ヴァンパイアよ死神から逃げよ

ブルーノの訓練の始まり

　ジョセフ達は、ノアとブルーノを置いて、いつもの人間の血を吸う通りを歩いていた。

　ローズは、ジョセフに命令された。
「ローズ、悪いが、死神ネイサンは、私とアリスとオリバーで相手をしないと無理だ。お前が、私達が死神ネイサンと戦っている間に、人間の血を集めておいてくれ！」
「わかったよ。ジョセフ。任しときな！」

　そう言うと、ローズは、ジョセフ達から離れ、人間の血を集めに行った。

　残ったジョセフとアリスとオリバーは、すぐに死神ネイサンに出会った。
「クソッ！！　私は、ブルーノを消滅させる死神だぞ！！　ブルーノは、どうした？」
ジョセフは、笑った。
「ワッハッハ！！　よいでは、ないか。我々が相手だ！！」
「本当は、ブルーノを消滅させなければならないのだが……まぁ、構わん。来い！！」

　ジョセフは、死神ネイサンに手を翳した。
しかし、死神ネイサンは、横の家の壁に、足を当てて、勢いをつけて、宙を舞ったり、前に一回転したりして、ことごとく、かわした。

　アリスも、死神ネイサンに短剣を顔や腹部目掛けたりしたが、それもかわした。

　オリバーも、死神ネイサンに向けて、手を翳し、死神ネイサンが向かうであろう方向に先回りしてみたりしたが、全て外してしまった。

　死神ネイサンが、笑った。
「ハッハッハ！！　私に敵うヴァンパイアは、居らんようだな！！」
　すると、死神ネイサンが今度は、ジョセフにカマを振りかざした。
　振りかざしている間にアリスは、死神ネイサンの腹部に短剣を刺した。
　そして、オリバーが手を翳し、しゃがみ込みかけた死神ネイサンを吹き飛ばし、家の壁に死神ネイサンは、当たった。
そして、意識を失った。

　ジョセフは、死神ネイサンが意識を失っている間に、急いでローズを呼んだ。
「行くぞ。ローズ！！」
「あいよ！！」
ローズは、たっぷり人間の血を溜め込んでいた。

　ジョセフ達がいない間、ノアは、ブルーノに命令した。
　ノアが言った。
「ブルーノ、短剣で私の腹部を狙え！」
「いいのか？　ノア。傷を負うことになるぞ」
　ノアは、高らかに笑った。
「ワッハッハ！！　面白いことを言うな。ブルーノ。お前に私がやられると思ってるのか？　随分、大口叩くな！！」
「よーし！！　腹部を狙えばよいのだな。やってやる！！　その口を黙らせてやる！！」

　そう言うと、ノアに、ブルーノは、短剣を向けた。

　ブルーノは、何回も、ノアの腹部目掛けて短剣を向けたが、向かってくる短剣をノアは、全て軽々とかわした。

　こうして、ブルーノの訓練は、始まった。