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プロローグ
第8話
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「ちょっと待って! 私と結婚してください!!」
剣士が刀身を鞘から抜くよりも先に、私は言葉を発していた。
その顔は、あまりにも反則的にカッコ良いかったから。
――これが、小説でよくある『運命の恋』なんだわ!
でも、彼らからしてみれば、怪物の咆哮にしか聞こえなかったようで。
慌てて逃げていく様子から 手に取るようにわかってしまう...。
(分かっては、いるのだけど……)
――女子に、それの対応はないでしょ!?
「ちょっと、待ってよ! こんなところに 女子高生が いるのよ!」
私は、追いかけた。それはもう、ぜんりょくで!
――ただ、このベリオソス(4mを超える大きな体)は 遅い。
ゾウのように、ゆっくりとした動作だった。
それでも『魔法の泉』のおかげで、小型犬くらいの速さで走れている、と思う。
……なのに、彼らは必死で逃げていく。
私たちの距離は、どんどんと離れていく。
「バケモノめ」
「ひぇー、おたすけー」
「おれを食べても、美味しくねぇーぞー」
最後のことばは、ちょっぴり心をえぐった。
言葉は通じていなかった、と思いたいです...。
でも、こんなところで 独りきりは 絶対にイヤだ。
――私も必死で追いかけた。
でも、彼らは魔法を使って消えてしまったのです。
あぁ。もう、追いかけようがない。
私は、消えてしまった剣士様の残り香を嗅ぎつつ、途方に暮れていく。
◇ つづく...
剣士が刀身を鞘から抜くよりも先に、私は言葉を発していた。
その顔は、あまりにも反則的にカッコ良いかったから。
――これが、小説でよくある『運命の恋』なんだわ!
でも、彼らからしてみれば、怪物の咆哮にしか聞こえなかったようで。
慌てて逃げていく様子から 手に取るようにわかってしまう...。
(分かっては、いるのだけど……)
――女子に、それの対応はないでしょ!?
「ちょっと、待ってよ! こんなところに 女子高生が いるのよ!」
私は、追いかけた。それはもう、ぜんりょくで!
――ただ、このベリオソス(4mを超える大きな体)は 遅い。
ゾウのように、ゆっくりとした動作だった。
それでも『魔法の泉』のおかげで、小型犬くらいの速さで走れている、と思う。
……なのに、彼らは必死で逃げていく。
私たちの距離は、どんどんと離れていく。
「バケモノめ」
「ひぇー、おたすけー」
「おれを食べても、美味しくねぇーぞー」
最後のことばは、ちょっぴり心をえぐった。
言葉は通じていなかった、と思いたいです...。
でも、こんなところで 独りきりは 絶対にイヤだ。
――私も必死で追いかけた。
でも、彼らは魔法を使って消えてしまったのです。
あぁ。もう、追いかけようがない。
私は、消えてしまった剣士様の残り香を嗅ぎつつ、途方に暮れていく。
◇ つづく...
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