バウンダリ－ソート ―WITCH HUNT―

あるソート師の誕生

男魔女登場す

 　私とコミーは、ひたすら、テレポートサークルを作り、バンドルから、魂をディヴァイド師サニー・ウィルソンに送り続けた。
　私は、コミーに言った。
「何だか、普通の魂ばかりだ。つまらん。非常につまらん」
コミーは、私を諭した。
「それぐらい、辛い思いをしてしている魂がさまよっているということだ。魔女が少ないことは、良いことだ。魔女が少ない程、ルイヴァスは、平和だ。魂は、ディヴァイド師に渡し、魔女がいたら、また、ディヴァイド師に渡しヘル行きにするか、倒して消滅させる、それがソート師、お前の使命だ。お前がつまらないように感じるのは、それだけ魔女では、ない者が人間界で処刑されたということだ。つまらないと思うよりも悲しいことだと思え」
「そんなこと知らん。あー、つまらん。つまらん」

 　私は、そう嘆くと、テレポートサークルを作り、珍しい男のバンドルを見つけて、ルーペで覗いた。
私は、溜め息をついた。
「あー、また、魂だ。男魔女じゃないぞ」
コミーは、クンクンと鼻を動かした。
「おかしい。普通の魂かな?」
「ルーペで見たけど、黒い霧やモヤは、なかったぞ」
私は、その魂のために、テレポートサークルを作ろうとしたその時だった。
　 私とコミーは、竜巻の渦の中に宙に浮き巻き込まれた。
コミーが叫んだ。
「ジェロ、剣を出し、空に剣で四角を描くのだ」
私は、訳がわからなかったが、言われた通りにした。
すると、四角い、空間ができ、竜巻から抜け出すことができた。
コミーに私は、言った。
「今のは、何だ?」
「その剣は、魔剣だ。今のは、とりあえずエヴァケーション(避難)という術だ。色々、使えるが今、目の前に敵がいる。そうお前が待ち望んだ魔女だ。クソッ!!まやかしの術に惑わされたか。今は、この男魔女に向き合え!!」

 　私は、男魔女を睨み付け言った。
「そうか、男か。男なら、魔術など使わず、拳でやりあおうや!!」
男魔女は、笑って言った。
「いいだろう。拳でやりあおう」
　そう言うと、男魔女は、拳で私の顔を殴ろうとしたが、私は、顔を横にかわした。
私が、今度は、男魔女の腹部に拳を当てそうだったが、寸でのところでかわされた。間髪入れず、私は、男魔女の後ろに回り込み、背中を拳で殴った。
男魔女は、しゃがみこんだ。
　私は、フッと笑った。
コミーが言った。
「今だ。ジェロ、シャックルだ!」
私は、急いで空に八の字を人差し指で描きかけたその時だった。
男魔女が叫んだ。
「そうだ!!　私は、男である前に魔女だ!!」
そう言うと、魔術で火柱を手のひらから出し、火柱を私達に向けた。
　コミーが叫んだ。
「ジェロ、マントを全身に覆うんだ!」
私は、コミーの言う通り、顔までマントで覆って火柱から逃れることができた。
　 私は、小刻みに震えて、その場にへたり込んだ。
コミーは、私が動けないことを知ると、巨大化し、男魔女を爪で引っ掻こうとした。
　 すると、男魔女は、自分の名を言い残し、一目散に逃げていった。
「私は、ヘンスだ。クソッ!!　待ってろよ!!」
コミーは、普通の大きさに戻った。

 　そして、厳しい表情をした。
「ジェロ、確かに、男魔女と拳とは、いえ渡り合えるとは、感心したぞ。力は、認める。だが、人間だった頃のプライドを捨てるんだ。命取りになるぞ。お前が戦う相手は、魔女だぞ」
　 私がまだ、震えていると、今度は、心配そうに私を見つめた。
「大丈夫か？　ジェロ、火が駄目なのか」

 「あぁ、私は、火で死んだんだ。火は、今でも怖い」