曖-昧-多-色

無いんテール -曖昧な言葉-

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私はきっと、純粋な人間とは言えないだろう。ある程度年を重ねれば誰だって現実に直面し、闇を知り、黒くなっていく。

だからといって過去に戻ってやり直したいと思わないのは損得の判断、いやそれ以前に現実を見たのだろう。かなわない夢を見ている暇はないと。ところで私はどうしてこんなネガティブ的な回想をしているのかというと、それは決してもともとそんな人だったからというオチ(？)ではなく、小さい頃のアルバムを家族と見ていたのがきっかけだ。

「優理は昔っから友達が多いわねぇ。」

昔の友達を指さして言った。私はこの子にいい思い出を持っていない。悪い思い出が頭を駆け巡った。その時は私が悪いんだと納得していた。それを純粋というなら純粋なんてただの馬鹿かもしれないと思う。

いつかの保健体育で習ったように私はまだ社会的に弱いのだった。(その社会的は子供の世界の話ではないと思うが。)いや、今ではなくそれは以前の話だ。

ともかく私はその時現実を知った。私の場合はその時だった。果たしてそれが遅いのか早いのか。最も、知ったと分かったのはつい最近なのだけれど。それもまた、皮肉な話だったのかその方が救われたのか私の天秤では分からない話だ。

「この子は―確か要ちゃんだった気がするんだけど。」

「うん。あ、いや、そっちの子じゃなくて最初にお母さんが指さしてた子が要だよ。」

うっかりいつもの癖でもうとっくの間にお手の物にした適当な返答をしてしまう所だった。(お手の物にしてはいけないような…。)

要なんて名前、正直思い出したくもなかったけれど。

スラッとしてて、お金持ちで、美人で、婚約者募集中なんて。私は全然そこに魅力を感じなかったが。周りは強そうな人の見方をした。楽をした。まあ、結局のところ強いは正義だった。強い＝正義ならば、弱い＝不義なのだろうか。私は―、それが嫌だった。

けれど、要の立場が羨ましかった。嫌いなのに羨ましいなんて矛盾してる。そんな自分にも嫌気が差していた。今なら、嫌いだと思う自分も居るし、羨ましいと思う自分も居る。その全てが自分だから全て受け入れるべきだ、なんて論点をずらして自分を強引に納得させるのも難しくは無いだろう。

こんな回想から何となくそれっぽく話せばなるほどーと頷いてしまう、曖昧な私の悪い癖が露見してしまうだろうけど。