バウンダリ-ソート ―WITCH HUNT―

ナカムラ

文字の大きさ
上 下
12 / 38
あるソート師の誕生

魔女アビゲイルとの戦い

しおりを挟む
 私が、テレポートサークルを作り、コミーと中に入ろうとすると、私の首根っこを掴んで、バンドルがサークルの中に引き入れた。

「変な空間ができたから、気になったんだ。怪しい。やっつけてやる!!」
「私は、お前の方が怪しいと思うがな。いいぞ、戦ってやる!!」

 私は、魔剣を手に握った。
バンドルも、剣を握って、剣で戦う振りをした。
 しかし、バンドルは、手のひらから、光線を出してきた。
 私は、黒いマントで、顔まで覆った。
次に、バンドルは、剣をこちらに向けてきた。
 マインアイで、私は、相手の剣の動きを見て、魔剣を交えた。

 それにしても、マインアイは、精神を集中しなくては、ならない。
しかも、実際に目で見るより、私の力が足りないのか、マインアイでは、ぼやけて見えた。
剣を交えるのも、難儀であった。

 しかし、私がすぐに目でマントの中から見ようものなら、そのバンドルは、手のひらから光線を出してくる。

 ーやるな。このバンドルー

 私は、本当は、早くルーペで覗いて、バンドルが魔女だということを、はっきりと確認したかったが、その時間さえ、与えてくれなかった。

 そのうち、バンドルは、光線を剣で戦うより、多く出してきた。
ーまずい。こんなに光線がマントに当たっては、終いには、マントに穴が開いちまうー

 私は、マインアイで、相手の動きを見ながら、右へ左へ、たまには、宙に一回転して浮かびながら、避けた。
 魔剣で四角い空間を作るエヴァケーションを使う余裕さえ与えてくれなかった。

 ーなかなか、強いぞー
 
 私は、マインアイで、魔剣をバンドルの肩に当てた。
 バンドルは、真っ黒い血を流しながら、しゃがみ込み呻いた。
「ウッ!」

 コミーは、叫んだ。
「ジェロ、今だ。シャックルだ!!」
 私は、八の字を空に描いた。
バンドルは、手と足が拘束され、倒れ込んだ。

 私は、黒いマントを見ると、やはり、複数箇所に焦げた後があって、しばらくすると、消えた。

 やっと、私は、ルーペで覗いた。
 私は、ほとんど魔女だということを確信していたが、サニーに、責められることが嫌だった。
やはり、そのバンドルの周りには、黒い霧やモヤのようなものが、かかっていた。
 私は、コミーに言った。
「コミー、やはり、このバンドルは、魔女だ」
 
 私は、テレポートサークルを作り、その魔女を持ち上げて、放り込み、私とコミーも中に入った。

 ディヴァイド師サニーは、待ちくたびれていた。
「今回は、手こずったな。でも、よく、やったぞ、ジェロ」
「うるさい。偉そうに。この魔女を早くヘルへ行かせろ」
「わかってるよ。待ってろ」
 そう言うと、名簿とペンに手を翳した。
そして、魔女の手中に収めさせ、呪文を唱えた。
「ドラクイエ、ドラクイエ……」
 すると、魔女の指は、勝手に動き、名簿にサインさせた、
〈アビゲイル〉
「アビゲイル。さぁ、ヘルへ行け!!」
 そして、テレポートサークルを作り、アビゲイルに手を翳し、浮かし、サークルの中へ放り込んだ。
 アビゲイルは、無言でヘルへ堕ちた。
私は、コミーに言った。
「中々、手強い相手だった。ヘルに行く時に無言とは、魔女としての誇りもあるな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

追い出された万能職に新しい人生が始まりました

東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」 その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。 『万能職』は冒険者の最底辺職だ。 冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。 『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。 口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。 要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。 その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

処理中です...