ヴァンパイアよ死神から逃げよ

ナカムラ

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元兵士ノアのいる国

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 ジョセフは、気になる人間の男がいた。
ある国で、見失った元兵士ノアだ。あの男を絶対に倒してやりたいと思っていた。殺すためではない。
ヴァンパイアにして、仲間に引き入れるためだ。
ジョセフは、ノアのいる国に戻るようアリスに説得した。「わかったわ。確かに強かったわね、ノア。でも、見つけられるかしら。」
ジョセフは、言った。「私も、わからん。一か八かだ。しかし、あいつが仲間に入れば、強い戦力になる。」
アリスは、言った。「でも、ヴァンパイアになるということは、死神が付くってことよね。大丈夫かしら。強い死神が、ノアには、付きそうだわ。」
ジョセフは、言った。「大丈夫さ。それより、強いヴァンパイアになるであろう、ノアを得たいんだ。そして、ソフィアを倒したい。ルイスとリリーを消滅させた。あの憎き、死神ソフィアを…。」
アリスは、言った。「そうね。わかったわ。私も、ルイスとリリーを失ったこと辛いの。死神ソフィアを倒しましょう。」
ジョセフとアリスは、馬車でノアのいる国へと向かった。
そして、新しい寝床を見つけ、毎日、ノアがいた通りを歩き、ノアを探しながら、人間を、襲い、人間の血を吸っていた。
何日も何日も、同じ通りを歩いた。しかし、なかなか、ノアは、見つからなかった。
何ヵ月か経った時だった。ついに、ノアが現れた。
ジョセフは、ノアに言った。「久しぶりだな。少し老いたか。でも、元気そうだな。」ノアは、言った。「あの時の…。ヴァンパイア…。」
ジョセフは、言った。「そうだ。あの時のヴァンパイアだ。私は、ジョセフ。」
アリスは、言った。「私は、アリスよ。」
ノアは、言った。「ヴァンパイアの名前なぞ知らん。また、勝ってやる。」
すると、ジョセフとアリスに、立ち向かっていった。ジョセフのことを拳で殴ろうとした。ジョセフは、やはり、強い、と思った。他の人間と拳の勢いや体の俊敏さが違う。しかし、ジョセフは、あっという間に、ノアの首にかぶりついた。ノアは、悔しそうに「くっ!」と、息をもらした。
ノアは、倒れていたが、しばらくして、髪は、銀色になり、目は赤くなり、歯は、牙が生えた。
ノアは、言った。「くそーっ!何をしてくれたんだ。悔しい。私が負けるなんて。」
ジョセフは、言った。「これで、お前もヴァンパイアだ。早速だが、私たちの仲間になってもらう。」
ノアは、言った。「はっ?何を言っているんだ。お前達の仲間になぞ、なるか。ふざけるな。」
ジョセフは、構わず続けた。「じゃあ、私に、勝ってみろ!もし、勝てなかったら、私たちの仲間になるのだ。私たちが、負ければ、お前を自由にしてやる。」
ノアは、笑って言った。「それなら、構わん。私がお前達に負けるはずがないからな。」
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