バウンダリ-ソート ―WITCH HUNT―

ナカムラ

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どちらか負けるまでソート師として永遠の勝負

男魔女ヘンス再び(ワイアット視点)

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 私とテミーは、普通の魂ばかりに出会い、仕方なく、ディヴァイド師マシュー・トレースに魂を送り続けた。

 私は、テミーに愚痴を言った。
「全然、魔女に会えんな。なぁ、テミー」
テミーは、私に何か言いたげだったが顔を反らして、相づちを打った。
「……そうだな」

 私は、テレポートサークルを作り、テミーとサークルの中に入ると、珍しく男のバンドルが道を歩いていた。

 私は、ルーペでその男のバンドルをルーペで覗いてみた。
男のバンドルの周りには、黒い霧やモヤのようなものは、なかった。
私は、テミーにがっかりして言った。
「テミー。こいつは、普通の魂だ。こいつを……」

 そう言いかけた時、男の手のひらから、私達の方に光線が放たれた。
「ワイアット。これは、どういうことだ?」
「クソッ! こいつは、男魔女だ。しかも、まやかしの術を使うとは、高等魔女だな! 気をつけろ! ワイアット!!」
「指図するな! テミー!」
「な、何を……」

 その時、男魔女が話に割り込んできた。
「お前達は、ジェロの仲間か? 私は、男魔女〈ヘンス〉だ」
「私は、お前達みたいな魔女を捕まえるソート師ワイアットだ」
「ハハッ! そうか。ソート師っていうのか。初めて、聞いたぞ! お前もジェロみたいに拳で戦うか」
「ジェロは、拳で戦ったのか。私は、魔剣で戦ってやる!!」
「そうか、構わんぞ!!」

 ヘンスは、剣をいつの間にか出し、私の方に向けた。
私も、魔剣をかまえた。

 しかし、ヘンスは、手のひらをこちらに翳した。
そして、光線を出した。

 私は、怒った。
「お前、嘘をついたな!!」
「ハハッ! 男魔女である私がそんなことを聞くと思うか!」
「クソッ! 騙しやがって!!」
 
 私は、マインアイで光線を避けながら、魔剣をヘンスに向けた。
ヘンスは、光線を私に向かって出しながら、ことごとく、右へ左へ宙返りをしながら、魔剣を避けた。
私は、それでも、魔剣をヘンスの方に向け続けた。

 私は、魔剣でついに、ヘンスの横腹を刺した。
しかし、同時に私の横腹にもヘンスが放った光線が当たり、横腹が焦げた。

 私とヘンスは、倒れて、のたうち回ったが、ヘンスの回復の方が早く、ヘンスの傷は、治り、立ち上がり、光線を私達に放とうとしたところで、私にテミーが言った。
「ワイアット! テレポートサークルを!!」
私は、急いでテレポートサークルを作り、テミーは、その間、巨大化して、光線を避ける壁になったため、テミーにも光線が当たり、当たった部分が焦げた。

 テミーは、普通の大きさに戻り、私と必死で、サークルの中に入り、ギリギリ逃げ出すことができた。
サークルの向こう側からは、ヘンスの高らかな笑い声が聞こえた。
「ハッハッハッ! 今度は、私が勝ったぞ!!」

 私とテミーの怪我もしばらくすると、すっかり治った。
私は、テミーに言った。
「さっきの言い方だとジェロ達は、勝ったのか? でも、ヘルへ行ってないぞ?」
「たぶん、ヘンスは、上手く逃げたのだろう」
「テミー、私にもっと術を教えてくれ! 私に更なる力を!!」
「そうだな。私もそう思っていた。でも、少しは、私の言うことを聞けよ。ワイアット!!」
「わかったよ……」
私は、悔しく思いながらも、仕方なく応えた。
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