100 / 110
陽気なヴァンパイア マイルズ
しおりを挟む
ジョセフは、ノアのことを心配していた。
「大丈夫か、ノア。ずっと、落ち込んでいるようだ。まさか、後を追うなんてことは……」
ジョセフは、昔のことを思い出していた。
ノアは、無理して笑顔をジョセフに向けた。
「大丈夫さ。私は、元誇り高き兵士だ。仲間の死は、嫌な程見てきた。でもなぁ、ジョセフ。私は、戦いに明け暮れていたから、初めての恋だったかもしれん。やはり、違うものだったな。しかし、ジョセフに心配されるようでは、いかんな。心配するな。今は、誇り高きヴァンパイアだ」
「そうか……」
そう言うと、ジョセフは、ノアの肩をポンッと叩いた。
ジョセフには、わかっていた。
ノアが精一杯強がりを言っていることを……。
ジョセフ達は、人間の血を吸う通りを歩いていた。
まだ、皆、落ち込んでいた。
ジョセフとブルーノの訓練は、あれ以来、そのまま、血を吸う通りに行き終わってから、訓練を続けることとなった。
オリバーは、シャロンのことでまた自信を失い、先頭に立って歩くことを辞退して、ジョセフが先頭に立って歩いた。
ヴァンパイア達は、オリバー以外、人間の血を吸っていた。
ローズは、ある男性に目が止まった。
その男性は、サラサラした金色の髪を肩まで伸ばし、青い瞳をして顔も整っていた。
「あら、格好いいわね。でも、仕方ないわね。私も喉が渇いてるし」
ローズは、その男性の首筋に牙を立てた。
男性は、驚いたように、ローズの方を振り返ろうとしたが、その前に倒れ込んだ。
「何を……」
男性の金髪は、銀色に、青い瞳は、赤色に変わった。
すぐに、そのヴァンパイアは、近くにいたジョセフの足元を掴んだ。
「私は、どうなったんだ?」
「お前は、私と同様、ヴァンパイアになった。これからは、ヴァンパイアとして過ごしていけ。じゃあな」
ジョセフは、応えることさえ億劫そうに言った。
「ま、ま、ま、待って! それは、困る! 私は、あなたといたい。ここに置かれていても。ハハッ。ヴァンパイアについて何も知らないんだ。教えてくれ」
「嫌だ。まあ、お前自身でなんとかしろ。私は、最近、仲間を失った。そんな想いは、したくない。じゃあな」
「えっ? ヴァンパイアを失う?」
「いいから、足首を離せ!! コラッ!」
「やだ。やだ……一緒にいるというまで離さん!!」
騒ぎを聞きつけた仲間のヴァンパイア達が集まってきた。
ノアが言った。
「どうしたんだ、ジョセフ。お前の足首にくっついているそいつは、誰だ?」
ローズが気まずそうに言った。
「あ、ごめんなさい。私が襲った男性だわ。ヴァンパイアにもう、なったのね。」
「君が私を襲ったのか。お嬢さん」
「あら、やだ。お嬢さんなんて。でも、クールなイメージだったけど違うのね」
ローズは、恥ずかしそうにした。
まだ、そのヴァンパイアは、ジョセフの足首にしがみついていた。
「だから、離せってば、いい加減にしろ!!」
ジョセフは、怒って言った。
ローズが、足首にしがみついているヴァンパイアを庇って言った。
「まあ……まあ、いいじゃない。仲間になってもらっても、格好いいし」
オリバーがローズの言葉を聞いて焦って言った。
「絶対、駄目ですよ。ジョセフ、仲間にしては」
ジョセフは、首をかしげた。
「うーん。でも、私にも力が相当、備わっているはずなのに、足を抜くことが出来ない。こいつには、力があるのかも。まあ、試しに仲間にして役に立たないようだったら、離すからな。安心しろ。薄情に離すわけでは、ない。お前だけで過ごしていけるようには、してやる」
そのヴァンパイアは、その言葉を聞くと、やっと足首から手を離した。
「よろしくお願いします。私は、マイルズです」
「ああ、よろしくな、マイルズ。私は、ジョセフだ」
ローズは、飛び上がって喜んだ。
「やった!!」
一方、オリバーは、項垂れていた。
「えー……」
「大丈夫か、ノア。ずっと、落ち込んでいるようだ。まさか、後を追うなんてことは……」
ジョセフは、昔のことを思い出していた。
ノアは、無理して笑顔をジョセフに向けた。
