ヴァンパイアよ死神から逃げよ

呪術の訓練は続く

　ジョセフとアリスは、次の日も呪術の訓練を続けた。しかし、小枝は、一向に割れない。ジョセフは、懐疑的に、なってきた。
ローガンとアイビーだから、出来る呪術では、ないのか。皆に備わっている力なのか。
ジョセフは、ローガンに思い切って聞いた。「この呪術は、ヴァンパイア皆が得られるものなのでしょうか。」
ローガンは、がっかりした表情で、言った。「そうか。お前もそう思ってしまったのか。そう言って、皆、呪術を得られずに、ここを去っていった。お前も、自分の中にある呪術の力を信じないのか。こちらは、辞めてもらっても一向にかまわん。ただし、ヴァンパイアには、呪術の力がある。でも、存在しないと思って、訓練をしても、いつまでも、呪術を得られないぞ。本当にそれでいいのか。」
ジョセフは、反省した様子で言った。「すみませんでした。私は、呪術を信じます。このまま、訓練を続けさせて下さい。」
アリスも、言った。「よろしくお願いします。訓練を続けさせて下さい。」
ローガンは、アイビーに言った。「いいかのう。こう言ってるし。ばあさんや。」
アイビーは、ジョセフとアリスに言った。「呪術を疑わないことじゃ。わかったか。」
アリスは、言った。「はい、疑いません。呪術を信じます。」
ジョセフも、言った。「私も信じます。」
ローガンは、言った。「じゃあ、続けるのじゃ。」
ジョセフとアリスは、また、何日も何日も、更に、小枝に手をかざした。
ある日、ジョセフの小枝が割れた。ジョセフは、喜んで、アリスに言った。「割れたぞ。割れた。呪術で、割ることが出来た。」
アリスも、嬉しそうに、言った。「本当だわ。割れたわ。私も負けずに、小枝を、割れるようにしないと。」
アリスは、更に、訓練をして、何日も何日も過ぎ、何ヵ月も、過ぎた。
すると、ある日、小枝がポキッと、割れた。
アリスは、喜んで言った。「割れたわ。私も割ることが出来た。やっとだわ。やっと、呪術を、手に入れた。」
ローガンは、間髪入れずに、言った。「小枝1本割れたぐらいじゃ、まだまだじゃ。これからじゃぞ。厳しい訓練は。なぁ、ばあさん。」
アイビーは、言った。「その通りじゃ。」
ジョセフとアリスは、「はい、訓練を続けます。」と、言った。