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無敵なヴァンパイア

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 ジョセフがマイルズに言った。
「マイルズ。お前の腕を見てみたい」
マイルズが訊いた。
「何をすれば?」

 ジョセフは、ノアに言った。
「ノア。相手をしてやれ」
「おう」

 ノアは、マイルズに命令した。
「マイルズ。剣で私の腹部を狙え!」
「はい。わかりました!」
マイルズは、短剣をノアから渡され、ノアの腹部目掛けて、短剣を向けた。
何回か短剣をノアに向けたが、全て、かわされてしまった。

 ブルーノは、内心、安心していた。
マイルズは、そんなに強くないのでは、ないかと思っていたその時、ノアの腹部に触れそうな所まで、近付いたところを、腹部に当たらないように慌てて、マイルズは、剣を引っ込めた。

 ノアは、感心した。
「お前、凄いな。いや、それだけでは、ない。もしかして、お前、どこかで訓練……」
マイルズは、笑顔で答えた。
「まぁ、大したことは、ないと思うんですけど、人間の時は、騎士をしてました」

 ノアは、悔しそうな顔をした。
「お前、騎士か。私は、元兵士だ。なんだか、嫌な……」
マイルズは、慌てて、両手を振った。
「訓練は、していましたが、この国は、平和なので、実戦は、したことないですよ。ハハッ……」
ノアは、悔し紛れに言った。
「私は、私は、だな……その……実戦をこなしてきたぞ。人間の時も、ヴァンパイアになってからも」
「わかってます、わかってますとも。実戦をしていない私とは、違いますよ。それは」
ノアは、マイルズに励まされて、余計に悔しく思った。
「うるさい。お前に気を遣われる筋合いは、ない」

 一方、ジョセフは、良い戦力を見つけたことに喜んでいた。

 ショックを受けていたのは、ブルーノだった。
やっと身に付けた自分の強みが失われた気がした。

 ジョセフは、次に切り株の上に小枝を置いて、言った。
「この小枝を呪術で割ってみろ」
「呪術? 何ですか? それ?」
マイルズは、ポカンとした様子だった。
ジョセフは、苛立ち気味に言った。
「いいから、小枝が割れるように念じて、小枝に向かって、手を翳せ!」
「はい! わかりました!」

 マイルズは、慌てて、小枝に向かって、念を入れて、手を翳した。
すると、いきなり、小枝が真っ二つに割れた。

 ジョセフは、喜んだ。
「凄いぞ、マイルズ! 初めて、手を翳して割れるとは。凄いな、お前!!」
マイルズは、照れながら、頭を掻いた。
「いや……それほどでも。ハハッ……」

 オリバーが今度は、マイルズの呪術の能力にショックを受け、肩を落とした。

 ジョセフは、嬉々としてノアに言った。
「力に呪術、私達は、凄い戦力を得たな。なぁ、ノア!」

 すると、ノアが困ったような顔をして、ジョセフに言った。
「あの……言い辛いんだが……1つ問題が……」
ジョセフは、不思議に思い、ノアに訊いた。
「問題ってなんだ? 強いぞ。マイルズは! 何が問題だ」
ノアは、申し訳なさそうに小声で言った。
「あの……お前の奥さん……アリスがマイルズのこと熱い視線で見つめているぞ」
「えっ?」

 ジョセフがアリスを見てみると、ローズと一緒にキラキラした目でマイルズを見つめていた。

 ノアは、ジョセフの表情を見て言った。
「なっ? 連れて来て良かったのかな。マイルズのこと……」
ジョセフは、項垂れて言った。
「失敗だったかもな……」

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