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2章 広がる世界
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しおりを挟むその後、やっとフェルマンの部隊と合流ができた。
「殿下!!遅くなりました!ご無事ですか!!」
フェルマンがノーマンの元に駆け寄るがノーマンが片手でフェルマンの歩みを止めた。
「あまり近づくな、ナオトが瘴気にやられてる。」
ノーマンがぐったりうなだれるナオトを抱き上げて立ち上がる。
「大丈夫ですか?」
フェルマンは少し歯がゆそうにしながらもその言葉にしたがって少しノーマンから離れた。
「さっきまではなんとか気力でもってたんだがな。急に熱があがりはじめた。」
「意識は?」
フェルマンがそう聞く。
「ナオト?」
ノーマンがそう聞けばかろうじてそれに反応してその瞼をあけた。
「……大丈夫。」
そういうその声も少し熱っぽい。
「周辺警戒は他の隊員がやってくれています。とにかく船の中で手当てしましょう。」
フェルマンがそう言って船から降ろされたロープを手に取る。
「殿下、ナオトくん抱えていけますか?」
「大丈夫だ。」
ノーマンはロープの足掛けに足を置いてナオトを片手で抱え直す。
フェルマンはその様子をうかがい、船の上に合図をおくった。
「私はしばらく他の隊員をまとめるために外に居ますので、……ニコラス様を呼んだほうがいいのでは?」
そう提案するフェルマンにノーマンは苦い顔をする。
「仕方ないな……龍族のことはあいつが詳しいからな……とりあえず他の隊員のことは頼んだ。」
ノーマンはそれだけ伝えるとそのままグンッと上へと引き上げられていった。
ノーマンは船の自室に入るとナオトをベッドに寝かせる。
「ナオト、ちょっと服を脱がせるぞ?」
そう聞けば朦朧とした様子でかろうじてうなずきがかえってきた。
ノーマンはナオトの腰のベルトをゆるめ、上の服とズボンをさっと脱がしてナオトを肌着だけにすると近くのラックに服をかけた。
「熱いな……」
ノーマンはナオトの額に手をあて、瘴気に侵された肌を伺う。
身体のあちこちが黒くくすんだアザのようになっていた。
「ナオト、ちょっと待ってろ。」
ノーマンが立ち上がって部屋を出ようとしたとき、ちょうど部屋のドアをノックした者がいた。
「殿下、失礼します。」
そこには手袋で素肌を完全に防備したリュシュがいた。
「副長に聞きました。しばらくは俺が診てますからヴィクセン殿に連絡してきてください。」
「気をつけてくれ。素肌に直接触れなければ大丈夫とは言え、それなりに瘴気も強いから。」
「心得てます。大丈夫ですから、殿下はお早く。」
リュシュがそう言って促すのでノーマンはとにかくその場は任せて部屋をあとにした。
変わりにリュシュが部屋にのこり、水で冷やしたタオルをナオトの額にあてた。
「……あれ?」
瞼をあけたナオトがリュシュを見て声を上げた。
「動くな、とにかくおまえは寝てろよ。」
そう言って身体を起こしかけたナオトの身体をリュシュはベッドに戻した。
「……なんで?」
苦しそうに息をつきながらもリュシュがその場にいるのが不思議でナオトが首をかしげる。
「仕事だからな、とりあえず黙って今は寝ろ。」
リュシュは一言ぶっきらぼうにそういって近くにあった椅子に座った。
そんなリュシュをナオトがジッと見つめる。
「……なんだよ。」
それに少し居た堪れなくなってリュシュが聞く。
「……聞いてもいい?」
「……なにを。」
「なんで……おれと話してくれないの?」
「話してるだろ……今。」
ぶっきらぼうにリュシュはそう応えながらナオトの額からタオルをとって水で冷やすと少し乱暴にまたナオトの額にタオルをもどした。
「いいから寝ろって!」
リュシュが強くそういうのでナオトもそれ以上は口を開かずにいればいつのまにか眠っていた。
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