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サンバルク侯爵家には2人の令嬢がいる。
サンバルク・ララフィーナ
イエローゴールドの髪色に愛らしい顔立ち。
ドジで抜けてるところも愛されるこの世界のヒロイン。
サンバルク・ディディアラ
ホワイトグレーの髪色に曇った瞳。
ララフィーナに嫉妬して嫌がらせを繰り返しているこの世界のヒロインを憎む悪女。
「ララフィーナさまが可哀想」
物心つく頃には周囲の使用人からもお茶会で初めて会った令嬢からもそう言われていた。
なぜ私だけが愛されないのか、私のことは信じてくれないのか、そう思った時期もあったけれど、そんなことを思うことは無駄であるとすぐに気づいた。
私とララフィーナが出会ったのは5歳の頃。
母が亡くなり、途方に暮れていたところ、母から保護を頼まれていたという執事が迎えにきた。
執事は母がサンバルク家の令嬢であったことを教えてくれた。
今から会いに行くのはサンバルク家の当主であり母の兄である方だそうだ。
唯一の家族である母を亡くしてしまったこともあって新しく家族、居場所ができることはとても嬉しかった。
___が、現実はそんなに甘くなかった。
「ナディアの娘だと!?この家を出て行ったやつの娘なんかサンバルク家ではない!!!摘み出せ!!」
母の娘と聞いてサンバルク家の使用人からかろうじて応接間に通された私と執事だったが、叔父様がきた瞬間に髪の毛を引っ張られて引きづり出されそうになった。
「お待ちください!お嬢様はサンバルク家の正統な跡取りとしての資格をお持ちです。」
そう言って執事は私が首から下げていた指輪を叔父様に見せた。
「サンバルク家の指輪…!あいつ、国王陛下に返上してなかったのか!?」
痛い…。叔父様が私の髪の毛を掴む力が更に強くなった。
「いくら出て行かれたとはいえ、ナディア様はサンバルク家の継承権を破棄していません。この指輪がディディアラさまの手に渡ったと言うことはディディアラさまにもサンバルク家の継承権があります。
帝国法により、継承権を持つ満18歳までの子供は継承権のある家で育つ義務があります!
いくら当主様とはいえ、帝国法を変えない限りはディディアラ様を追い出すことはできません!!」
「あの女!!!やっといなくなったと思ったらこんなゴミを送りつけやがって…!」
いきなり手を離され、床に叩きつけられる。
「おい。俺は死んでもナディアの娘を後継者にはしない。だがサンバルク家の当主としてその指輪を持つものを保護しなくてはならない。
18歳まではこの家に居させてやる。だが18になった瞬間に指輪を国王陛下に返上し、この家を出ていけ。サンバルクの名を語ることも許さない。いいな?」
初対面から髪を掴んでくるような人と後13年間も一緒にいたくないと言うのが私の正直な気持ちだった。
しかし、この家以外に行くところもない。
「分かりました。
ですが、一緒に来た執事をそばに置かせてください。お願いします。」
そういうと、執事も「私からもお願いします!」とガバっと頭を下げた。
「継承権の指輪をもつ子供を保護するのは義務だが、お前は違う。
近くに頼れる大人や味方がいると生意気になるからな。こいつは裏の森にでも捨ててこい」
「なっ…!?やめてください!!せめて追い出すだけにしてあげて!!森は魔獣が出ます!!!」
必死に叔父様にお願いしたけど、「邪魔だ」と私のお腹を蹴ってどこかへ行ってしまった。
「ぐっ…。ごめんなさい、、ごめんなさい、、どうか生きて、、」
自然と涙が溢れる。もう届かない声と分かりながらも私を助けてくれたあの人が助かりますようにと願った。
サンバルク・ララフィーナ
イエローゴールドの髪色に愛らしい顔立ち。
ドジで抜けてるところも愛されるこの世界のヒロイン。
サンバルク・ディディアラ
ホワイトグレーの髪色に曇った瞳。
ララフィーナに嫉妬して嫌がらせを繰り返しているこの世界のヒロインを憎む悪女。
「ララフィーナさまが可哀想」
物心つく頃には周囲の使用人からもお茶会で初めて会った令嬢からもそう言われていた。
なぜ私だけが愛されないのか、私のことは信じてくれないのか、そう思った時期もあったけれど、そんなことを思うことは無駄であるとすぐに気づいた。
私とララフィーナが出会ったのは5歳の頃。
母が亡くなり、途方に暮れていたところ、母から保護を頼まれていたという執事が迎えにきた。
執事は母がサンバルク家の令嬢であったことを教えてくれた。
今から会いに行くのはサンバルク家の当主であり母の兄である方だそうだ。
唯一の家族である母を亡くしてしまったこともあって新しく家族、居場所ができることはとても嬉しかった。
___が、現実はそんなに甘くなかった。
「ナディアの娘だと!?この家を出て行ったやつの娘なんかサンバルク家ではない!!!摘み出せ!!」
母の娘と聞いてサンバルク家の使用人からかろうじて応接間に通された私と執事だったが、叔父様がきた瞬間に髪の毛を引っ張られて引きづり出されそうになった。
「お待ちください!お嬢様はサンバルク家の正統な跡取りとしての資格をお持ちです。」
そう言って執事は私が首から下げていた指輪を叔父様に見せた。
「サンバルク家の指輪…!あいつ、国王陛下に返上してなかったのか!?」
痛い…。叔父様が私の髪の毛を掴む力が更に強くなった。
「いくら出て行かれたとはいえ、ナディア様はサンバルク家の継承権を破棄していません。この指輪がディディアラさまの手に渡ったと言うことはディディアラさまにもサンバルク家の継承権があります。
帝国法により、継承権を持つ満18歳までの子供は継承権のある家で育つ義務があります!
いくら当主様とはいえ、帝国法を変えない限りはディディアラ様を追い出すことはできません!!」
「あの女!!!やっといなくなったと思ったらこんなゴミを送りつけやがって…!」
いきなり手を離され、床に叩きつけられる。
「おい。俺は死んでもナディアの娘を後継者にはしない。だがサンバルク家の当主としてその指輪を持つものを保護しなくてはならない。
18歳まではこの家に居させてやる。だが18になった瞬間に指輪を国王陛下に返上し、この家を出ていけ。サンバルクの名を語ることも許さない。いいな?」
初対面から髪を掴んでくるような人と後13年間も一緒にいたくないと言うのが私の正直な気持ちだった。
しかし、この家以外に行くところもない。
「分かりました。
ですが、一緒に来た執事をそばに置かせてください。お願いします。」
そういうと、執事も「私からもお願いします!」とガバっと頭を下げた。
「継承権の指輪をもつ子供を保護するのは義務だが、お前は違う。
近くに頼れる大人や味方がいると生意気になるからな。こいつは裏の森にでも捨ててこい」
「なっ…!?やめてください!!せめて追い出すだけにしてあげて!!森は魔獣が出ます!!!」
必死に叔父様にお願いしたけど、「邪魔だ」と私のお腹を蹴ってどこかへ行ってしまった。
「ぐっ…。ごめんなさい、、ごめんなさい、、どうか生きて、、」
自然と涙が溢れる。もう届かない声と分かりながらも私を助けてくれたあの人が助かりますようにと願った。
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