上 下
17 / 50
第1章 転生

13話 加護

しおりを挟む
 偽装にホッとしたジンはまだ気になる加護についてレイに尋ねた。

『レイ、そう言えば加護ってあったけど、神様達の加護ってことは何か良い効果があったりするのか?』

『神様からにしろ精霊からにしろ、加護にはそれなりの恩恵があります。まず始神様の加護ですが、状態異常耐性レベル増加・心身異常耐性レベル増加・魔法の全属性適応などです。そしてゴドー様の加護はスキル【自動回復】の付与、そして【偽装】Maxになります』

『そんなに良い物なんだ。こんど教会に行くときはお供物をたくさん持っていくことにしようかな』

『はい、とてもお御喜びになると思いますよ』

「あれ、こんなのもある」

話ながらスキルの内容に目を通して詳細を確認していると昔憧れた二刀の文字があった。二刀流のように2つの剣を同時に使えるスキルのようだ。
その後には投擲術の文字もあったので、盗賊に投げた薪が正確に当たったのはこれのおかげだなと思いながらもスキルやユニークスキルの多さに疑問を感じた。

『俺のもらったスキルとユニークスキルが普通じゃないというのは分かるけど、普通の冒険者はいくつくらいユニークスキルを持っているんだ?』

『ユニークスキルを持っている冒険者はほとんどが高ランクですが、その高ランクの冒険者でもユニークスキルを複数持つものはほとんどいません』
 
『他の人に知られるとトラブルに巻き込まれるかな?』

『可能性は高いと思われます』

『かつて、ユニークスキルを持っている事を理由にトラブルに巻き込まれた者はいたのかな?』

『複数のユニークスキルを持っているのを知られた者はほぼなんらかのトラブルに巻き込まれています』

『そうか、気をつけたほうがいいな。俺の場合はバレたら間違いなくトラブルに巻き込まれる』

『人には話さない事をお勧めします』

レイと話していてアイテムボックスの使い方を知らない事を思い出した。

『レイ、アイテムボックスの使い方を教えてくれ』

『アイテムボックスのスキルを持つものは意識することで物の出し入れや中に入っている物を認識することができますが、慣れない間はストレージウィンドウを使えば簡単に出し入れできます。
ストレージウィンドウの右側に透明な部分がありますのでその部分の中に見えるターゲットをタッチすると、名前が出ますので名前の下の○をタッチすれば収納され、×をタッチすればキャンセルされます。
収納されるとストレージウィンドウに名前が表示され、確認したり状態維持の設定ができたりします。
大量に同じ物があると場合や一纏めにしたい物がある場合はストレージウィンドウでフォルダーを作成できますので分類する事ができます』

(ストレージウィンドウ)

目の前にウィンドウが開いたので右側の透明な部分から石を見ながらタッチした。
すると画面上に石と表示されたので○にタッチすると地面の上から石が消えた。
ストレージウィンドウを見るとそこには[始神]と書かれたフォルダーと石が表示されていた。

(この[始神]って書かれているフォルダーは何だろう?)と思いタッチしてみるとフォルダーが開かれ、大量の物資が表示された。

金        35t
銀       281t
鉄      4265t
銅        1805t
錫       156t
プラチナ     25t
ニッケル    183t
アクアマリン 3259個
エメラルド  2147個
サファイア  1056個
ダイアモンド  728個
ルビー    3825個
トパーズ   2268個
コショウ     21t
シナモン     16t
ナツメグ      8t
クローブ     11t
コーヒー豆     8t
紅茶        2t
砂糖        3t
塩         2t
絹織物     500反
綿織物     500反
陶器花瓶   1215個
陶器水差し   503個
陶器皿    3131枚
陶器紅茶ポット 571個
陶器紅茶カップ1231個
ガラス製コップ3764個
クリスタルグラス351個
ワイン   2000本
宝箱

『レイ、なんでこんなに沢山の物が俺のアイテムボックスに入っているんだ?』

『始神様のストレージに長い間入っていた物です。
このまま死蔵してしまうくらいなら、あなたに与えた方が役に立つだろうと始神様がアイテムボックスに入れてくださいました』

『始神様が入れてくださったのか、大切に使わせていただこう。
それにしても、金銀財宝に陶器やワインなんてまるで沈没船から出てきた宝みたいだな』

『これらはバミューダ海域で沈んだ船の荷物だった様です』

『なるほど、本当に沈没船のお宝だったんだ』と納得しながら見ていると宝箱が表示されていた。

(宝箱?中身もあるのかな?)

中身を見ようと宝箱という文字に触れてみると、〈開ける為の条件が整っていません〉と吹き出しの様な表示が現れた。

『レイ、この中身はどうやったらみることができるんだ?』

特定の条件が整うまでは開かない様な設定になっていますが、その条件は不明です』

『そうなんだ。良いものが入っていると良いけど、条件が整うのを楽しみにして放置だな』

(アイテムボックスやマジックバッグをもらったのは良いがこれって普通じゃないよな。
そうだとすると、見られても大丈夫なのはどっちか確認しておこう)

『レイ、他の人から見られても大丈夫なのはアイテムボックスとマジックバッグのどっちかな』

『人に見られても大丈夫なのはマジックバッグです。
アイテムボックスは固有スキルで所有する者は転生者や転移者なので人に知られない方が良いと思われます』

『マジックバッグを持っている人って沢山いるの?』

『マジックバッグやマジックポーチは材料が揃えば作成可能なアイテムですので、沢山存在します』

『わかった、アイテムボックスよりマジックバッグの方が騒ぎにならないんだね、必要なものはできるだけマジックバッグに移し替えておこう』

『ただ、ゴドー様に頂いたマジックバッグは容量がとても大きく状態維持の効果まであります、このような物は他にありませんので容量は秘密にした方が良いと思われます』

『このバッグも非常識な物なのか』

『はい、この容量の物は世界に数個しかありません。非常識な存在のジン様が持つにふさわしいマジックバックだと思います』

『非常識! 俺って非常識な存在なんだ!!』

『はい、レベル1でこのステータスは非常識としか言いようがありません。そのマジックバッグも世界に類がないアイテムです』

『そうなんだ、非常識なんだ。わかったよ、気をつけて使うよ。
それで、アイテムボックスから取り出す方法を教えてくれるかい?』

『取り出す方法は慣れれば意識することによって自由に取り出せるようになりますが、ストレージウィンドウでも取り出せます。
左のアイテム欄から右のウィンドウにドラッグ・ドロップすればウィンドウの中に見えた場所に取り出せます』

『度々すまないね、ありがとう』

『いつでもどうぞ、それでは失礼します』

やっと使い方が分かったのでマジックバッグの中身を移し始めた。

マジックバッグの中で掴んでそのままアイテムボックスに入れようと意識すると問題なく移せた。

  (この手が使えるなら人に見られずにマジックバッグの中身をアイテムボックスに移せる。
   アイテムボックスを持っているのは知られたくないから、これからは物を出すときはマジックバッグに移してそこから出すことにしよう)

 アイテムボックスとマジックバッグの使い方がわかったので、中身を少し整理してギルド登録に出かける準備を始めた。
部屋を出て下に降りると、アンナちゃんが買い出しから戻っていて、店の床掃除をしていた。

「お、偉いね」

「ありがとー、いっぱい綺麗にしてお客さんが嬉しくなってくれるといいなと思って頑張ってるの」

「そうなんだ、今から出かけるからお土産を買って帰ってあげよう」

「わーい、もっとピカピカにしとくね」

「それじゃぁ行ってくる」

「いってらっしゃーい」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

処理中です...