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親友
しおりを挟む「はぁ、はぁ…ベリーチェ嬢は随分足が速いんだね」
「申し訳ありません!御手を引いて走るだなんてはしたない真似をしてしまって…どうしてもあのオニから逃げなくてはいけなくて…。」
「あはは、オニって君の執事のことかい?確かに怖い顔をしていたね。でもなんで怒っていたの?」
怖い顔をしていたねって…よくその程度ですむわね!?怖い顔なんてもんじゃない。鬼瓦のようなら顔をしてたじゃない。
「えっと、ユシファンは私が淑女らしくしないととても怒るのです。木登りだってターザンごっこだって虫取りだって本当は大好きなんですけど…。
ユシファンが怒るのは私のためって分かっているんですけどね」
「それは…申し訳ないことをしたね。
執事さんに話してしまってごめんね」
「いいんです。隠してた私がいけないんですし。
それより、やりましょうか!ターザンごっこ!もうバレたからにはやるだけやって怒られます!」
そう言って私は紐がついている木まで案内して王子様と全力で遊んだ。
ユシファンは最近一緒に遊んでくれなかったから、一人遊びじゃない今日はめちゃくちゃに楽しかった。
もちろん、ターザンは「あ~ああ~!」という声が大事だということもしっかりと教えた。
「はぁ、疲れた…ベリーチェ嬢は本当に体力があるんだね。しかも知らない遊びも沢山あった。本当に、久しぶりにとても楽しかったよ。
女の子はあまり身体を動かすことが得意な人はいないだろう?
正直いって、ほかの婚約者候補の令嬢との時間は少し息が詰まるんだ。
君となら上手くやっていけそうだ。
僕、君といる時間が好きみたいだ。
僕は君を婚約者に…」
まてまてまてまて!!!
だめだめだめ!シナリオでは、学園に入ったその時もベリーチェは婚約者候補筆頭のままだった。正式な婚約者になってしまえばシナリオが多少なりとも変わってしまう。
「あ、アラン殿下!?と、とりあえずは”親友”なんてどうでしょう!?
まだまだお互い知らないことたくさんありますし、時間はたっぷりありますから!
一番仲の良い友達でいませんか?」
「親友…ね。うん、親友もいいかもね。
親友ならまた遊びに来てもいい?」
「勿論です!お待ちしておりますアラン殿下。」
「でも、親友なら、アラン殿下じゃなくてアランってよぶこと。公の場以外では敬語を使わないこと。これは譲れないからね。
これからよろしく。ベリーチェ。」
そ、そんな…敬称なしの呼び合いや敬語なしなんて、シナリオ通りじゃないわ…!!
や、やってしまった……。
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