「大丈夫さ。私は、元誇り高き兵士だ。仲間の死は、嫌な程見てきた。でもなぁ、ジョセフ。私は、戦いに明け暮れていたから、初めての恋だったかもしれん。やはり、違うものだったな。しかし、ジョセフに心配されるようでは、いかんな。心配するな。今は、誇り高きヴァンパイアだ」
「そうか……」
そう言うと、ジョセフは、ノアの肩をポンッと叩いた。
ジョセフには、わかっていた。
ノアが精一杯強がりを言っていることを……。
ジョセフ達は、人間の血を吸う通りを歩いていた。
まだ、皆、落ち込んでいた。
ジョセフとブルーノの訓練は、あれ以来、そのまま、血を吸う通りに行き終わってから、訓練を続けることとなった。
オリバーは、シャロンのことでまた自信を失い、先頭に立って歩くことを辞退して、ジョセフが先頭に立って歩いた。
ヴァンパイア達は、オリバー以外、人間の血を吸っていた。
ローズは、ある男性に目が止まった。
その男性は、サラサラした金色の髪を肩まで伸ばし、青い瞳をして顔も整っていた。
「あら、格好いいわね。でも、仕方ないわね。私も喉が渇いてるし」
ローズは、その男性の首筋に牙を立てた。
男性は、驚いたように、ローズの方を振り返ろうとしたが、その前に倒れ込んだ。
「何を……」
男性の金髪は、銀色に、青い瞳は、赤色に変わった。
すぐに、そのヴァンパイアは、近くにいたジョセフの足元を掴んだ。
「私は、どうなったんだ?」
「お前は、私と同様、ヴァンパイアになった。これからは、ヴァンパイアとして過ごしていけ。じゃあな」
ジョセフは、応えることさえ億劫そうに言った。
「ま、ま、ま、待って! それは、困る! 私は、あなたといたい。ここに置かれていても。ハハッ。ヴァンパイアについて何も知らないんだ。教えてくれ」
「嫌だ。まあ、お前自身でなんとかしろ。私は、最近、仲間を失った。そんな想いは、したくない。じゃあな」
「えっ? ヴァンパイアを失う?」
「いいから、足首を離せ!! コラッ!」
「やだ。やだ……一緒にいるというまで離さん!!」
騒ぎを聞きつけた仲間のヴァンパイア達が集まってきた。
ノアが言った。
「どうしたんだ、ジョセフ。お前の足首にくっついているそいつは、誰だ?」
ローズが気まずそうに言った。
「あ、ごめんなさい。私が襲った男性だわ。ヴァンパイアにもう、なったのね。」
「君が私を襲ったのか。お嬢さん」
「あら、やだ。お嬢さんなんて。でも、クールなイメージだったけど違うのね」
ローズは、恥ずかしそうにした。
まだ、そのヴァンパイアは、ジョセフの足首にしがみついていた。
「だから、離せってば、いい加減にしろ!!」
ジョセフは、怒って言った。
ローズが、足首にしがみついているヴァンパイアを庇って言った。
「まあ……まあ、いいじゃない。仲間になってもらっても、格好いいし」
オリバーがローズの言葉を聞いて焦って言った。
「絶対、駄目ですよ。ジョセフ、仲間にしては」
ジョセフは、首をかしげた。
「うーん。でも、私にも力が相当、備わっているはずなのに、足を抜くことが出来ない。こいつには、力があるのかも。まあ、試しに仲間にして役に立たないようだったら、離すからな。安心しろ。薄情に離すわけでは、ない。お前だけで過ごしていけるようには、してやる」
そのヴァンパイアは、その言葉を聞くと、やっと足首から手を離した。
「よろしくお願いします。私は、マイルズです」
「ああ、よろしくな、マイルズ。私は、ジョセフだ」
ローズは、飛び上がって喜んだ。
「やった!!」
一方、オリバーは、項垂れていた。
「えー……」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
未亡人となった側妃は、故郷に戻ることにした
星ふくろう
恋愛
カトリーナは帝国と王国の同盟により、先代国王の側室として王国にやって来た。
帝国皇女は正式な結婚式を挙げる前に夫を失ってしまう。
その後、義理の息子になる第二王子の正妃として命じられたが、王子は彼女を嫌い浮気相手を溺愛する。
数度の恥知らずな婚約破棄を言い渡された時、カトリーナは帝国に戻ろうと決めたのだった。
他の投稿サイトでも掲載しています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる