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ローズとオリバーの関係

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  ローズは、意識を取り戻した。
ノアは、ローズに早速言った。
「起きたばかりで悪いが、ローズ死神ハリソンに消滅させられないようにするには、力だけでは、駄目だ。明日から、呪術の訓練をしよう。」
 ローズは、不思議そうな表情をした。
ノアは、その表情から、察して言った。
「呪術とは、手をかざし、相手を倒したり、吹っ飛ばしたりすることだ。」
ローズは、嬉々として言った。
「やりたい。やりたいわ。呪術とやらを早く私に教えてちょうだい!」
「駄目だ。これは、大変な集中力を使う術だ。今のお前には、無理だ。」
「えー。やりたいのに、わかったわよ。」
そう言うと、ローズは、自分の寝室に行くと、横になり、すぐ寝た。
 ノアは、ホッとしていた。
「案外、早く引き下がったな。」
ジョセフは、笑って言った。
「ローズは、本当は、疲れたんだよ。全くローズは、どこまでも強気だな。」

  次の日から、呪術の訓練が始まった。
最初は、いつも通り木の切り株の上に小枝を置き、手の三角の型を教え、小枝を割るようにローズに命じた。
しかし、びくともしない。
ローズは、ノアからもっと集中するように言われたが、やはり、出来なかった。
ローズは、悔しがった。
「なぜ、出来ないの!」

  その間にも、人間の血を吸いに行かねばならない。
死神ハリソンがいない通りをこっそり通って、人間を襲った。しかし、オリバーは、やはり、人間の血を吸うことが出来なかった。ローズが代わりに、オリバーの分の血を用意することがすっかり、当たり前になっていた。
  ノアが皮肉を言いかけた時だった。
「オリバーは、ローズに……。」
ローズの死神ハリソンが、また現れた。
「探したぞ。ローズ。今度こそ消滅させてやる!!」
そう言うや否や、ローズの首めがけて、カマを振り下ろそうとした時、オリバーが、死神ハリソンに向かい手をかざした。
「今度は、ローズに手出しさせないぞ!!」
死神ハリソンは、一溜まりもなく、吹き飛ばされた。倒された勢いで、動けなくなった。
  ジョセフ達は、寝床へ急いで逃げた。
ローズは、オリバーを珍しく、褒めた。
「やるじゃない。オリバー、見直したわ。」
オリバーは、頭をかき、照れた。

  何ヵ月か経ち、ローズは、まだ、小枝を割ることが出来なかった。
ジョセフは、ノアに、ローズに諦めさせるように言った。
  ローズは、自分を無力に感じた。
一方、オリバーは、時々、死神ハリソンに出会うと吹き飛ばして、倒した。

   寝床でノアは、ジョセフに言った。
「人の血を吸うことが出来ないが、呪術を使って死神ハリソンを倒せるオリバーと、人間の血は、吸えるが、死神ハリソンを呪術で倒せないローズ、面白いコンビだな。」
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