バウンダリ－ソート ―WITCH HUNT―

ソート師同士の勝負

勝敗の行方

　私とワイアットは、久しぶりに顔を合わせた。
まず、私がワイアットに話しかけた。
「どうだ？　この世界に慣れたか？」
「ジェロ。偉そうに言うな。私は、魔女を何人も掴まえたぞ」
「私もだ。ワイアット。しかし……審判の時が来たようだ。私かお前かどちらかがヘルへ行くか、消滅させられる。王がどちらを選ぶのか……」
ワイアットは、高笑いをした。
「ハハッ！　私がソート師としての使命を続けていくに決まっているだろう」
「相変わらず、威勢がいいな、ワイアット。私も負けんぞ！　この人殺しが！」
「うるさい。極悪非道な泥棒め！」
私にコミーが腹を小突き、ワイアットには、テミーが腹を小突いた。

　ディヴァイド師マルスが現れたからだ。
急いで、私とワイアットは、頭を下げ、跪いた。
私は、言った。
「お久し振りです。マルス様」
ワイアットも続いた。
「お久し振りです。マルス様」
ディヴァイド師マルスは、咳払いをしながら、言った。
「んんっ！　聞こえていたぞ。うるさいぞ。お前たち！」
私は、言った。
「はっ！失礼致しました！」
ワイアットも言った。
「申し訳ございません！」

　マルスは、話を続けた。
「私は、実は、お前達に同じような魔術を使う魔女を会わせ、戦わせた。気付いたか？　ワイアットが捕まえた魔女ハンナとジェロが捕まえた魔女ハナは、同じヤツだ。しかも、あの魔女は、幻影だ。最後にお前達を試したんだ。それは、ともかく魔女との戦いの結果を報告するとしよう。最初の方は、ワイアットが優勢。しかし、ジェロが最後の方で優勢になったということは……」

　しばらく、沈黙が続いた。

　私は、内心、ヘル行きや消滅させられないかハラハラしながら、結果を待っていた。
ワイアットも強気だったが、私が最後の方で優勢だったことを聞いて、緊張した面持ちになっている様子を見た。

　ディヴァイド師マルスは、告げた。
「結論から言う。お前達は、引き分けだ。そうだ。お前達は、ヘルへ行くことも消滅することもなくなった」
私は、頭を下げながら言った。
「それでは、私もワイアットも助かったということですか？」
「まぁな。ソート師としての使命は、続けられるが辛さもあるからな。助かったと言えるか……。まだ、お前とワイアットは、お互い魔女との戦いで争って、ヘル行きか消滅させられるか存在をかけたライバルとなる。それが、我が王ハデスから仰せつかった命である。そして、強い高等魔女や魂を傷付ける結界を上手く抜けて侵入してきた魔獣が現れた場合は、お前達で協力して、倒すようにということだ。まずは、早速だが森の奥に魔獣の狼が息を潜め、魂を襲っているそうだ。まず、そいつを倒せ！！　わかったか！！」

　私とワイアットは、同時に頭を下げ、跪いたまま、言った。
「はっ！ディヴァイド師マルス様！！」