ヴァームウーマン

ナカムラ

文字の大きさ
上 下
3 / 3

対峙

しおりを挟む
 その時、銀色の髪で紫色の瞳のヒーロー、グレイマンは、異星人ブラウンと戦っていた。
ブラウンは、土を固めたようなゴツゴツとした茶色の体で砂ぼこりをあげつつ、ノッシノッシとグレイマンに近付き、その砂ぼこりを竜巻のようにして、
吹き飛ばそうとしていた。
グレイマンは、一瞬ひるんだが、ビームでブラウンを倒そうとした。人々は、歓声をあげた。
その時だった。
 ダークヒロイン、ヴァームウーマンがついに、ヒーロー、グレイマンの前に現れた。
そして、ビームを盾で跳ね返した。
グレイマンは、驚いたように、ヴァームウーマンに問いかけた。
「お、お前は、何者だ!!私は、世界を救うヒーロー、グレイマンだ!」
また、人々は、歓声をあげた。
ヴァームウーマンは、フフッと笑った。
「私は、ヴァームウーマン!!あなたに恋人の命を奪われた女よ!あなたの打ち損ねたビームでね!!」
観衆は、次々と声を上げた。
「しょうがないじゃないか!!世界を救うためだ。」
「そうだ。そうだ。お前は、引っ込んでろ!!」
ヴァームウーマンは、続けた。
「いいえ、彼さえ生きていてくれれば良かったわ。私は、世界を救うことなど関係ない。ダークヒロイン、ヴァームウーマンよ!!」
グレイマンは、声を荒げた。
「では、私を倒したいのか!!」
「いいえ、私は、あなたの正義と戦うのよ。あなたのヒーローとしての誇りをズタズタに切り裂いてやる!!」
グレイマンに向けて、ヴァームウーマンは、ビームを指先から出し、グレイマンの腹に当てた。
グレイマンは、その場にうずくまった。
「ク、クソッ!!こうしている間にもブラウンが…。」
ヴァームウーマンは、高らかに笑った。
「そうよ。あなたの戦闘能力を失わせてやる!ワッハッハ!!」
ブラウンは、その間、砂ぼこりを竜巻に変え、ビルを破壊していった。
誰かが、叫びながら言った。
「ヴァームウーマン!!お前のせいで、ビルが破壊されて、人々が死んでいったんだぞ!それでもいいのか!!」
グレイマンは、正義感に燃え、スッと立ち上がった。
「よぉし!!私の正義を邪魔する者は、許さない!!まずは、お前をサッサと片付けてやる!!」
グレイマンは、ヴァームウーマンの頭に向かって足を上げた。彼女は、上半身を反り返らせよけた。
ヴァームウーマンは、よけるとすぐに、グレイマンの足を両手ですくい転ばせた。
しかし、グレイマンは、すぐに体勢を戻し、剣でヴァームウーマンの首を狙った。
ヴァームウーマンは、ボディスーツから盾を出し、剣を払いのけた。
グレイマンとヴァームウーマンは、剣を交えた。
お互いに一歩も引かず、刃の当たるカーン、カーンと乾いた音が周りに響き渡った。
グレイマンは、ヴァームウーマンにビームを当てて、うずくまさせると、少しの隙をつき、本当の敵異星人ブラウンの元に素早く向かうと、首に剣を突き立て剣に電気を流し、ブラウンを倒した。
異星人ブラウンは、普通の土となって消えていった。
 ヴァームウーマンは、うずくまりながら、悔しそうに、ぼんやりとした視界の中、グレイマンを見つめた。
「お前とは、度々、勝負することになるだろうな。待ってるぞ!ヴァームウーマン!!」
そうヴァームウーマンに言うと、グレイマンは、元の金色の髪、青色の瞳の地底人、ロクシー.シュタインに戻り、地底へ潜っていった。
ヴァームウーマンは、叫んだ。
「クソッ!!今度こそ、グレイマンの正義感をくじいてやる!!」

こうして、ヴァームウーマンの復讐は、遂げられなかったが、世界は、ヒーロー、グレイマンのおかげで救われて、平和は、守られた。
          to be continued……
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...