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陽気なヴァンパイア マイルズ

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 ジョセフは、ノアのことを心配していた。
「大丈夫か、ノア。ずっと、落ち込んでいるようだ。まさか、後を追うなんてことは……」
ジョセフは、昔のことを思い出していた。

 ノアは、無理して笑顔をジョセフに向けた。
「大丈夫さ。私は、元誇り高き兵士だ。仲間の死は、嫌な程見てきた。でもなぁ、ジョセフ。私は、戦いに明け暮れていたから、初めての恋だったかもしれん。やはり、違うものだったな。しかし、ジョセフに心配されるようでは、いかんな。心配するな。今は、誇り高きヴァンパイアだ」
「そうか……」
そう言うと、ジョセフは、ノアの肩をポンッと叩いた。
ジョセフには、わかっていた。
ノアが精一杯強がりを言っていることを……。


 ジョセフ達は、人間の血を吸う通りを歩いていた。
まだ、皆、落ち込んでいた。
ジョセフとブルーノの訓練は、あれ以来、そのまま、血を吸う通りに行き終わってから、訓練を続けることとなった。
 オリバーは、シャロンのことでまた自信を失い、先頭に立って歩くことを辞退して、ジョセフが先頭に立って歩いた。
ヴァンパイア達は、オリバー以外、人間の血を吸っていた。

 ローズは、ある男性に目が止まった。
その男性は、サラサラした金色の髪を肩まで伸ばし、青い瞳をして顔も整っていた。
「あら、格好いいわね。でも、仕方ないわね。私も喉が渇いてるし」

 ローズは、その男性の首筋に牙を立てた。
男性は、驚いたように、ローズの方を振り返ろうとしたが、その前に倒れ込んだ。
「何を……」

 男性の金髪は、銀色に、青い瞳は、赤色に変わった。
すぐに、そのヴァンパイアは、近くにいたジョセフの足元を掴んだ。
「私は、どうなったんだ?」
「お前は、私と同様、ヴァンパイアになった。これからは、ヴァンパイアとして過ごしていけ。じゃあな」
ジョセフは、応えることさえ億劫そうに言った。

「ま、ま、ま、待って! それは、困る! 私は、あなたといたい。ここに置かれていても。ハハッ。ヴァンパイアについて何も知らないんだ。教えてくれ」
「嫌だ。まあ、お前自身でなんとかしろ。私は、最近、仲間を失った。そんな想いは、したくない。じゃあな」
「えっ? ヴァンパイアを失う?」
「いいから、足首を離せ!! コラッ!」
「やだ。やだ……一緒にいるというまで離さん!!」

 騒ぎを聞きつけた仲間のヴァンパイア達が集まってきた。
ノアが言った。
「どうしたんだ、ジョセフ。お前の足首にくっついているそいつは、誰だ?」
ローズが気まずそうに言った。
「あ、ごめんなさい。私が襲った男性だわ。ヴァンパイアにもう、なったのね。」

「君が私を襲ったのか。お嬢さん」
「あら、やだ。お嬢さんなんて。でも、クールなイメージだったけど違うのね」
ローズは、恥ずかしそうにした。

 まだ、そのヴァンパイアは、ジョセフの足首にしがみついていた。
「だから、離せってば、いい加減にしろ!!」
ジョセフは、怒って言った。

 ローズが、足首にしがみついているヴァンパイアを庇って言った。
「まあ……まあ、いいじゃない。仲間になってもらっても、格好いいし」

 オリバーがローズの言葉を聞いて焦って言った。
「絶対、駄目ですよ。ジョセフ、仲間にしては」

 ジョセフは、首をかしげた。
「うーん。でも、私にも力が相当、備わっているはずなのに、足を抜くことが出来ない。こいつには、力があるのかも。まあ、試しに仲間にして役に立たないようだったら、離すからな。安心しろ。薄情に離すわけでは、ない。お前だけで過ごしていけるようには、してやる」

 そのヴァンパイアは、その言葉を聞くと、やっと足首から手を離した。
「よろしくお願いします。私は、マイルズです」
「ああ、よろしくな、マイルズ。私は、ジョセフだ」

 ローズは、飛び上がって喜んだ。
「やった!!」

 一方、オリバーは、項垂れていた。
「えー……」
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