様のおっしゃる通りならば、私自身というより、皆様私の肩書きに魅力を感じているみたいだわ。」
(お前は見目麗しいから、お前自身…お前の外見に惚れている男性は結構居るけどね。)
アルバートはあえて、そこは言わないでいた。
「貴族の婚姻なんて、大なり小なり思惑があるものだよ。ただ兄としては可愛い妹には幸せになって欲しいから、良くない噂がある奴は選別してるよ。リーシャ、君は今選べる立場なんだから、少しでも好きになれそうな人を選ぶと良いよ。」
貴族の家の娘に生まれたからには、自身が自由に婚姻できるとは思っていなかった。家と家との結びつきが重要視される貴族の婚姻で、アイリーシャもいずれはどこか家柄の良い公子に嫁ぐだろうことは分かっていた。
しかし、王太子殿下の婚約者候補から外れてわずか数日で、面識のない殿方からの沢山のお誘いが届くこの環境の変化には戸惑うしかなかった。
「この中から選ばなければいけないのでしょうか?」
事態について行けず、アイリーシャはおそるおそる兄に尋ねると、アルバートは実に呆気なくそれを否定したのだった。
「いいや、全然。」
平然と兄がそう即答したので、アイリーシャはいささか拍子抜けして、そして安堵した。
「リーシャが気乗りしないなら断っても良いよ。この手の話はこれからどんどん届くだろうしね、今回リーシャが気にいる人がいなくても、また次があるからね。」
兄がそう言ってくれて、アイリーシャはホッとした。正直、急な展開について行けないでいたからだ。
「それでしたら、今回は全てお断りさせてください。」
そう言って目の前の妹が頭を下げたので、アルバートは彼女に渡した三通の封書を引き取った。
「承知したよ。それならば今回は全てこちらで断っておくよ。」
妹を安心させる為に、彼は柔かに微笑みかけた。
(まぁ、こちらは初めから断るだろうなと思ってたからね。本題はこれからだよ。)
表情を1ミリも変えずアルバート優しく微笑んでいたのでアイリーシャは全く気付いていなかったが、彼は目論見通りに次の本題へと事を進めていたのだ。
「それより、これとは別件で僕はもう1通お前に手紙を持ってきたよ。メイフィール家のミハイル様からだ。」
そう言って、アルバートは一通の封筒を取り出して、アイリーシャに手渡した。
「こっちはなんと花束付きだよ。」
そう言うと、アルバートは自分の従者を呼んだ。すると、ドアの外に待機させていたアルバートの従者ヨリクが花束を持って現れて、その手に持つ薔薇のミニブーケをアイリーシャに手渡したのだった。
「まぁ、ミハイル様が私にこれを?!」
色鮮やかな深紅の薔薇の可愛らしいミニブーケにアイリーシャは目を見張った。それから、兄から渡された手紙に目を通す。
~~~
アイリーシャ・マイヨール様
その後、お加減は如何でしょうか?
お贈りした薔薇は、我が家の庭に今咲いているものです。
見事に咲き誇っている我が家の薔薇を一度見にいらっしゃいませんか。
優美な我が家の薔薇園をみれば、貴女の心の慰めになるかと思います。
ミハイル・メイフィール
~~~
「まぁ、ミハイル様がここまで私を気遣ってくださるなんて、思いもよらなかったわ。本当に律儀な方ですわね。」
手紙を読み終えて、アイリーシャはただただミハイルの人となりを感心した。
そのような妹の様子をアルバートは残念そうに見つめた。
(違う、そうじゃない。)
そう思ってはいたが、彼は心の中を声には出さずに、別の言葉を紡いだ。
「確か、メイフィール家の薔薇園は華やかで美しく、我が国の中でも一二を争う庭園だと評判だからね。そうそう見れる機会なんてないし、良いお誘いじゃないか。」
「えぇ。丁度良かったですわ、もう直ぐこの刺繍が出来上がるのですが、どのようにお渡ししようかと迷っていましたの。ですが、お家にご招待されたのならば直接お礼が渡せますわね。」
ミハイルからの誘いに、前向きなアイリーシャを見て、アルバートは内心ほくそ笑んだ。
「そうか。じゃあミハイル様にはお前が返事を書くんだぞ。その他のお断りの文は僕が引き受けてあげるよ。」
「有難うございますお兄様。」
面倒な事は兄が引き受けてくれたので、アイリーシャは気が楽になり、腕の中にある薔薇の花を再び愛でた。そして、侍女に指示を出す。
「エレノア、この薔薇を生けてくれないかしら?」
「かしこまりました。」
エレノアは薔薇を受け取り、花瓶に生けるために部屋を出て行く。
退出する時に、アイリーシャの側に立っているアルバートをチラリと盗み見た。
(恐ろしい人だ……)
今回の件、アイリーシャがミハイルの誘いを受け入れやすくする為に、あえて最初に見ず知らずの御人からの招待を見せたのだろう。
その流れで次の別件と言うことで、他の誘いとは意味合いが違うと印象付けて、結果アイリーシャは実に自然にミハイルに対してだけ良い返事をすることとなったのだ。
(まぁ、この方が次期侯爵だと思えばマイヨール家は安泰だわね……)
強引な所があるが、アルバートがアイリーシャの事をとても可愛がっているのはエレノアもよく分かっている。
だからきっと彼の策略は、単に公爵家の繋がりを求めるだけではなくてお嬢様の為でもあるのだろう。
そんな事を考えながら、エレノアは薔薇の花束を持って部屋を出て行った。
そう言って、アルバートは懐から三通の封書を取り出した。
「私に届いた手紙ならば読むのは当たり前でしょう?一体どなたからですか?」
アイリーシャは兄の不思議な言い回し方を怪訝に思ったが、その事には深く触れず、アルバートが手に持つ三通の封書に目をやった。
「ここにあるのは、
ロアンダ侯爵家のショーン様
ユベール侯爵家のアルヴァン様
エイモズ侯爵家のギュスターヴ様
以上3名からの手紙だ。」
「……誰ですの……?」
兄の口から出たのは、全く存じ上げない方の名前だったのだ。
いや、名前位は聞いたことがあるものの、面識が全くないというのが正しい。そのような殿方からの手紙にアイリーシャは困惑した。
見て取れるほど困惑している妹を前にしても、アルバートは構わずに続けた。
「余りにも届く手紙が多いのでね、こちらで少し選別させてもらったよ。だからとりあえずはこの3通。まぁ、読んでみたら分かるよ。」
そう言ってアルバートは妹に持っていた手紙を手渡した。
そして、兄に促されてアイリーシャは3通の手紙に目を通してみたのだが、その手紙は3通とも似たり寄ったりな文面で、要約すると
夜会で見かけたアイリーシャの容姿に惹かれた。
お近付きになりたかったが王太子殿下の婚約者候補ということで、近寄れなかった。
婚約者候補ではなくなったアイリーシャと交流が持ちたい。
このような事が三者三様の言葉で綴られていたのだった。
「お兄様、私頭が痛くなってまいりました……」
見知らぬ方からのアプローチに、戸惑うしかなかった。自身の想像の範疇になかった事態に、アイリーシャは軽く目眩さえ覚えた。
「これからもっと、こういうのが届くと思うよ。」
兄は真顔で告げる。
「いいかいリーシャ。お前は余り分かってないようだけども、公爵家に所縁のある王太子の婚約者候補だった侯爵令嬢っていうのはね、非常に政治的価値が高いんだよ。」
だから、お前とお近づきになりたいと思ってる男が、必死にお前の興味を惹こうとあれやこれやと仕掛けてくるのだと兄が教えてくれた。
「そのようなものなのでしょうか?それに、お兄様のおっしゃる通りならば、私自身というより、皆様私の肩書きに魅力を感じているみたいだわ。」
(お前は見目麗しいから、お前自身…お前の外見に惚れている男性は結構居るけどね。)
アルバートはあえて、そこは言わないでいた。
「貴族の婚姻なんて、大なり小なり思惑があるものだよ。ただ兄としては可愛い妹には幸せになって欲しいから、良くない噂がある奴は選別してるよ。リーシャ、君は今選べる立場なんだから、少しでも好きになれそうな人を選ぶと良いよ。」
貴族の家の娘に生まれたからには、自身が自由に婚姻できるとは思っていなかった。家と家との結びつきが重要視される貴族の婚姻で、アイリーシャもいずれはどこか家柄の良い公子に嫁ぐだろうことは分かっていた。
しかし、王太子殿下の婚約者候補から外れてわずか数日で、面識のない殿方からの沢山のお誘いが届くこの環境の変化には戸惑うしかなかった。
「この中から選ばなければいけないのでしょうか?」
事態について行けず、アイリーシャはおそるおそる兄に尋ねると、アルバートは実に呆気なくそれを否定したのだった。
「いいや、全然。」
平然と兄がそう即答したので、アイリーシャはいささか拍子抜けして、そして安堵した。
「リーシャが気乗りしないなら断っても良いよ。この手の話はこれからどんどん届くだろうしね、今回リーシャが気にいる人がいなくても、また次があるからね。」
兄がそう言ってくれて、アイリーシャはホッとした。正直、急な展開について行けないでいたからだ。
「それでしたら、今回は全てお断りさせてください。」
そう言って目の前の妹が頭を下げたので、アルバートは彼女に渡した三通の封書を引き取った。
「承知したよ。それならば今回は全てこちらで断っておくよ。」
妹を安心させる為に、彼は柔かに微笑みかけた。
(まぁ、こちらは初めから断るだろうなと思ってたからね。本題はこれからだよ。)
表情を1ミリも変えずアルバート優しく微笑んでいたのでアイリーシャは全く気付いていなかったが、彼は目論見通りに次の本題へと事を進めていたのだ。
「それより、これとは別件で僕はもう1通お前に手紙を持ってきたよ。メイフィール家のミハイル様からだ。」
そう言って、アルバートは一通の封筒を取り出して、アイリーシャに手渡した。
「こっちはなんと花束付きだよ。」
そう言うと、アルバートは自分の従者を呼んだ。すると、ドアの外に待機させていたアルバートの従者ヨリクが花束を持って現れて、その手に持つ薔薇のミニブーケをアイリーシャに手渡したのだった。
「まぁ、ミハイル様が私にこれを?!」
色鮮やかな深紅の薔薇の可愛らしいミニブーケにアイリーシャは目を見張った。それから、兄から渡された手紙に目を通す。
~~~
アイリーシャ・マイヨール様
その後、お加減は如何でしょうか?
お贈りした薔薇は、我が家の庭に今咲いているものです。
見事に咲き誇っている我が家の薔薇を一度見にいらっしゃいませんか。
優美な我が家の薔薇園をみれば、貴女の心の慰めになるかと思います。
ミハイル・メイフィール
~~~
「まぁ、ミハイル様がここまで私を気遣ってくださるなんて、思いもよらなかったわ。本当に律儀な方ですわね。」
手紙を読み終えて、アイリーシャはただただミハイルの人となりを感心した。
そのような妹の様子をアルバートは残念そうに見つめた。
(違う、そうじゃない。)
そう思ってはいたが、彼は心の中を声には出さずに、別の言葉を紡いだ。
「確か、メイフィール家の薔薇園は華やかで美しく、我が国の中でも一二を争う庭園だと評判だからね。そうそう見れる機会なんてないし、良いお誘いじゃないか。」
「えぇ。丁度良かったですわ、もう直ぐこの刺繍が出来上がるのですが、どのようにお渡ししようかと迷っていましたの。ですが、お家にご招待されたのならば直接お礼が渡せますわね。」
ミハイルからの誘いに、前向きなアイリーシャを見て、アルバートは内心ほくそ笑んだ。
「そうか。じゃあミハイル様にはお前が返事を書くんだぞ。その他のお断りの文は僕が引き受けてあげるよ。」
「有難うございますお兄様。」
面倒な事は兄が引き受けてくれたので、アイリーシャは気が楽になり、腕の中にある薔薇の花を再び愛でた。そして、侍女に指示を出す。
「エレノア、この薔薇を生けてくれないかしら?」
「かしこまりました。」
エレノアは薔薇を受け取り、花瓶に生けるために部屋を出て行く。
退出する時に、アイリーシャの側に立っているアルバートをチラリと盗み見た。
(恐ろしい人だ……)
今回の件、アイリーシャがミハイルの誘いを受け入れやすくする為に、あえて最初に見ず知らずの御人からの招待を見せたのだろう。
その流れで次の別件と言うことで、他の誘いとは意味合いが違うと印象付けて、結果アイリーシャは実に自然にミハイルに対してだけ良い返事をすることとなったのだ。
(まぁ、この方が次期侯爵だと思えばマイヨール家は安泰だわね……)
強引な所があるが、アルバートがアイリーシャの事をとても可愛がっているのはエレノアもよく分かっている。
だからきっと彼の策略は、単に公爵家の繋がりを求めるだけではなくてお嬢様の為でもあるのだろう。
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